化学反応を利用した実験や測定機器を使って物質の成分を調べる専門家。
こんな人にピッタリ!
まじめな人。責任感がある人。判断力がある人。
どんな仕事?
物質を構成する成分の種類や量を測定する
「化学」は、あらゆるものを形づくる「物質」の構造や性質について知る学問のこと。物質はなんらかの「元素」や「化合物」からできており、それらを構成する「成分」の種類や量を測定する仕事が「化学分析」。分析作業は、化学反応を利用する実験や測定機器を使って行う。それを担当するのが化学分析員だ。製造業の会社の研究部門などで行うのは、製造中に採取したサンプル(資料)の分析。製品の成分量におかしなところはないか、予定にない化学反応をして有害なものに変化していないかなどを確かめ、製造現場での作業の目安や基準を提案する。自然に関わる化学分析では、空気、水、土などのサンプルを分析して、その結果を報告書にまとめる作業などを行う。そのように化学分析は、はば広い分野で行われている。お客さんの求めに応じて化学分析を行う専門の会社もあるほどだ。そんな化学分析の測定結果が正しくなかった場合、重大な問題に発展することもある。責任は重いが、それだけに大切な仕事と言えるだろう。
これがポイント!
高校や大学で化学の基礎知識を学ぶ
化学分析員になるには、とくに学歴や資格は必要ない。しかし、化学の基礎知識は必要だ。工業高校の工業化学科、分析化学専門学校、大学の理学部化学科、工学部化学学科などで学んでおくといいだろう。就職先は、医薬品・化粧品・食品などを製造する会社や環境関連会社など。研究機関や公務員の仕事もある。分析を担当する部署に配属されたら、先輩の分析員から分析技術を学び、実務作業をこなしながら技術をみがいていく。要求に応える分析ができるようになるまでには、10年以上かかると言われている。
国家資格「化学分析技能士」で実力を証明する
化学分析員になるための資格はないが、化学分析に関する技能を認定する国家資格に「化学分析技能士」がある。3級から1級まで3つの種類があり、まず初級である3級の資格を取得しなくてはならない。3級の検定を受けられる人は「実務経験は不要だが、高校や大学で化学分析技能士に関する学科を学んでいるか、化学分析技能士の技能検定に関わる講習を受講した人」。2級の検定は「3級の資格を取得した人や実務経験が2年以上ある人」などが受けられる。そして1級の検定は「3級の資格を取得して実務経験が4年以上ある人、2級の資格を取得して実務経験が2年以上ある人、実務経験が7年以上ある人」などが受けられる。資格は実力の証明になるので、就職や転職には有利になるだろう。
将来はこうなる
安全な生活に化学分析は欠かせない
医薬品・食品・化粧品など人々の健康に直接関わる製品は、安全性を保つために化学分析が欠かせない。また、空気、水、土などについても、人間や生き物などの安全のために化学分析を行う。健康や安全、環境に関わる法律や規制は強くなっているので、そうした分野の化学分析の必要性は高まっていくだろう。また、高機能な新素材などが次々と開発されているので、それを分析するための新たな知識や技術も求められるようになっている。化学分析員に対する期待はこれからも大きくなっていくだろう。
データボックス
収入は?
平均年収は396~515万円。
休暇は?
勤務先によって異なるが、基本的に週休2日。夜間も働く工場の研究部門などは、交替で夜間勤務をすることもある。
職場は?
各種生産・製造会社、分析会社、食品などの検査機関、地方自治体(保健所・警察・消防)など。
なるためチャート
化学分析員(分析化学技術者)の仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!