小型プロペラ機から大型ジェット旅客機までさまざまな飛行機を整備し、乗務員や乗客など多くの人命を預かる責任の重い仕事。
こんな人にピッタリ!
ささいなミスも許さない強い責任感があり、ひとつのネジをしめる作業からコンピュータの操作まで幅広い知識と細心の注意を持って行える人。新技術を習得するための努力を惜しまず、昼夜を徹しての作業に耐えられる体力のある人。
どんな仕事?
乗務員と乗客の安全を守るため、飛行機の点検・整備・修理を行う
航空機が安全に飛行できるように、何万もの部品からできている複雑な仕組みのエンジンや機体、機内の座席や設備などの点検・整備・修理をおこなう。飛行前には機体・つばさ・エンジン・車輪の外観などを点検し、機内の各種設備や操縦室の計器などもチェックする。異常を発見すれば、修理や部品の交換を行う。確認整備士と呼ばれる整備の責任者が「異常なし」と判断して飛行を許可することで、はじめて飛行機は飛び立つことができる。
そんな航空整備士の主な仕事には、ライン整備・ドック整備・ショップ整備と呼ばれる3つがあり、それぞれ整備する場所や整備の内容が異なる。ライン整備は、飛行ごとに行う日常的な作業。空港の駐機場に到着した飛行機が次のフライトへ出発するまでの短時間に機体の外観やエンジンなどを素早く的確に点検する。ドック整備は、飛行機を空港の格納庫に収容し、1か月から2か月もの長い時間をかけて隅々までチェックする定期点検。ショップ整備は、エンジンやコンピュータ、各部を動かす油圧系統の部品などを機体から取り外し、分解して徹底的に点検・整備を行う精密検査だ。
小さなネジのゆるみが大きな事故につながることもあるので、航空機の点検・整備には細心の注意、専門的な知識、高度な技術が必要だ。それに従事する航空整備士の責任はとても重い。それだけに、やりがいのある仕事と言えるだろう。
これがポイント!
航空整備士の国家資格は5種類
航空機の点検・整備を行うには、国土交通省が実施する試験に合格し、航空整備士の国家資格を取得しなくてはならない。その資格には、二等航空運航整備士、二等航空整備士、等航空運航整備士、一等航空整備士、航空工場整備士の5種類がある。それぞれ整備できる航空機の種類や整備の内容などが異なっている。二等が整備できるのは、セスナやプロペラ機など小型の飛行機・ヘリコプター・グライダーなど。一等が整備できるのは、二等が整備できる航空機と航空会社で使用される大型旅客機・大型ヘリコプターなどだ。また、航空運航整備士は、空港の駐機場などで行われる日常的な点検作業ができる。航空整備士は、格納庫内で行うエンジンの交換作業や機体の修理などができる。そして航空工場整備士は、プロペラやエンジン、計器や無線機など航空機の部品の整備を行うのに必要な資格だ。
航空整備士の国家資格を取得する方法
航空整備士の国家試験を受験するには、年齢と航空機整備経験年数の条件がある。航空運航整備士は、二等・一等とも18歳以上で整備経験2年以上。二等航空整備士は19歳以上で整備経験3年以上。一等航空整備士は20歳以上で4年以上の整備経験。航空工場整備士は18歳以上で整備経験2年以上が必要だ。早めに航空整備士を目指すならば、専門知識と実技を学べる専門学校へ進学するのが一般的。国土交通大臣指定の養成施設では、在学中に二等航空運航整備士や二等・一等航空運航整備士の資格取得を目指せる。短大や大学を卒業した者も、航空機整備会社に就職して実務経験を積めば受検資格を得られる。また、自衛隊や海上保安庁に入隊し、航空機整備員を目指すことで航空整備士の資格を取得する方法もある。
将来はこうなる
訪日外国人旅行者の増加で航空整備士が不足?
日本は、2030年までに訪日外国人旅行者数を6000万人にする目標を立てている。東京の羽田空港と千葉の成田空港の機能を強化し、年間約100万回の発着にする計画だ。空港に到着したすべての飛行機は手際よく整備を終えて出発に備えなくてはならないので、航空整備士の仕事量は現在より格段に増えるだろう。だが、格安航空会社(ローコストキャリア・LCC)や地域航空会社は、現在も航空整備士不足に直面している。早急に大量の航空整備士を養成する必要がある。将来的には、外国人の人材を受け入れ、国際色豊かな航空整備士チームで点検・整備を行うことになるかもしれない。外国の航空会社の乗務員とコミュニケーションを取る機会も増えるので、英語など外国語を学んでおくといいだろう。
データボックス
収入は?
平均年収は404~487万円。勤務先によって異なるが、基本給のほかに深夜労働手当、休日出勤手当などがプラスされる。整備は24時間体制で行われるため、交代制勤務となっている場合が多い。
休暇は?
勤務先によって異なるが、だいたい週休二日相当の休暇は取れる。そのほか、有給休暇もある。
職場は?
航空会社、航空機整備会社、官公庁、病院、新聞社、テレビ局、小型航空機やヘリコプターを所有する会社。
なるためチャート
航空整備士の仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!