正式名称「ラグビーフットボール」を略してラグビー。ラグビー選手はおもに社会人チームに所属し、各種の大会で試合をするアスリート。
こんな人にピッタリ!
体が頑丈な人。多少のケガではへこたれない根性の持ち主。ラグビーは「One for all, All for one」(一人はみんなのために、みんなは一人のために)の精神を大切にするチームプレイの競技なので、仲間への思いやりやコミュニケーション能力に優れた人。
どんな仕事?
日本にプロリーグはなく、社会人チームで社員兼選手として活動
日本にはサッカーのJリーグや野球のNPBのようなプロリーグが存在せず、選手の多くは企業が運営する社会人チームに所属して練習や試合に参加している。個人でチームとプロ契約を結ぶ選手もいるが、日本で「ラグビー選手」という職業は、多くは社員兼選手という立場だ。ラグビーは競技人数によって15人制、13人制、10人制、7人制の4種類があるが、日本でもっとも競技人口が多いのは社会人チームが採用している15人制。企業が運営する社会人チームは、2022年新たにスタートした国内最高峰の競技会「ジャパンラグビーリーグワン」(通称リーグワン)を戦い、日本ラグビーの頂点をめざす。ラグビーシーズンは秋から翌年の春にかけて。春から秋はトレーニングや遠征を行ったり、会社員としての仕事をこなしたりする。また、チームの枠を超えてナショナルチームの一員に選ばれれば「桜」のエンブレムをあしらったユニフォームを着て、日本代表として「ラグビーワールドカップ」に出場できるかもしれない。
これがポイント!
学生時代に実績を残し、スカウトを待つ!
ラグビー選手になるには、資格は必要ない。高校や高等専門学校、大学のラグビー部で活躍して注目されることだ。ラグビーは特にケガの多いスポーツでもあり、選手には頑丈な体、ポジションによっては俊敏性やスピードが求められる。短期間で体づくりはできないので、学生時代からきちんと時間をかけてトレーニングを積んでいく必要がある。社会人チームへの入団は一般的な社員採用の形ではなく、基本はスカウトだ。スカウトマンは日頃から全国の高校や大学のラグビー部をチェックしていて、学生時代いかに好成績を残すかが進路を左右する鍵となる。認められれば大学卒業後に企業と契約し、社員兼選手となるのが一般的だ。ラグビーは即戦力となる大卒の選手が採用されることが多いが、最近は高校卒業にプロ契約するケースもある。2018年に埼玉ワイルドナイツパナソニックに入団した福井翔大選手その例だ。
また、新たな才能を発掘するためのトライアウト(自己能力をアピールする機会)を開催するチームもあるので、スカウトされなかった学生にもチャンスは残されている。
日本のラグビー界はプロ化に向けて動いており、近い将来、大卒、高卒に限らずプロ選手への扉は大きく開かれていくだろう
女子リーグ誕生に高まる期待
日本のラグビー選手はおもに企業が運営する社会人チームに所属しているが、これは男子選手のケースであって、女子選手は少し事情が異なる。高校や大学のチームで活動し、卒業後チームに所属する流れは男子と似ているが、大きな企業が福利厚生の一環として運営する男子のようなチームは女子の場合ほとんどなく、全国的な女子リーグも存在しない。女子チームは地域のファンや自治体、地元のスポンサーなどが協力し、NPO法人がまとめる形で運営しているケースが少なくない。NPOは社会貢献活動を目的とするため、選手はチームから報酬を得ることができず、自分で収入を確保しながら試合に参加している。ラグビー選手で食べていくのは男子以上に厳しいのが現状だ。しかし、世界的には女子ラグビー人気は高まっているため、国内での人気を盛り上げていくためにも、女子リーグの発足が期待されている。
将来はこうなる
プロリーグ発足は目前? 将来は世界で通用する選手に
2022年に創設されたリーグワンは、いずれ全選手をプロ化し、企業スポーツからプロスポーツへ転換することをめざして始まっている。世界的にもプロ化は進んでいて、オーストラリア・ニュージーランド・パシフィックアイランド諸国(おもにフィジー、トンガ、サモア)の選手で構成された計12のプロチームが参加する「スーパーラグビー・パシフィック」や、アイルランド・イタリア・南アフリカ共和国などの16のプロチームが参加する「ユナイテッド・ラグビー・チャンピオンシップ」などが有名だが、日本のラグビー界も完全プロ化へ向けて進んでいくものと思われる。
プロ化は選手の将来にも大きな影響を与えるだろう。プロ選手になれば、サッカーや野球のようにチームやスポンサーとの契約で高額の収入を手にすることができるかもしれない。海外の有名選手が日本チームに来たり、日本から海外の有名チームに行ったり、世界との交流が身近になることで国内チームのレベルアップにもつながっていくはずだ。ラグビー選手をめざすなら、世界に通用するプロ選手になる心構えを持ってチャレンジしていこう。
データボックス
収入は?
社員兼選手として活動するラグビー選手の収入は公表されていない。ラグビーチームを運営する企業の平均収入を見ると、2023年3月期で「コベルコ神戸スティーラーズ」を運営する神戸製鋼所の平均年収は605万円。「埼玉ワイルドナイツパナソニック」を運営するパナソニック・ホールディングスの平均年収は909万円。2021年分の日本の民間平均年収443万円と比較するとかなり高額と言える。日本の社会人チームとプロ契約した選手の年収は推定で、約2000万円と言われている。東芝ブレイブルーパス東京に所属するリーチ・マイケル選手のように契約金+CMやTV出演料などを加えた年収が、推定で1億円を超える選手もいるが、Jリーグやプロ野球の年俸に比べると低めだ。
休暇は?
秋から春のシーズン中は試合が金・土・日曜日のいずれかにおこなわれることが多く、社員兼選手の場合は平日は週末の試合に向けた練習に当てられる。金・土曜日に試合があれば、土・日のいずれかが休日になるが、日曜日に試合があると休みがない週もある。
職場は?
社員兼選手は、おもに所属する会社が持つラグビー練習場で練習し、試合の日は各地にあるラグビー場へ。シーズン中でなければ、会社内で業務をおこなう。
なるためチャート
ラグビー選手の仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!