建物のかべや床、土かべなどをコテを使ってぬり仕上げる職人だ。
こんな人にピッタリ!
自分から進んでやるタイプ。体力に自信のある人。芸術的なセンスがある人。
どんな仕事?
手際のよいコテさばきで建物のかべを美しくぬる
マンションやビルなどの建設現場で、ペンキやタイルの下地ぬり、コンクリートの土間打ち、階段の仕上げぬりなどをおこなうのが左官だ。セメントやモルタル、しっくい、けいそう土などをぬりつける「コテ」という道具を使って作業をおこなう。左官は専門分野によって「町屋(まちや)」と「野丁場(のちょうば)」に分かれる。町屋の左官は戸建ての住宅や寺社の工事などで、土壁ぬりやしっくいぬりなどをおこなう。野丁場の左官は、ゼネコンと呼ばれる大手総合建設会社のもとで、ビルやマンション工事のかべや床の下地のぬり上げ作業などをおこなう。
これがポイント!
左官はこれからも建設業には欠かせない
左官になるためには、資格や学歴は問われない。左官の親方に弟子入りして、仕事を覚えていく。左官会社は求人広告や知り合いの紹介で入ることが多い。また、全国にある職業訓練施設(「住宅内装仕上げ」の講座があるところ)に通い、基礎的な技術を身につけてから左官会社を探す方法もある。会社に入るとまずは見習いからスタート。材料を練ることから始め、慣れてくるとようやくコテをにぎらせてもらえるようになり、土間作りやかべの下ぬりと順に覚えていく。
「左官技能士」は一人前と認められる資格
どれくらいで一人前と認められかは個人の能力、経験にもよるが、最低でも5年くらいの修業が必要と言われている。実力を試したい人には「左官技能士」という技術認定制度がある。1級~3級まである国家資格で、取得すれば一人前の証明になる。ただし、1級の受験には7年以上の実務経験が必要。まずは実務経験が短くても受けられる3級を目指そう。なお名人を目指したければ、1級合格後5年以上の実務経験で受けられる「特級」もある。試験は都道府県がおこない、学科と技術試験がある。
将来はこうなる
職人の減少と高齢化で、引く手あまた
左官の仕事は建設作業に欠かせないが、職人の数は年々減少している。職人の高齢化も進み、左官の技を次世代に受けついでいくためにも若手の育成が急務とされている。逆に考えれば、引く手あまたということだ。重いセメントをかつぐなど肉体的にハードな仕事だが、コテを使って芸術的な感性をいかせる魅力的な仕事として、最近では女性の左官職人も増えている。どの左官会社、建築会社でも左官職人志望者を欲しがっているので、就職のチャンスは多い。
木造建造物を受け継ぐための技術は「無形文化遺産」に
2020年、「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」がユネスコ無形文化遺産に登録された。その中に「左官(日本壁)」も含まれている。左官は木造建築に欠かすことができない仕事。歴史的建造物などの修理、保存をおこなう高度な技術の持ち主は、貴重な伝統技術の継承者として尊敬の対象となっていきそうだ。
データボックス
収入は?
職人の仕事は日当で計算されることが多い。見習いの場合は1日7,000円、一人前になると1日1万円くらいになる。
休暇は?
週休1日程度。日曜日が休みのことが多いようだ。雨が降ると仕事ができない。
職場は?
なるためチャート
左官の仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!