都道府県や市区町村の機関に所属し、地域住民の幸せのために働く。
こんな人にピッタリ!
地域や地域住民のために働きたい人。地域をよりよくしたいと思っている人。
どんな仕事?
地域の人々が安心で快適な生活を送るためのサービスを提供する
公務員は、役所などの公的な機関で働く職員のこと。国の機関で働く職員は「国家公務員」。都道府県や市区町村など「地方自治体(地方共同体)」の機関で働く職員が「地方公務員」だ。また、都道府県は「広域自治体」、市区町村は「基礎自治体」とも呼ばれ、同じ地方自治体でもそれぞれが担当する仕事は異なる。
都道府県が担当する仕事は、主に各都道府県全体に関わるもの。警察業務もそのひとつ。都市計画や道路の建設、河川・海岸の整備、農林水産業や商工業などの産業を盛り立てるのも大切な役目だ。学校関連では、公立小中学校の1クラスの人数や教職員の人数の決定、市町村立小中学校の設置許可、県立高校の設置・管理などを行う。一方、市区町村が担当する仕事は、人々の日常生活に関わるもの。戸籍・住民登録や各種証明書の発行、ごみ処理、上下水道の整備・管理、生活保護、老人ホームの設置・運営、消防・救急活動も市区町村の担当だ。学校関連では、公立小中学校の設置・管理を行う。
このように仕事の内容は異なるが、都道府県も市区町村も、人々が安心して快適な生活を送るためのサービスを提供することに変わりはない。規模の大きな工事や事業で人々を手助けしたい人は「都道府県の地方公務員」、地域住民と直に接して手助けしたい人は「市区町村の地方公務員」を目指すといいだろう。
各自治体が独自に行う試験に合格して地方公務員になる
地方公務員になるには、各地方自治体が独自に行う「地方公務員試験」に合格しなければならない。基本的に学歴は関係なく、どんな人でも受験できる。ただし、年齢制限があるほか、刑事事件を起こして有罪判決を受けた者などは受験できない。また、職種によっては、日本国籍のない人は受験できない自治体もある。さらに、警察官や消防官は、身長・視力・体力などの身体的条件が受験資格にふくまれる。試験は一次試験と二次試験に分かれ、一次試験は一般教養などの筆記試験、二次試験は面接であることが多い。ちなみに地方公務員試験は「初級(高卒程度)」「中級(短大・専門卒程度)」「上級(大卒程度)」に分かれているが、これは試験の難しさを示すもの。「高校卒業者は『初級(高卒程度)』しか受けられない」という意味ではない。中学卒業者でも年齢条件が合えば試験を受けられるし、高校卒業者が「上級(大卒程度)」試験を受けることもできる。
多方面にわたる地方公務員の職種
地方公務員の職種はさまざまで、都道府県庁・市区役所・町村役場で事務仕事をする「行政職」と呼ばれる職員をはじめ、土木・建築・電気・機械などに関する専門的な仕事を担当する「技術職」、警察官や消防官の「公安職」、公立学校の教師や職員、公立幼稚園・保育園の先生や保育士、公立病院の医師や看護師や薬剤師、公立動物園・水族館の獣医師など、多方面にわたる。ちなみに、教師・幼稚園の先生・保育士・医師・看護師・薬剤師・獣医師などは、それぞれの職種の国家資格や免許が必要だ。そのため、それらの職種は「資格免許職」とも呼ばれる。ほかにも、公営の上下水道事業・交通事業の職員(企業職員)、清掃職員・学校の用務員・学校給食員(単純労務職員)なども地方公務員だ。また、地方公務員は「一般職」と「特別職」に分けられる。ここで言う一般職は、事務を担当する仕事のことではなく、「地方公務員法」という法律が適用されない特別職以外の職員のこと。特別職には、知事・副知事・市区町村長・地方議会の議員などが当てはまる。
将来はこうなる
外国籍の地方公務員が増えていくかも?
地方自治体という仕組みがある限り、地域住民のために働く地方公務員の仕事がなくなることはないだろう。ただし、これからの日本は人口減少・少子高齢化が進むので、住民が少ない地域では「地方公務員の人手不足による住民サービスの低下」などの問題が深刻化することも考えられる。地方公務員の人材確保は、自治体にとって重要な仕事になるだろう。現在は、公務員試験の受験資格から「日本国籍を持つ者」という決まりをなくし、外国籍の人を地方公務員に採用している自治体がある。将来的には、すべての自治体で多国籍な地方公務員が働くようになるかもしれない。そうした人たちと共に働くためには、地方公務員にも国際的なコミュニケーション能力が必要になるだろう。
データボックス
収入は?
採用された都道府県庁・市区役所・町村役場や役職によって異なる。平均給与月額はおよそ41万円。
休暇は?
自治体によって異なるが、基本的に週休二日制。土日祝日、年末年始は休日であることが多い。自治体によっては休日に住民向けサービス窓口を開けることもある。
職場は?
都道府県庁・市区役所・町村役場、またはそれぞれの出先機関。行政職の場合、さまざまな業務を経験するために内部異動が多い。
なるためチャート
地方公務員の仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!