映画『海猿』でスポットライトを浴びた潜水士も、海上保安官! 「海の警察官」に憧れる人は多い。
こんな人にピッタリ!
海の上という厳しい自然のもとで仕事をしていくには、何より体力が必要だ。そのためのハードな訓練に耐える気力も備えていなければいけない。また、どんな状況でも慌てることない冷静さや、「海の警察官」としての正義感、責任感が必要。団体作業になることが多いので、規則を守り、協調性があることも大切な条件になる。
どんな仕事?
海上犯罪の取りしまりや海難救助、安全管理などを行う
海上保安官は海上保安庁に所属する国家公務員。安全で美しい海を守るため、様々な仕事にたずさわっている。第1の仕事は、密輸、密航などの海上犯罪の取りしまりと、自然災害や事故が起こった時の救助活動。船同士の事故によって海に流れ出した油を取り除くことも大切な仕事だ。第2の仕事は、海底の地形、水深、海流などを調査して、情報を提供したり、海図などを作ったりすること。そして第3は、安全な船の旅には欠かせない灯台などの航路標識(海の道標)を設置・管理し、海の上の交通整理をする仕事だ。
ここがポイント!
まずは海上保安庁の教育機関に入る
海上保安官になるためには、まず海上保安庁の教育機関に入らなくてはならない。採用試験は、5つの教育課程の中からいずれかを選んで受験する。船舶運航システム過程、航空過程などの中から、自分が進みたいコースをじっくり考えて受験しよう。教育機関は全寮制で、海のスペシャリストになるべく、さまざまな専門知識や技能を学んでいく。採用試験は筆記試験や身体検査などがある。
幹部を目指すなら、海上保安大学校へ
海上保安大学校は、将来の幹部を養成する教育機関だ。教育期間は4年9か月。卒業時には日本で唯一の「学士(海上保安)」の学位が授与される。そして卒業後は、初級幹部職員として、日本全国の巡視船等に配属される。
将来はこうなる
日本の海域がおびやかされる状況に、その役割が重くなっていく
近隣諸国との緊張が高まり、日本の海域に周辺国が進出するなど、海域における日本の主権がおびやかされるようになった。将来的にも予断を許さない状況だ。また、密輸、密航などは増えており、海難事故もいつ起こるか分からない。海上の安全と秩序を守る仕事はますます重要になるため、海上保安官の役割もそれに合わせて重くなっていくに違いない。本人の希望と適正によるが、密輸、密航などを取りしまる「国際捜査官」や、「特殊救難隊」「潜水士」などのスペシャリストになるための研修制度もある。
データボックス
収入は?
海上保安官は国家公務員のため、基本給は法律で決められている。年齢や学歴、階級ごとに異なり、業務内容によって諸手当もつく。例えば、保安学校卒で、大型巡視船の士補の場合はおよそ月に25万円、保安大学校卒で、大型巡視船の主任の場合はおよそ月に26万円だ。また、教育機関の学生も、国家公務員(海上保安庁職員)なので、月額14万円程度の給与が支給される。
休暇は?
巡視船艇の勤務は4 週間で8 日の休みが基本。勤務時間は1日8時間だが、パトロールは24時間体制で行っているので、交代しながら船で寝ることも多い。事件や事故が起きた場合は、長時間勤務となることを覚悟しよう。
職場は?
全国13か所にある管区本部など。
なるためチャート
海上保安官の仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!