農産品・水産品・工業製品などの商品が消費者へ届くまでの流れである「物流」を支える「運送」を担う大切な仕事。
こんな人にピッタリ!
自動車の運転が好きな人。責任感や集中力がある人。
どんな仕事?
さまざまな荷物を、指定された場所へトラックで届ける
トラック運転手は、トラックで荷物を運ぶのが仕事。運ぶ荷物はさまざまで、食料品や衣料品、文房具や新聞や雑誌、ビルの部品の巨大な鉄骨、ガソリンなどの危険物もある。トラックの種類もさまざまだ。350キログラムまで積める軽トラック。2トンまで積める小型トラック。6.5トンまで積める中型トラック(4トントラック)。6.5トン以上積める大型トラック(10トントラック)。ほかにも、荷台をかたむけて土砂をすべり落とせるダンプトラック、石油やガスを運ぶためのタンクローリー、動力車が荷台をけん引するトレーラーなどがある。
運送距離によって「地場」と「長距離・中距離」に分かれる
トラック運送の仕事には、運ぶ距離によって「地場」と「長距離・中距離」の2種類がある。地域や地方を意味する地場は、およそ半径50~200キロメートル以内の近い場所へ荷物を運ぶ仕事。トラックの運転に加えて、荷物の積みおろしやチェックを何度も行ったり、お客さんとコミュニケーションを取ったりする機会も多い。トラック運転手の多くがそうした地場の仕事をしている。一方の長距離・中距離は、片道300キロメートル以上の遠い場所へ荷物を届ける仕事だ。仕事時間のほとんどは運転していることになり、荷物を届ける時間によっては夜通しトラックを走らせることもある。どちらの仕事も、荷物を運ぶだけでなく、時間を厳守しつつも、安全運転を心がけなくてはならない。責任の重い仕事なのだ。
これがポイント!
トラックを運転するために必要な免許
トラック運転手になるためには、自動車の運転免許が必要だ。年齢が満18歳であれば「普通免許」を取得できる。普通免許は、車両の重さが3.5トン未満で2トン未満の荷物が積める自動車の運転ができる。軽トラックは運転できるが、小型トラックは車両の重さが3.5トン以上の車種が多いので運転できない。小型トラックを運転するには、車両の重さが7.5トン未満の自動車を運転できる「準中型免許」が必要だ。これは2017年に新設された制度で、初めて運転免許を取る人でも取得できる。さらに大きなトラックを運転する免許には、車両の重さが11トン未満の中型トラックを運転できる「中型免許」、車両の重さが11トン以上の大型トラックを運転できる「大型免許」がある。ただし、中型免許を取得するには、20歳以上であることと、運転免許を受けた「免許期間」が2年以上という制限がある。同じように、大型免許を取得するには、21歳以上、免許期間3年以上の制限がある。運送会社に勤めるために運転免許を取得するのならば、最初から準中型免許を取得しよう。ちなみに、トレーラーを運転するためには、運転免許に追加される「けん引免許」が必要で、大型トレーラーを運転するには大型免許を取得していなくてはならない。タンクローリーで石油やガスなどの危険物を運ぶ場合は、「危険物取扱者」や「高圧ガス移動監視者」の資格を持つ者が同乗しなくてはならない。また、荷物の積みおろしに使う「フォークリフト」の免許も取得しておくといいだろう。
運送会社に入るか、自分で運送会社を作るか
トラック運転手になるには、運送会社に入るのが一般的だ。学歴はあまり問われず、仕事への熱意や、休憩をはさみつつも夜通し運転できるような体力が求められる。とくに高い技術が必要な大型トラックの運転経験者は採用されやすいようだ。未経験者でも、入社後に必要な免許を取得できる会社が増えている。
そうした会社に入らず、自分で運送会社を作る道もある。普通免許を取得すれば運転できる軽トラックを使って荷物を運ぶ「軽貨物運送」を開業できるのだ。その方法は、国土交通省へ届け出をして営業用の黒いナンバープレートを取得するだけ。以前は軽トラックや後部座席を取り外して荷物室に改造した4人乗り軽乗用車を使用する規制があったが、2022年に規制が変わり、自動車を改造する必要がなくなった。軽貨物運送の仕事としては、インターネット通販の配達やフードデリバリーなどの宅配サービス、会社へ事務用品などを届ける企業配達、一人暮らしなどの荷物が少ない引っ越しの荷物運びなどが期待できる。個人経営はすべてを自分一人で解決しなくてはならないが、苦労する分、やりがいを感じられるだろう。
将来はこうなる
トラック運送は日本の物流に欠かせない
毎日の生活で使う日用品はもちろん、緊急時になくてはならない医薬品、家電製品や家具、新品の自動車や新幹線の車両など、ありとあらゆるものの輸送にトラックが利用されている。2020年度の国内貨物総輸送量の分担割合をトラック・鉄道・船・飛行機で比べると、それぞれが輸送した貨物の重量を合計した「トンベース」では、なんと91.6パーセントがトラック。貨物の重量に輸送距離をかけ合わせた「トンキロベース」でも、トラックは55.2パーセントだった。トラックは、まさに日本の物流の主役なのだ。荷物を時間通りに届けるトラック運転手という仕事は、これからも日本には欠かせない存在だ。一方で物流の主役になるほどトラックが活動することは、二酸化炭素を大量に出す環境問題でもある。今後は、現在のトラックの燃料である軽油よりも二酸化炭素や大気汚染物質が少ないCNG(圧縮天然ガス)やLNG(液化天然ガス)を燃料とするトラックの導入などが必要だろう。また、電気で動くEVトラックや燃料電池車(FCV)などの次世代トラックへ交代することも重要になってくるかもしれない。
データボックス
収入は?
平均年収は360~385万円前後。長距離トラックの運転手の場合、年収600万円くらいかせぐ人もいる。
休暇は?
基本的には週休二日制だが、会社の規模や運ぶ荷物の種類と距離などによって不定期になることもある。
職場は?
運送会社。トラック運転席が実際の仕事場だ。
なるためチャート
トラック運転手の仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!