お客さんに株式・債券・投資信託などを提案し、それらの売買の取り次ぎを行う証券会社の営業職。
こんな人にピッタリ!
経済の動きや資産を増やす方法に興味がある人。 責任感があり、お客さんに信用される人。失敗してもくじけない強い心を持つ人。
どんな仕事?
投資商品の情報を提供してお客さんの資産形成や資産運用を手助けする
投資商品の売買などを行う証券会社の営業職が、証券外務員だ。お客さんに投資商品(株式・債券・投資信託など)を提案し、資産形成や資産運用に関する助言を行う。お客さんの要望を受けて、投資商品の売買の取り次ぎも行う。また、個人のお客さんの相談に乗るだけでなく、会社の財務に関する助言も証券外務員の役目だ。
ちなみに、株式とは、株式会社が資金調達のために発行する証券。債券は、国や会社が資金を調達するために発行する借用書のようなもの。投資信託は、投資家(株式などを売買して利益を得る人)から集めたお金をまとめて株式や債券に投資・運用する金融商品だ。株式は、投資した会社の業績が上がると価格が上がる。買った時よりも価格が高くなった株式を売れば、その差額が投資家の利益になる。一方、債券はお金を貸しているようなものなので、借りたお金に対する利用料である利息が生まれる。その利息分が債券投資の利益になる仕組みだ。
そうした金融商品をお客さんに提案したり売買の時機などを助言するには、商品や運用に関する専門知識が必要だ。また、自分がすすめた株の価値が下がったり、売買する時機を見誤ったりして、お客さんに損をさせることがあってはいけない。そのために、毎日変化する株式市場の動きを知るなど、経済に関わるさまざまな情報を収集する努力も欠かせない。自分の判断や的確なアドバイスで、お客さんに満足してもらえたときに、大きなやりがいを感じるそうだ
これがポイント!
就職・資格取得・登録・研修を経て外務員として活動できる
証券外務員の仕事をするには、証券会社など投資商品をあつかう会社に就職する必要がある。就業者の多くは4年制大学の卒業生だ。大切なのは「日本証券業協会」が行う「外務員資格試験」に合格し、公的資格である「外務員資格」を取得すること。金融商品取引法で、この資格がないとお客さんに投資商品をすすめたり、売ったりする外務員の活動をしてはいけないと定められている。資格は就職後に取得してもいいが、試験には特別な受験資格や年齢制限はないので、就職に備えて学生時代に取得する人も多いようだ。さらに、資格を取得しただけでは外務員の活動はできない。所属する会社を通じて金融庁に「外務員登録」を行い、「外務員資格更新研修」を受けることが必要だ。
また、外務員資格には「第一種資格」と「第二種資格」がある。上級資格である第一種資格は、ほぼすべての投資商品の取引ができる。一方、第二種資格は、現金で株式などを売買する通常の取引(現物取引)はできるが、大きな損失になる危険もある「信用取引」や「デリバティブ(金融派生商品)取引」をあつかうことはできない。
証券会社以外でも外務員資格が必要な金融の仕事がある
証券会社と並ぶ金融の仕事の代表が銀行だ。じつは、一部の銀行でも投資商品をあつかっている。ただし、証券会社のように個別の株式などはあつかえず、投資信託や債券に限られる。また、信用金庫や保険会社でも投資商品をあつかっている。そのため、証券会社以外の金融の会社に進む場合も「外務員資格」が必要になることがある。
ただし、証券会社は「外務員資格試験」を行う「日本証券業協会」の「正会員」だが、銀行や保険会社は「特別会員」だ。銀行や保険会社に勤務する人は「特別会員一種外務員資格」か「特別会員二種外務員資格」を受験する。この試験は、学生など一般の人は受験できない。また、この資格も、一種と二種では、取りあつかえる投資商品に制限がある。そして、どちらも正会員の外務員資格よりも取りあつかえる商品は少ない。
将来はこうなる
個人投資家が増えると証券外務員の出番も増える
日本では、多くの人が現金や預貯金で資産形成をしている。だが、低金利が長く続いたことで、銀行や郵便貯金にお金を預けてもほとんど利息が付かなくなった。そこで政府は、2023年を「資産所得倍増元年」として、個人の資産形成の方法を預貯金から投資へ切りかえるようにうながす政策を打ち出した。その取り組みとして、株式や投資信託で得られた利益に税金がかからないNISA(ニーサ、少額投資非課税制度)が2024年1月から拡充された。
また、最近はパソコンやスマホで手軽に投資商品の売買ができる。そうした投資をしやすい仕組みがさらに整えば、資産運用に投資を選ぶ人が増えていくだろう。そうなれば、投資の初心者への助言、より利益を得ようとする個人投資家への提案など、証券外務員が求められる機会も増えていくと予想される。
データボックス
収入は?
平均年収は、496~729万円。国内の証券会社や外資系(外国資本の会社)など、所属する会社によって異なる。また、ボーナスは基本的に個人の営業成績に連動しており、年収は大きく上下する。
休暇は?
週休2日制。土日と祝日が休み。年に2回ほど長期休暇を取ることができる会社が多い。ただし、お客さんの予定に合わせて休日に提案や助言をすることもある。
職場は?
証券会社の事務所。営業職なので、個人や会社のお客さんのところに訪問することも多い。
なるためチャート
証券外務員の仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!