義肢装具士とは、義肢(人工の手足)や装具(ギブスやコルセット)をつくる職人のこと。
こんな人にピッタリ!
人の役に立つ仕事がしたい人。人に寄りそう気持ちを持てるやさしい人。患者さんの希望を形にできるコミュニケーション能力のある人。ものづくりが好きな人。集中力も必要。
どんな仕事?
体の一部や機能を失った人のために義肢や装具を製作
義肢装具士は、病気や事故で手足を失った人や体に障害がある人のために、体の機能をサポートする人工の手足(義肢)や装具を作成する職人だ。医師の指示のもと医療スタッフと協力しながら、患者さん一人ひとりの体の状態に合わせて採寸し、金属、プラスチック、皮革、繊維材料など多種多様な材料を使いながら義肢や装具を作成する。体に負担なく使いこなせているか、患者さんと密にコミュニケーションをとりながら何度も調整し、患者さんが自立した生活を送れるようにサポートしていく。義肢装具は、ちょっとしたズレや不具合が患者さんの生活に大きなストレスを与えるため、とても細かな調整や丁寧で確実な技術が必要だ。失った体の一部や機能を取り戻すことは、患者さんにとってこの上ない喜びであり、患者さんから笑顔を引き出せることが、義肢装具士にとって最高のやりがいになるだろう。パラアスリートのために特殊な義肢装具を考案、作成する義肢装具士は、パラリンピックなどの大会にも同行し、調整役をにないながら選手と共に戦う。
これがポイント!
国家資格「義肢装具士」を取得する
義肢装具士として働くには「義肢装具士国家試験」に合格する必要がある。試験には受験資格が設けられていて、その資格を得るまでにいくつかのルートがある。
①義肢装具士の養成校として指定されている専門学校(3年制・4年制)を卒業する。
②義肢装具士の養成校に指定され、義肢装具コースのある4年制大学を卒業する。
③一般の大学・短大で1年以上学んで指定科目を履修したのち、義肢装具士の養成校で2年以上学ぶ。
などだ。高校生の時点で義肢装具士をめざすことが決まっている場合は、①を選択するケースが多いようだ。受験資格を得て国家試験に合格したら、義肢装具を専門に製作する民間の義肢装具製作事業所への就職をめざす。多くの事業所は提携している病院・リハビリテーション施設などがある。先輩の義肢装具士に学びながら技術を磨き、医師や作業療法士などと連携しながらサポートを待つ患者さんをチームとして支えていく。
将来はこうなる
人間にしかできない技術と最新テクノロジーの合体
義肢装具は個人の体型や障害の状態などによって異なるため、その人のためだけにつくるオーダーメイド。機械などでの大量生産が難しいため、義肢装具士の技術が必要とされる。事故や病気などで障害を負う人がいる限り、義肢装具士の仕事がなくなることはないだろう。令和2年3月現在の有資格者数は全国に約5,500人ほどしかいないため、ニーズはある。一方で、最新テクノロジーによる技術の進展は著しく、電子制御でよりスムースな歩行を可能にするインテリジェント義足や、繊細な作業を可能にするロボットアームのような義肢も開発が進んでいる。これからは、人間にしかできない専門技術を持ちつつ、こうした最新技術も取り入れていける革新的な技術者が求められていくだろう。また、人間に限らず、ペットのための義肢装具が求められるケースも増えており、作業の幅を広げていくこともできそうだ。
データボックス
収入は?
平均年収は約360~470万円。義肢装具士は職人であり、実力がものをいう世界。利用者からの信頼が評価となり収入アップにつながる。
休暇は?
企業の規定は通常週休2日。注文数や納品のスケジュールによっては、顧客の希望に合わせるために残業をすることも多い。
職場は?
会社(義肢装具製作事業所)の作業場、提携病院やリハビリテーション施設など。
なるためチャート
義肢装具士の仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!