日本の美しい自然を守るために働く国家公務員。
こんな人にピッタリ!
自然と人間に対して愛情を持っている人。責任感が強く、好奇心が盛んで研究熱心な人。自然の中を歩き回る体力や、ほかの人と話し合う能力も必要。
どんな仕事?
国立公園などの自然や野生動物を絶滅から守る
全国に34ある国立公園をはじめとした日本の自然を守る仕事。アメリカの国立公園職員である「パークレンジャー」を参考にしてつくられたもので、レンジャー(自然保護官)とも呼ばれる。環境省に所属する国家公務員であり、全国12か所にある「地方環境事務所」や「自然環境事務所」を中心に活動している。主な仕事は、国立公園の管理や自然とふれあうための公園設備の整備・安全点検、絶滅のおそれのある野生生物の保護など。そのための調査やパトロール、地域の人々と協力して損なわれた自然を取り戻す活動なども行っている。また、自然の中で動き回る仕事だけでなく、公園内を開発する要望を判断したり、地域住民との話し合いのための資料をつくったり事務仕事もする。さらに、小学生・中学生を対象にした自然学習プログラムである「子どもパークレンジャー」の活動もおこなっている。ちなみに、公務員は不正防止などの理由から転勤が多く、パークレンジャーも2~3年で別の国立公園で働くことになる。「日本全国の自然を守りたい!」という高い志のある人にはぴったりの、やりがいのある仕事だ。
これがポイント!
難関の「国家公務員採用試験」に合格して環境省に入る
パークレンジャーになるには、とにかく環境省に入るしかない。そのためには、まず難関の「国家公務員採用試験」に合格する必要がある。ただし、試験に合格しても、さらに面接によってふるいにかけられる。2022年度の環境省の採用者は、わずか24人だ。そんな狭き門である環境省の仕事は、大きく分けて「事務系・理工系・自然系」の3種類がある。省内では自然系の職員は「レンジャー」と呼ばれており、その自然系の仕事も「総合職」と「一般職」に分かれている。総合職の職員は、自然環境の保全に関する制度をつくるために、本省で勤務する機会が多い。パークレンジャーの仕事を担当する機会が多いのは、一般職の職員だ。パークレンジャーを目指す人は、環境省の自然系職員として入省し、地方環境事務所での勤務を任命されるのを待つことになる。そのために、学生時代から自然環境、森林、生物、農業などを学び、自然保護関連のボランティア活動などに参加しておくといいだろう。
パークレンジャーを補佐する期間限定の仕事もある
現在パークレンジャーは全国で300人ほどが働いているが、それぞれの国立公園に配置されている人数は決して多くない。そこで生まれた仕事が「アクティブ・レンジャー(自然保護官補佐)」だ。パークレンジャーを手助けする役であり、国立公園の調査やパトロールなど、主に野外の現場作業を担当する。現場作業の人手が足りなくなった時に各地方環境事務所が採用する非正規・非常勤の仕事で、任期は1年間。勤務実績がよかった場合は、連続2回採用されることもある。特別な資格は必要ないが、パークレンジャーを手伝える技術、公園利用者にマナーを指導する会話力、自動車運転免許、パソコンを使う技術などが求められる。ただし、常に募集されているわけではなく、募集人数もわずかだ。しかも、期間限定の仕事なので、任期が終われば別の仕事を探すことになる。だが、自然保護関係の仕事への就職を考える人にとっては、貴重な経験になるだろう。
将来はこうなる
世界のためにも日本のためにも自然を守る仕事はより大切に
日本をふくめた多くの国が取り組んでいる「SDGs」は「2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標」だ。その目標の中には、地球環境を保全するものもある。世界中で環境保全が重要な問題として注目されている現在、日本の自然を守るパークレンジャーに対する注目や期待も高まっている。また、日本は将来的に観光を重要な産業にしようとしている。観光の目玉になる国立公園を保全するパークレンジャーの仕事は、より大切なものになっていくだろう。
データボックス
収入は?
国家公務員の平均給与月額はおよそ41万円。
休暇は?
公務員の休日・休暇は規定があり、基本的に週休2日。日曜日や祝日に自然観察会などのイベントが行われるれることが多いので、休日の勤務もある。
職場は?
環境省、地方環境事務所、自然環境事務所、国立公園内の管理事務所など。
なるためチャート
パークレンジャーの仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!