映画を作品に仕上げるための責任者。スタッフや俳優を決め、映画制作に関わるさまざまな現場で指揮をとり、最終的な決断を下す。
こんな人にピッタリ!
映画が大好きな人。みんなをまとめるのが得意な人。苦労をいとわず目標に向かって突き進む人。
どんな仕事?
作品づくりの責任者として、みんなの力を引き出す
監督は映画の映像制作を総合的に指揮する責任者。その仕事の第一歩は、制作資金の調達や宣伝などの責任者であるプロデューサーと協力して、どんな映画を作るのかを考える企画立案。そこに脚本家を加えて、作品の設計図となる脚本を練りあげる。監督によっては、自身がプロデューサーや脚本家の仕事をすることもある。さらに、撮影、照明、録音、音楽、衣装、美術などの制作スタッフや、作品のイメージに合った俳優を決定するのも監督の重要な仕事だ。撮影が始まると、画面の構図やカメラの動かし方を決め、俳優の演技を指導しながら理想の映像をフィルムに収めていく。その作業のなかで、俳優や制作スタッフの力を引き出したり、想定外の問題を解決するのも監督の役目だ。撮影が終わると、フィルムの必要な部分をつなぎ合わせたり、音楽や効果音を加える編集作業を行う。作業は編集スタッフが担当し、監督は自分のイメージに合った内容になるように指示を出したり、映像や音声を確認して最終的な決定を下す。フィルムが完成した後は、多くの人に見てもらうために宣伝活動をするのも監督の役目だ。作品の企画から準備、制作中から完成後まで、多くのスタッフや俳優を率いるリーダーとして何度も決断をくり返さなくてならないので、その責任は重大。それだけにやりがいのある仕事と言えるだろう。
これがポイント!
大学や専門学校で、映画に関する技術を学ぶ
映画監督になるための特別な資格はなく、学歴も問われない。また、映画監督になるための決まった道もない。一つの道は、映画制作会社やテレビ番組・CMなどを作る映像制作会社に入り、監督を補佐する助監督などの仕事を経験すること。そこでしっかり経験を積んで能力を認められれば、監督を任されるチャンスはある。ただ、そうした制作会社に未経験者が採用されるのは難しい。そこで、大学や専門学校に通って映画制作の基礎知識を学んでおくのもいいだろう。そうした学校では、プロ講師の指導を受けながら自主制作映画を作る経験もできるし、それを学内イベントなどで発表する機会もある。また、学生アルバイトとして映画制作に参加し、経験を積みながら人脈を築き、助監督に任命されるのを待つという道もある。
自らの才能と人脈を味方につけ、地道に努力する
学生時代に作った自主制作映画が映画コンクールで受賞したり、インターネットを通じて世界に発信した作品が注目されることもある。そうした形で映画制作の実力が認められれば、商業映画の監督を任される可能性が高まる。また、テレビドラマを映画化するときにドラマの監督であるディレクターが映画版の監督を務めるなど、テレビ業界やCM業界のスタッフが映画監督になったり、俳優やタレント、お笑い芸人が映画監督になるケースも増えている。このように、映画監督になるための道はいくつもある。大切なのは「映画の仕事がしたい!」という熱意を持ち、自分自身の才能と人脈を味方につけて、努力を続けることだ。
将来はこうなる
少ない予算で人々の感動と収入を得る作品を生み出す
カメラ機能が向上したスマートフォンで撮影した映画作品を上映する映画祭もあり、現在は、だれもが映画監督になれる時代だ。しかし、商業的に成功をおさめて多くの人に名前が知られる映画監督になれるのはほんのわずか。また、新型コロナウィルス感染症の流行によって多くの人が「インターネットの動画配信サービスを使って映画を見たい」と考え、映画館へ足を運ぶ人が減った。それにより映画の市場は縮小し、映画の制作費も減少している。インターネットで多くの人からお金を集めるクラウドファンディングを使って資金調達する作品もあるほどだ。これからの映画監督には「少ない予算で完成度の高い作品を生み出して多くの観客を映画館へ集める」という難題を乗り切る豊かな発想力と強い情熱が求められるだろう。
データボックス
収入は?
平均年収は514~630万円。映画1本につきいくら、というギャランティー制のため、定収入はない。売れている映画監督でも映画だけで食べていくのは難しく、CM制作などの仕事もして収入を得ていることが多いようだ。ただし、映画がヒットすれば、億万長者も夢ではない。
休暇は?
とくに決まっていない。映画を制作している間は、長い場合で半年以上休みがないことも。
職場は?
映画制作会社や映像制作会社のオフィスのほか、ロケ地や撮影スタジオ、編集スタジオなど。
なるためチャート
映画監督の仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!