停留所から停留所へ時間通りに運行する路線バス、旅行客を目的地へ運ぶ観光バス、学校の登下校などに使われる送迎バスを運転するドライバー。女性運転士も増えている。
こんな人にピッタリ!
自動車の運転が得意な人。真面目で根気強い人。責任感が強い人。
どんな仕事?
多くの人を目的地へ安全に届ける意義ある仕事
バスの運転士の仕事は、大型・中型バスにたくさんの乗客を乗せて目的地まで運ぶこと。バスの仕事は、乗せる客によって3種類に分けられる。停留所をめぐって不特定多数の乗客をいっしょに乗せる路線バスは「乗合バス」。ツアー旅行や学校の社会科見学などの団体客を乗せる観光バスは「貸切バス」。そして、特定の学校の生徒を送迎するスクールバスなどの「特定バス」だ。乗合バスは、住民の足代わりなので、毎日決められた時刻通りに運行することが求められる。貸切バスは、遠足や修学旅行などで観光ルートをめぐり、旅の思い出づくりを手助けする。特定バスは、学校や会社の送迎バスのように決まった時間に運行するものと、ホテルやショッピングモールの利用客を送迎するために施設と駅の間を1日中往復するものなどがある。どれも、経験に支えられた高い運転技術が必要だ。また、自動車は、車体のわずかな不具合や運転士の少しのミスが大事故につながる。運行前後の点検や整備は欠かせないし、走行中はずっと気が抜けない。自分の都合で席を外せないし、乗客の中に急病人が出たり、乗客同士がもめるトラブルがおきたりすることにも注意しなくてはならない。そうしたきついこともあるが、「安全に運ぶことが人のためになる」という社会的な意義のある仕事でもある。
これがポイント!
大型バスの運転には大型自動車第二種運転免許が必要
自動車を運転するために必要な「自動車運転免許」には、第一種と第二種の二つがある。第一種運転免許は、一般的な目的で運転するためのもの。旅客を運ぶ自動車を運転するには、特殊な事情を除けば「二種免許」が必要だ。さらに、30人以上を乗せる大型バスを運転するには大型自動車を運転する免許が必要なので、「大型自動車第二種運転免許」が必要となる。ただし、第二種免許は、第一種免許を取得してから3年以上経たないと取れない。そこで、バス会社への就職を決めているのなら、普通自動車第一種運転免許を取得してから就職しよう。会社によっては、大型自動車第二種運転免許を取得する費用を出してくれることがある。就職の3年前に第一種免許を取得しておけば、入社してすぐに第二種免許を取得できるので早道だ。第二種免許を取得できれば、社内の研修や訓練で運転技術をみがき、一人で乗務できるようになるのを目指す。路線バスと観光バスの両方がある会社では、はじめは仕事の基本となる路線バスの運転をこなし、社内試験に合格することで観光バスの乗務に移ることが多い。
送迎バスの運転士には第二種免許が必要ないこともある
送迎バスの運転士に必要な自動車運転免許は、運転するバスの大きさや定員数、運行の仕方によって異なる。送迎に使われることが多い自動車は「マイクロバス」と呼ばれる小型のバス。定員が11人から29人のマイクロバスは、車体重量8トンの中型自動車に分類される。2017年以降に取得した普通自動車免許で運転できるのは3.5トン未満なので、マイクロバスは運転できない。中型自動車運転免許が必要だ。幼稚園の送迎バスには、大人3人と幼児50人ほどの座席を備えた大きめのマイクロバスもある。こちらは大型自動車運転免許が必要になる。また、客を運ぶことから第二種免許が必要に思えるが、そうではない。ホテルや幼稚園のサービスとして自家用バスで送迎する場合、運賃が発生する旅客輸送ではないので第二種免許は必要ない。バスの大きさに応じた第一種免許を持つ従業員が運行できるのだ。しかし、バス会社が会社の車両を送迎バスとして運行する場合は、第二種免許が必要になる。
将来はこうなる
女性バス運転士が年々増えている
路線バスは、自動車を運転できない人、例えばお年寄りの買物や通院、児童や生徒の登下校になくてはならない交通機関だ。それなのに、バスの運転士はいつも人手不足。そんな中、女性のバス運転士は増えている。2019年のデータでは、女性のバス運転士の人数は全国で1867人。1995年は186人だったので、25年かかって10倍になった。とはいえ、男女比率では、わずか1.8パーセントだ。しかし、お客さんからは「接客面で男性運転士より安心感がある」などの声があがっている。それに応えるために、バス会社も女性運転士の採用を積極的に進めているようだ。バス会社の更衣室やシャワー室など女性用の設備が整えられるなど働きやすい職場になれば、就職を希望する女性はますます増えていくだろう。
データボックス
収入は?
勤務する会社や担当するバスの運行回数などによって異なる。平均年収は404万円。
休暇は?
会社や運転するバスによって変わる。路線バスの運行は基本的に年中無休なので、運転手は交替で休む。おおよそ週に1~2日ほど。貸切バスは曜日や祝日に関係なく運行されるので、運転士の休みは不規則。おおよそ月に6~7日ほど。送迎バスもおおよそ週に1~2日ほど。
職場は?
路線バスや貸切バスを保有する民間経営のバス会社や地方公共団体(都道府県市区町村)が経営するバス会社。送迎バスを保有する会社・ホテル・学校・幼稚園など。
なるためチャート
バス運転士の仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!