ジャンボ機などの大型航空機や、セスナ機などの小型航空機など、さまざまな飛行機を操縦し、人や荷物を世界中に運ぶパイロット。どうやって飛行機を操縦しているのか、またどんな風にお仕事を進めているのか。パイロットのお仕事のことを、実際に航空会社で大型飛行機を動かしている、あつしさんに教えてもらったよ。
パイロットってどんな仕事ですか?
私の仕事はエアラインパイロットです。エアラインパイロットというのは、航空会社で働いてるパイロットのこと。みなさんが旅行に行くときに利用する、比較的大きな旅客機の運転をしています。その他にも、日本には自衛隊の飛行機、警察署や消防署にあるヘリコプターを操縦し、被災地で人命を救助するお仕事についているパイロットもいます。また、遊覧飛行用の飛行機もしくはヘリコプターを操縦するパイロットもいますね。
飛行機に乗る日は、どんな1日を過ごしていますか?
国内線の場合、例えば東京と福岡間であれば、1日3回のフライトを担当します。午前6時ぐらいに出社して制服に着替え、午前7時にその日一緒に飛ぶ機長と、どういう飛行をするのか打ち合わせます。パソコンやiPadなどの情報端末を使いながら天気や燃料などを確認するのです。それが終わるといよいよ飛行機に乗り込みます。客室乗務員と、その日の天候や予想飛行時間を共有します。そのあと飛行機の周りを実際に回って、壊れていないか自分の目で確かめます。それから副操縦士はコックピットの中のスイッチを正しい位置にセットします。これらをきちんと行なったか確認してから離陸します。離陸のためにエンジンをかけ、飛行中は到着時刻のアナウンスも行います。
到着したらブレーキをかけ、扉を開けて乗客の皆さんに降りていただきます。皆さんが降りたあとは次のフライトに向けての準備がありますので、休んでいる時間はあまりありません。午前11時頃、折り返し便の搭乗が開始され20分後にまた空港を離陸し、さらにもう一度福岡空港に戻ってきます。そこでお客様が全員降りられたら、1日の仕事が終わります。
飛行機はどのようにして空を飛んでいるのですか?
飛行機同士がぶつからないように、実は空にはたくさんの道があります。私達パイロットが使う「航空路」と呼ばれる道を記した地図を見ると、空港から線がバーっと放射状に広がっているのが確認できます。この1本1本が全部飛行機が通る道になっているんです。
実際の空には道は描かれてないので、どうやって飛ぶかというと、飛行機にコンピュータが搭載されていて、離陸する前にこれから私達がどういう道を飛びたいというのをインプットするんです。それによって、飛行機が進ルートが決定し、正確に飛ぶことができます。
また、パイロットが仕事をするコックピットにコンピューターの液晶画面が設置されていて、皆さんが車の中で見るカーナビみたいにどういうルートを飛びんでいるか、飛行中も視覚的に確認しているんですよ。
パイロットのお仕事の魅力を教えてください?
一つは空の上で仕事ができるということですね。秋の夕焼けの、刻々と色が変化していく美しい様子や1月1日に見る富士山越しの朝日など、コクピットから見る景色は本当に特別です。日本だけではなく、世界の有名な場所を普段とは違うアングルから見られるのは、おもしろい経験です。あとは日本の各地や世界中に、自分で飛んで行けるっていうのも、パイロットならではかなと思います。
また、大きな飛行機を動かすダイナミックな仕事というのもパイロットのおもしろさです。75mもある大きな飛行機を飛ばすのは、本当に難しい仕事です。天候や燃料など、さまざまなことを計算しなければなりませんし、たくさんのお客様の安全を守る責任もあります。でも大変な仕事だからこそ、その日の目的地に到着して、お客様を無事に下ろすことができたとき、大きな達成感を味わうことができます。
どうしてパイロットになったのですか?
小さい頃、飛行機に乗って、かっこいいなって思ったのが最初のきっかけです。乗り物は全部好きだったんですけど、その中でパイロットっていう仕事が一番かっこよく感じたので、目指しました。パイロットになるための、専門的な勉強っていうのはないんです。なので、本当に学校の勉強を、頑張ってやるのが一番近道かなと思います。ただ、後は英語を得意な科目にしておくといいかもしれないですね。パイロットは世界中に行く仕事なので、英語をたくさん使います。なので得意にしておく方がいいと思います。
パイロットになるにはどうすればよいのですか?
まず会社にパイロット候補生として入社する方法があります。もう一つ、パイロットの免許を取るための専門の学校に入ることもできます。あとは、大学が操縦学を教えているところもあります。日本には今5校ありますが、これからも増える可能性はありますね。これが代表的な三つのやり方です。私は大学を卒業してから、パイロットの候補生として入社しました。その後、会社の訓練制度を利用してパイロットになりました。
以前は目が悪いとパイロットになることは難しかったんですけど、今は眼鏡をしていてもパイロットになれます。また、女性のパイロットも増えています。みなさんも将来なってみたいなと思ったら、チャレンジしてもらえればいいなと思います。
※この記事は2022年7月26日に行われた「ことばパーク特別講座 プロに聞く! おしごと発見プログラム」(学研エデュケーショナル主催、株式会社Blueberry協力)の内容を基に制作しています。
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