地球を飛び出し、宇宙空間で活躍する宇宙開発の仕事。例えば気象情報から惑星探査まで様々な用途で活躍する人工衛星づくりも、その一つ。宇宙研究者のお仕事のことを、人工衛星の開発に関わる、まりさんに教えてもらったよ。
宇宙研究者って、どんなお仕事ですか?
ロケットで何を運ぶか
もし皆さんが宇宙に行くとか、人工衛星を宇宙に持っていこうとしたら、「ロケット」と呼ばれる宇宙に行くための乗り物を使います。日本でもずっと開発が続けられてきました。そのロケットで、宇宙に飛ばしたいものをどうやって運ぶか、どんなものを運ぶかいうことを具体的に行うのが、宇宙開発チームの仕事です。日本からよくロケットで打ち上げられているものに人工衛星があります。人工衛星には両側の太陽光パネルで太陽エネルギーを充電したり、金箔で覆っていたりするなどの面白い特徴があります。実は現在、人工衛星は地球の周りには本当にたくさん飛んでいるんです。
研究する、成果を発信する
私は小さな人工衛星に積み込むエンジンの研究をしています。人工衛星には様々な大きさのものがあり、実はペットボトル程度の大きさや、手のひらに乗るくらいのサイズの小さな衛星もあるんです。その小さな人工衛星になぜエンジンを積むのかというと、地球の周りの軌道よりも遠くに行くために必要になってきます。地球からロケットに軌道まで連れて行ってもらい置いておくと、実はエンジンがなくても人工衛星は勝手に地球の周りをぐるぐると回ることができます。そこからさらに遠くの小惑星や火星などの探索に行く際に使うエンジンを研究しているのです。
研究というと実験室にこもって実験ばかりしているイメージがあるかもしれませんが、実際は自分の研究がどうだったかという論文を書いたり、大勢の人の前で私の研究結果がこうなりましたと発表することをやっています。まずはわからないことを明らかにする、わからないことを、わかるようにする。わかったことを世界の人に発信するっていう2つのことをやっています
人工衛星の役割を教えてください
一つ目は宇宙から地球を見て人々の暮らしを守るということです。例えば災害が起こってるときに、宇宙空間からそれを観察して地上の人に教えるなど、人間の目の行き届かないところを見守る衛星があります。
また、普段皆さんが使っているインターネットが災害のときに途切れないようにするっていう役割も持っているそうです。
どうして宇宙研究者になったのですか?
私が中学生だったときに、人工衛星「はやぶさ」の初号機が小惑星の土を持って帰還しました。当時はそれを記念した様々なイベントが行われたんです。そこで私も色々調べたり、講演会を聞いたりしているうちに、面白そうだし自分も携わりたいという気持ちが強くなりました。そこで、大学で人工衛星を作ることができる航空宇宙工学科というところに進学して今に至ります。
宇宙開発の課題を教えてください
最近問題なのは宇宙の環境問題、ゴミの増加です。今たくさん打ち上げられている人工衛星は、必ず使えなくなるときを迎えます。寿命を迎えた衛星は、地球の大気圏に落ちてくれたら燃え尽きることもありますが、軌道をぐるぐる回りっぱなしになってしまう衛星もあります。壊れたり寿命を迎えたまま、ぐるぐるまわるゴミになってしまうんです。今はそれをどうやって取り除くのかという研究もされています。環境汚染的な意味でよくないですし、ぐるぐる回っていることで、新しく軌道に入ってきた別の衛星とぶつかってしまう可能性があるんです。なのでこれをどうやって取り除くかというのが課題の一つになっていますね。
※この記事は2022年7月28日に行われた「ことばパーク特別講座 プロに聞く! おしごと発見プログラム」(学研エデュケーショナル主催、株式会社Blueberry協力)の内容を基に制作しています。
ことばパークとは
「聞く・話す・読む」力を伸ばす、1回25分間の小学生向けの国語オンライン学習講座です。