時代と流行を先取りしたドラマや映画の物語や登場人物の印象的なセリフを生み出して人々の心を打つ。苦労も多いが、やりがい十分のクリエイティブな仕事!
こんな人にピッタリ!
映画やドラマが好きで、文章を書くことが好きな人。好奇心旺盛でいろいろなことに興味を持つことができる人。ドラマや映画作りはチームプレーなので、コミュニケーション能力や協調性、一度書き上げた原稿を何度も書き直す気力や体力も欠かせない。
どんな仕事?
映画やドラマの設計図となる脚本を書く
映画や演劇、テレビやラジオのドラマ、アニメやゲームなどの脚本(シナリオ)を書くのが脚本家(シナリオライター)の仕事。そもそも脚本は、映画やドラマの映像(ラジオドラマは音)の設計図のようなもの。脚本に書かれているのは、物語の舞台の説明、そこに登場する人物のセリフ、人物の動きを示す「ト書き」だ。脚本家は、作品の企画にそって登場人物の人物像やあらすじを考え、作品の設計図となる脚本を書く。しかし、多くの場合、作品作りの責任者である監督やプロデューサーと脚本の内容について話し合い、そこで提案された修正点をふまえて何度も書き直すことになる。脚本作りは、脚本家と監督やプロデューサーとの共同作業なのだ。すべての修正が終わり、完成した設計図になった脚本は「決定稿」と呼ばれ、出演者には「台本」として配られる。ただし、映画やドラマの場合は、撮影中・収録中に発生したトラブルなどで決定稿や台本にも修正が加えられることもある。また、脚本家が独自に考えたオリジナル物語を書くだけでなく、小説やマンガなどの原作をもとにする場合もある。原作がある物語を脚本にする場合、原作そのままでなく、脚本で手を加えることもあり、それは脚色と呼ばれる。そうやって自分が書いた文章が映画やドラマとして表現されて多くの人に感動を与えることが脚本家にとって大きな喜びだ。
これがポイント!
進学した学校でのさまざまな出会いを大切にする
脚本家になるための特別な資格はない。学歴もとくに問われないので「脚本家になれる学校」といった決まった進路もない。脚本の書き方は独学でも学べるが、大学、短大の学部によっては脚本の基礎知識を学べたり、専門学校や養成スクールでは実際に脚本を書く技術を学ぶことができる。また、そうした学校ではプロの脚本家が講師を務めることが多いので、積極的にアピールすることで仕事を得るために大切な業界とのつながりを作ることもできる。学校によっては、仕事を紹介してくれたり、デビューの後押しをしてくれたりすることもあるようだ。登場人物の波乱に富んだ一生を描く物語を書くこともある脚本家は、豊かな人生経験と幅広い教養が求められる。どんな学校に進学しても、さまざまな人との出会いを大切にして、いろいろな人生について考えることが脚本家としての大成につながるだろう。
デビューへの近道は?
昔は有名な脚本家に弟子入りし、師匠の原稿を清書するなどして技術を身につけたという。仕事を手伝いながら技術を学ぶのならば、映画・演劇・テレビ・ラジオ・アニメ・ゲームの制作現場で働いてプロの脚本に触れ、技術を吸収しながら脚本家を目指す方法がある。そうして書いた脚本を持って直接テレビ局や制作会社に売りこみにいく方法もあるが、一番の近道はテレビ局やラジオ局、番組制作会社などが募集する脚本コンクールに応募して賞を取ること。受賞した脚本が映像化・作品化されれば、脚本家デビューとなる。受賞しなくても、審査員や業界関係者の目に止まれば、そこから仕事につながるかもしれない。大事なのは、日々、脚本家に必要な力をつちかい、チャンスを逃さず、全力を発揮すること。ただし、業界が違う小説家としてデビューした後で脚本家の世界へ飛びこんだ人もいるので「急がば回れ」の精神も大切だ。
将来はこうなる
インターネットを利用する作品の脚本が増える
現在は、テレビの地上波放送や衛星放送に加えて、インターネットの動画配信サービスでもドラマや映画、アニメを楽しめるようになっている。新しい作品が作られる限り、その設計図となる脚本の仕事がなくなることはないだろう。ゲームの世界でも、スマートフォンやタブレットパソコン向けのソーシャルゲーム(SNS上で提供されるオンラインゲーム)が人気となり、そのゲーム内で表示される文章を作る「ゲームシナリオ」と呼ばれる脚本の仕事が増えている。また、テレビや映画のようなエンターテインメントの世界だけでなく、会社の広報映像や個人が作る映像でも、しっかりとした作品にするためには完成度の高い脚本が必要だ。今後は、インターネットを利用する映像作品を作るための脚本が求められるだろう。そうした業界で脚本家として長く活躍するためには、時代の風を読んで流行を吸収するなど、常に勉強する向上心が欠かせない。
データボックス
収入は?
平均年収は402~740万円。基本的にはシナリオ1本につき、いくらの契約をする。そのギャランティー(報酬)の額は、脚本家の実力や制作側の予算によってまちまち。なりたての頃はシナリオだけで食べていくのは大変だが、売れっ子になればギャラもグンとアップする。反面、仕事がまったく来なければ収入ゼロの恐れも。
休暇は?
仕事がなければ毎日が日曜日みたいなもの。反対に、締め切りに間に合わせるために何日も徹夜が続くこともある。
職場は?
フリーランスの場合は、自宅を仕事場にしている人が多い。制作会社の社員の場合は、それぞれの会社のオフィスなど。
なるためチャート
脚本・シナリオライターの仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!