羽岡義仁さん(刀鍛冶)

羽岡義仁さん(刀鍛冶)

日本(にほん)伝統(でんとう)の武器(ぶき)として、職人(しょくにん)たちの技(わざ)がつまっている日本刀(にほんとう)。その見(み)た目(め)も美(うつく)しく、美術(びじゅつ)工芸(こうげい)品(ひん)として海外(かいがい)からも人気(にんき)を集(あつ)めているほどだよ。みんなにとっては、例(たと)えば『鬼(き)滅(めつ)の刃(やいば)』とかマンガやアニメ、ゲームの世界(せかい)でよく登場(とうじょう)するから、一度(いちど)は手(て)にしてみたいとあこがれるアイテムかもしれないね。その日本刀(にほんとう)をつくる伝統(でんとう)を継(つ)ぐ刀鍛冶(かたなかじ)のお仕事(しごと)のことを、羽岡(はおか)義仁(よしひと)(本名(ほんみょう)・慎仁(まこと))さんに聞(き)いたよ。

日本刀(にほんとう)のどこに魅力(みりょく)を感(かん)じていますか?

日本刀(にほんとう)の魅力(みりょく)の一(ひと)つは、その美(うつく)しさです。「機能美(きのうび)」といって、武器(ぶき)として考(かんが)え抜(ぬ)かれ、磨(みが)き上(あ)げれたことで生(う)まれた美(うつく)しさが好(す)きですね。昔(むかし)の刀鍛冶(かたなかじ)たちが「折(お)れず、曲(ま)がらず、よく切(き)れる」という理想(りそう)を実現(じつげん)するため、工夫(くふう)を重(かさ)ねてきた技術(ぎじゅつ)の結晶(けっしょう)なんです。本当(ほんとう)に、どうしてこんな技術(ぎじゅつ)にたどりつけたんだろうと感心(かんしん)してしまいます。海外(かいがい)の刀剣(とうけん)などにはない、刀身(とうしん)にあらわれる「地肌(じはだ)模様(もよう)」や、刃(は)部分(ぶぶん)の「刃文(はもん)」の芸術的(げいじゅつてき)な美(うつく)しさもありますね。
また、日本刀(にほんとう)そのもののほか、日本刀(にほんとう)をつくるという鍛冶(かじ)仕事(しごと)も、かっこいいと思(おも)っています。美(うつく)しい刀(かたな)を、自分(じぶん)の手(て)でつくりあげるのは、楽(たの)しいですね。

2016年(ねん)の 新作(しんさく)名刀(めいとう)展(てん)(日本(にほん)美術(びじゅつ)刀剣(とうけん)保存(ほぞん)協会(きょうかい)主催(しゅさい))で新人(しんじん)賞(しょう)を受賞(じゅしょう)した、羽岡(はおか)義仁(よしひと)さんの日本刀(にほんとう)。

日本刀(にほんとう)はどうやって作(つく)るのですか?

日本刀(にほんとう)の材料(ざいりょう)となる玉鋼(たまはがね)。

玉鋼(たまはがね)という、日本刀(にほんとう)用(よう)の鋼(はがね)を材料(ざいりょう)に作(つく)ります。すごく簡単(かんたん)にいうと、玉鋼(たまはがね)を熱(ねっ)して金(かな)づちでたたいて、不純物(ふじゅんぶつ)を除(のぞ)く「鍛錬(たんれん)」、刀(かたな)の形(かたち)を整(ととの)える「火造(ひづく)り」などをへて、鋼(はがね)を硬(かた)くする「焼(や)き入(い)れ」をし、刃(は)を研(と)ぎます。切(き)るときに折(お)れてしまわないように中心(ちゅうしん)は少(すこ)し軟(やわ)らかさのある鋼(はがね)をおき、よく切(き)れるように刃(は)の部分(ぶぶん)には硬(かた)い鋼(はがね)をかぶせて作(つく)るのが、日本刀(にほんとう)の特徴(とくちょう)の一(ひと)つです。
ちなみに、一(ひと)つの完成(かんせい)した日本刀(にほんとう)をつくることは、刀鍛冶(かたなかじ)のほかに、刃(は)を研(と)ぐ「研師(とぎし)」や、鞘(さや)をつくる「鞘師(さやし)」など、多(おお)くの職人(しょくにん)の分業(ぶんぎょう)でなりたっています。

刀鍛冶(かたなかじ)をどうして目指(めざ)したのですか?

実(じつ)は、アニメがきっかけなんです。中学生(ちゅうがくせい)くらいのときにテレビで「こちら葛飾区(かつしかく)亀有(かめあり)公園(こうえん)前(ぜん)派出所(はしゅつしょ)」の主人公(しゅじんこう)・両津(りょうつ)勘吉(かんきち)が、日本刀(にほんとう)を作(つく)る回(かい)を見(み)て「日本刀(にほんとう)って自分(じぶん)でつくれるんだ!」と感動(かんどう)したんです。この回(かい)のエピソードは今(いま)でもよく覚(おぼ)えているほどです。同(おな)じように、日本刀(にほんとう)や刀鍛冶(かたなかじ)が登場(とうじょう)する『鬼(き)滅(めつ)の刃(やいば)』のアニメを見(み)て、興味(きょうみ)を持(も)つ子(こ)どもたちがいるのかもしれませんね。
私(わたし)の場合(ばあい)、父親(ちちおや)が大工(だいく)で、自分(じぶん)でも木材(もくざい)のあまりで木刀(ぼくとう)を手作(てづく)りするなど、もともと、ものづくりに興味(きょうみ)はありました。そして偶然(ぐうぜん)にも自宅(じたく)の近(ちか)くに日本刀(にほんとう)を作(つく)っているところがあったのも幸運(こううん)でした。高校(こうこう)を卒業(そつぎょう)して「弟子(でし)にしてください」と押(お)しかけて…。一度(いちど)は追(お)い返(かえ)されたのですが、なんとか弟子入(でしい)りさせてもらって、今(いま)につながっています。

刀鍛冶(かたなかじ)のやりがいはなんですか?

やっぱり、自分(じぶん)の刀(かたな)を作(つく)れるところです。作(つく)っている途中(とちゅう)でキズが入(はい)ってダメになるものも少(すく)なくないなかで、最後(さいご)、刃(は)が研(と)ぎあがって完成(かんせい)したときに達成感(たっせいかん)がありますね。刃文(はもん)がきれいに入(はい)ってくれたときも気持(きも)ちいいです。
日本刀(にほんとう)は海外(かいがい)での評(ひょう)価(か)が高(たか)く、購入(こうにゅう)する人(ひと)も外国(がいこく)の方(かた)のことが多(おお)くなってきています。日本(にほん)の伝統(でんとう)や文化(ぶんか)、技術(ぎじゅつ)の高(たか)さを、世界(せかい)に発信(はっしん)しているという気持(きも)ちもありますね。

鍛冶(かじ)場(ば)では炭(すみ)を燃(も)やして鋼(はがね)を熱(ねっ)する。
熱(ねっ)した鋼(はがね)を金(かな)づちでたたいて鍛錬(たんれん)したり、刀(かたな)の形(かたち)にしたり。

大変(たいへん)なことはなんですか?

正直(しょうじき)に言(い)って、日本刀(にほんとう)を作(つく)るのには、材料(ざいりょう)費(ひ)などのまとまったお金(かね)が必要(ひつよう)です。独立(どくりつ)して自分(じぶん)の鍛冶(かじ)場(ば)を持(も)とうと思(おも)えば、それもまた、お金(かね)はかかります。
刀鍛冶(かたなかじ)としての実力(じつりょく)が認(みと)められるまでは、なかなか自分(じぶん)の作(つく)った日本刀(にほんとう)を買(か)ってくれる人(ひと)も少(すく)ないです。アルバイトをしながら日本刀(にほんとう)を作(つく)るためのお金(かね)をかせぐなど、厳(きび)しいこともあります。

刀鍛冶(かたなかじ)としての夢(ゆめ)はなんですか?

コンクールでたくさん賞(しょう)を取(と)って、吉原(よしはら)義人(よしんど)師匠(ししょう)のように「無(む)鑑査(かんさ)刀匠(とうしょう)」になることです。無(む)鑑査(かんさ)刀匠(とうしょう)は、別格(べっかく)の腕前(うでまえ)がある刀鍛冶(かたなかじ)のみ認定(にんてい)される称号(しょうごう)で、刀鍛冶(かたなかじ)として最高(さいこう)の目標(もくひょう)です。
ほかには海外(かいがい)で、日本刀(にほんとう)の制作(せいさく)を公開(こうかい)実演(じつえん)してみたいですね。今(いま)はインターネットで動画(どうが)を公開(こうかい)するなど、世界(せかい)中(じゅう)に発信(はっしん)することはできますが、やはり直接(ちょくせつ)、飛(と)び散(ち)る火花(ひばな)を見(み)て、炭(すみ)の燃(も)えるにおいをかいでもらうとなると、伝(つた)わるものが全然(ぜんぜん)ちがうと思(おも)っています。

刀鍛冶(かたなかじ)になるにはどうしたらよいですか?

刀鍛冶(かたなかじ)になるには、まず刀鍛冶(かたなかじ)の師匠(ししょう)に弟子入(でしい)りして、そこで5年(ねん)以上(いじょう)の修業(しゅうぎょう)が必要(ひつよう)です。修業(しゅうぎょう)では、炭(すみ)を細(こま)かく切(き)るなどの作業(さぎょう)をこなしたり、師匠(ししょう)たちに教(おし)えをこいながら技術(ぎじゅつ)を見(み)て盗(ぬす)んだり。同(おな)じものは二(ふた)つとないので、それぞれの素材(そざい)の状態(じょうたい)にあわせて、熱(ねっ)する温度(おんど)を調整(ちょうせい)するなどの細(こま)かい技術(ぎじゅつ)を身(み)につけるのは大変(たいへん)です。師匠(ししょう)はあんなに簡単(かんたん)そうにやっているのに、自分(じぶん)でやってみるとまったくできないということだらけでしたね。
5年(ねん)以上(いじょう)が経過(けいか)して、一通(ひととお)り日本刀(にほんとう)が制作(せいさく)できるようになってから、文化庁(ぶんかちょう)主催(しゅさい)の「美術(びじゅつ)刀剣(とうけん)刀匠(とうしょう)技術(ぎじゅつ)保存(ほぞん)研修会(けんしゅうかい)」を受(う)ける必要(ひつよう)があります。8日間(にちかん)かけて脇差(わきざし)という小(ちい)さな刀(かたな)をつくる、実地(じっち)試験(しけん)のようなものです。研修(けんしゅう)を無事(ぶじ)に修了(しゅうりょう)できると、ようやく刀鍛冶(かたなかじ)としてのスタートラインに立(た)てます。

刀鍛冶(かたなかじ)に興味(きょうみ)を持(も)った子(こ)どもたちへのメッセージ

私(わたし)は中学(ちゅうがく)・高校(こうこう)と部活(ぶかつ)やスポーツをやっていたわけでもなく、何(なに)か特別(とくべつ)な能(のう)力(りょく)があるわけでもありません。むしろ、どちらかというと不器用(ぶきよう)な方(ほう)です。それでも刀鍛冶(かたなかじ)になれました。やりたいという熱意(ねつい)と、少(すこ)しの幸運(こううん)さえあれば、誰(だれ)でも挑戦(ちょうせん)できる仕事(しごと)だと思(おも)いますよ。

日本刀(にほんとう)の詳(くわ)しいつくり方(かた)を見(み)てみよう

刀鍛冶(かたなかじ)のお仕事(しごと)を動画(どうが)で見(み)てみよう

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