旅客機の乗客が快適な空の旅を送れるように、安全確認や接客サービスをおこなう。緊急時には乗客の安全を守る役目も担っている。
こんな人にピッタリ!
国内線・国際線を問わず、英語力が不可欠。接客サービスでは細かいことによく気が利き、他人の気持ちをくみとりながら臨機応変に対応ができる人。立ちっぱなしの仕事なので体力のある人。
どんな仕事?
機内サービスを提供しながら乗客の安全を守る
国内線・国際線の旅客機に乗り込み、客室(キャビン)で乗客にさまざまなサービスを提供する。キャビンクルー、キャビンアテンダントとも呼ばれる。客室乗務員の最も大切な仕事は、乗客の安全を守ること。そのために、出発前は空港にある航空会社の事務所でパイロットや地上係員から飛行コースや天候の説明を受け、機体のゆれなどに備える。乗客が乗る前に機内の確認をして、離着陸前には乗客にシートベルトの着用をうながす。客室設備の不具合の点検や、ドアの開け閉めも客室乗務員の重要な役目だ。また、急病人が出たり、不時着などの緊急事態が起きたりした場合は、乗客を落ち着かせて、非常口から安全に脱出させるなど、乗客を守るために必要な対応を取らなくてはならない。
乗客と直に接する航空会社の「顔」
客室乗務員のもう一つの大切な仕事は、機内サービス。乗客に飲み物・食事・雑誌・新聞などを提供したり、機内販売・機内アナウンスなどをしたりする。国際線では、入国に必要な書類の配布と記入方法の説明もおこなう。そうした乗客と直に接する客室乗務員は、航空会社の「顔」。何度も利用してもらうためにも、細やかなサービスを心がけなくてはならない。目的地に到着した客室乗務員は、乗客を送り出し、忘れ物などの点検をしながら次のフライトに備える。国内線は1日3~4便のフライトをくり返すことが多く、国際線でも路線によっては往復して日帰りすることもある。勤務中はほとんど立ちっぱなしで、「肉体労働」と言ってもいい。生活パターンも不規則になりがちなので、体力も必要な仕事だ。
これがポイント!
短大以上に進学して英語力を身につける
客室乗務員になるために必要とされる特別な資格はない。ただし、外国人乗客に対応するために、英語力を求められることが多い。外国の航空会社には、英語を母国語とするパイロットやほかの乗務員とスムーズにコミュニケーションが取れる英会話能力を求めるところもある。国内大手航空会社の新卒採用条件は、大学卒・短大卒・専門学校卒以上が一般的。語学系の学校や学部・学科に進学し、英検(実用英語技能検定)などを受験して英語力を身につけておこう。外国の航空会社を目指す場合は、英語だけでなく、それぞれの国の言語も修得しておくといいだろう。また、身体的な条件として、視力に基準を設けている会社もある。多くの場合、客室乗務員は安全上の理由から乗務中の眼鏡の着用が禁止されているので、裸眼またはコンタクトレンズでの矯正視力1.0以上が求められる。
男性も客室乗務員になれる
客室乗務員は、かつては女性の花形職業とされていた。だが、外国の航空会社や格安航空会社(ローコストキャリア・LCC)では、男性客室乗務員はめずらしい存在ではなくなっている。じつは、日本航空(JAL)は1954年から男性客室乗務員を採用していた。全日空(ANA)にも外国人の男性客室乗務員はいたが、2019年に初めて日本人の男性客室乗務員が採用された。今後は、そうした国内大手航空会社でも男性客室乗務員が増えていくだろう。多くの航空会社で、採用条件は男女ともにほぼ同じ。接客サービスなどで求められる能力も男女で変わらない。性別に関係なく、空で接客をする仕事に興味がある人は挑戦してみるといいだろう。
将来はこうなる
サービス競走の激化で客室乗務員の役目がより重要に
日本は、観光を重要な産業とする「観光立国」を目指している。2030年の訪日外国人旅行者数の目標は6000万人。その実現には、旅行客の移動手段のひとつである旅客機の便数の増加は不可欠だ。乗客を取り合う航空会社のサービス競走は激しくなるだろう。そうなれば、機内サービスを担う客室乗務員が果たす役割はより重要になる。さまざまな国の人が旅客機を利用することが予想されるので、英語だけでなく多くの国の言葉で会話できたり、多くの国の文化や習慣を知ったうえでサービスを提供できたりする細やかな気配りが大切だろう。
データボックス
収入は?
平均年収はおよそ400万円。航空会社にもよるが、基本給のほかにフライト時間に対して支払われる「乗務手当」や目的地に宿泊したときの「宿泊手当(1泊当たり数千円)」など、各種手当が加わる。
休暇は?
飛行機に搭乗するのは1か月に約20日ほどで、休日は約8日~10日ほど。3~4日間連続で勤務して、その後1~2日間が休みというのが基本パターン。国際線の路線によっては10日以上、日本に帰れないこともある。飛行機が遅れないかぎり、残業はない。
職場は?
飛行機に搭乗するフライト業務がほとんどだが、飛行機に乗らず、空港の事務所で仕事をする日も1か月に数回ある。さらに、乗務予定者が急に乗務できなくなった時などに備えて、交替要員として空港や自宅で待機する「スタンバイ」と呼ばれる仕事もある。また、外国の航空会社に就職すると、日本ではなく、海外の空港を拠点に勤務することもある。
なるためチャート
客室乗務員(フライトアテンダント)の仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!