人々の代表として、社会生活のルールとなる法律や法令をつくったり、国や地方自治体の予算を決める大切な仕事。人々の生活をより良くしたいという思いと責任感が求められる。
こんな人にピッタリ!
社会をより良くするためのアイデアがあり、それを実現するための意欲がある人。さまざまな意見を聞いて、自分の意見を改善できる人。人のために働くことが好きな人。自分の利害や損得を考えず、常にみんなの幸せのために働ける、そんな立派な人であってほしい。
どんな仕事?
議会を通して、人々の要望を実現する
政治は、国や人々の生活をより良くするためにはどうすればいいのかを考え、それを実行する仕組みのこと。政治を職業にする人や選挙活動などの政治的な活動を職業にする人が政治家だ。政治家の中でも、選挙に立候補して選ばれた人は議会のメンバーである「議員」と呼ばれる。議員には2種類あり、国の政治に関わる議員は国会議員、都道府県や市区町村の政治に関わる議員は地方議会議員だ。国会や地方議会の役目のひとつは、法律や条例などのルールを作ったり、変えたり、無くしたりすること。議員の仕事は、人々の要望に耳をかたむけ、人々のためになる新しいルールを議会に提案したり、ルール改正などの議題を検討して賛成か反対かの票を投じて議決したりすること。また、国や地方自治体を運営するために必要な予算の検討や議決も議員の大切な仕事だ。選挙で多くの人々から信任を得た政治家である議員は、議会での議決を通して人々の要望の実現を目指す重責を負っている。とくに現在は国内外で重要な問題が山積しているので、それに対応する政治家には高い専門知識と的確な決断力が求められる。
これがポイント!
選挙に立候補するために必要な年齢とお金
広い意味の政治家はだれでもなれるが、議会に参加できる議員になるには選挙に立候補して当選しなくてはならない。選挙に関しては、個人が備えていなければならない条件がいくつかある。まず、日本国籍を持つ日本国民であること。日本国民は、満18歳以上になると、選挙でみんなの代表を選ぶ権利である「選挙権」が与えられる。その後、決められた年齢(資格年齢・選挙の種類によって異なる)になると、選挙に立候補する権利である「被選挙権」が与えられるのだ。それぞれの選挙の資格年齢は、国会議員の衆議院議員は満25歳以上、参議院議員は満30歳以上、都道府県議会議員と市区町村議会議員は満25歳以上。ちなみに都道府県知事は満30歳以上、市区町村長は満25歳以上だ。ただし、犯罪を犯した者は、犯罪の種類や刑期によっては選挙権・被選挙権を失うこともある。また、立候補するにはお金が必要だ。選挙運動の費用とは別に「供託金」を法務局に預ける。これは、当選する見こみが少ない面白半分の立候補や選挙による売名を防ぐための制度。一定数の票を取ればお金は戻ってくるが、得票数が規定数に達しなかった場合や供託金を収めた後で立候補を取りやめると、供託金の全額または一定額を取り上げられる。供託金の額は選挙によって異なり、町村議会選挙の15万円から衆議院・参議院の比例代表選挙の600万円までさまざま。
政治塾や議員の秘書になって政治を学ぶ
政治家になるための特別な資格はない。学歴も問われないので専門の学校もない。だが、政治家の仕事は、法律や条令をつくったり、法律に沿って政策を実行する行政に関わるものなので、大学の法学部・経済学部・政治学部などに進学して専門知識を学んでおくといいだろう。学校ではないが、政治家の育成を目的とした「政治塾」がある。その種類は、政党が運営するもの、公益財団法人が運営するもの、個人が運営するものなどさまざま。塾を卒業すれば政治家(議員)になれるというものではないが、政治家への階段の足がかりになりそうだ。また、選挙に当選して議員を目指す人の中には、まず議員の秘書になり、議員の仕事を手伝うことで政治家としての実力をつける人もいる。とくに国会議員の政策立案を補佐する政策担当秘書は、資料収集や要点をまとめるなど法律を作る作業に参加するので、身をもって政治活動を勉強できる。その仕事に就くために必要な国家資格である「国会議員政策担当秘書資格試験」があるので、挑戦してもいいだろう。
将来はこうなる
20代、30代の若い政治家の活躍が期待される
政府の政策や国民への説明不足などへの不満から、国民の政治不信を招いている。今後は国民が信頼できるような、高潔で情熱を持った政治家が求められるようになるだろう。また、若者の中には選挙に参加しない人も多い。その原因の一つは、高齢世代に向けた政策が目立つことで、若者世代は関心が持てないからだ。だが、多くの人の声を集めて議会に反映させるために、若者の力強さやしなやかな発想は欠かせない。さらに、現在日本の女性議員の割合が国際的に見て低い水準にとどまっている問題もある。女性ならではの視点をいかすために、議会での男女同数の実現が望まれている。一方で、政治家になりたいと考えている人は、残念ながら男女ともに決して多くない。数少ない有能で信頼できる政治家を議会へ送るために、有権者も政治家を見極める目を持ち、選挙で投票することがより大切になるだろう。
データボックス
収入は?
役職のない国会議員の歳費(給料)は、月額129万4000円(2022年現在)。これに年2回期末手当が支給され、年額約2200万円。さらに、調査研究広報滞在費1200
万円(月額100万円×12カ月)と立法事務費780万円(月額65万円×12カ月)の経費も支給されるので、合計すると年額約4200万円になる。国民が払う税金でまかなわれるにも関わらず、調査研究広報滞在費も立法事務費も第三者は使い道を確認できないなどの問題があり、高額な歳費の見直しを求める意見もある。また、都道府県議会議員や市区町村議会議員の歳費は自治体によって異なる。ちなみに、地方議会議員に毎月支給される調査研究費は「政務活動費」と呼ばれている。
休暇は?
議会に出席すればいいわけではなく、ほかの議員や政治家と勉強会を開いたり、支援者との会合に出席するなど、プライベートな時間は取りにくい。とくに選挙期間中は、ほとんど不眠不休で選挙地を走り回らなければならない。
職場は?
国会議員の場合、国会議事堂の本会議場や委員会室で審査や審議を行う。また、衆議院・参議院それぞれの議員会館に事務所が与えられるので、そこで人々の請願や陳情を聞くこともある。地方議会議員も各地の議会に出席して議案の審議や議決を行う。選挙期間中は、選挙用の事務所で選挙活動のプランを練る。
なるためチャート
政治家の仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!