雨の日も台風の日も休まず、早朝や夕方の決まった時間におくれないように、新聞をお客さんのもとへ届ける。体力や気力がないと務まらない。
こんな人にピッタリ!
体力に自信がある人。責任感が強い人。記憶力がよく、気配りができる人。
どんな仕事?
バイクや自転車を使って新聞をお客さんのもとへ届ける
新聞社が発行した新聞をお客さんの家や職場などへ配達するのが新聞配達員の仕事だ。日本の新聞の9割以上が新聞配達員の手で直接配達されている。朝刊と夕刊を発行している新聞の配達員の場合、朝刊の配達作業が始まるのはまだ深夜。配達員は午前4時ころに販売所へ出勤し、新聞社からトラックで届く新聞の荷下ろしをする。そして前日に準備していた「折り込みチラシ」などを新聞にはさみこんだり、雨の日には新聞がぬれないようにビニールで包む作業を行う。その作業を終えた新聞の束をバイクや自転車に積んで運ぶ。新聞の束の重さは50キロほどにもなるため、運転にはバランス感覚が必要だ。配達員は担当する区域のコースを回って新聞を届けるが、多くの場合、午前4時30分ころに配達を始め、午前6時には配り終えるようにコースが設定されている。夕刊の場合は、午後3時30分ころに配達を始め、午後5時に配り終える。配達先に時間内にきちん届ける責任感、雨や雪の日も配達する体力、配達のルートを覚える記憶力、お客さんが希望する場所に新聞を置くなどの気配りができないと務まらない仕事だ。また、配達だけでなく、新しいお客さんを見つけたりお客さんから集金したりする営業の仕事もある。
これがポイント!
新聞販売店の正社員・アルバイト・パートになる
新聞配達員になるには、特別な学歴や資格は問われない。とはいえ、配達にバイクを使う場合は、16歳から取得できる「原動機付自転車免許(原付免許)」は必要だ。新聞配達員を目指すならば、新聞販売店に正社員として就職するか、新聞販売店が募集するアルバイトやパートに採用されるという道がある。一般的にアルバイトができる年齢は16歳からだが、新聞配達は例外的に13歳以上の中学生でも、親・中学校・労働基準監督署の同意・許可があればアルバイトができる。ただし、16歳以下は午後8時から午前5時までの時間帯は仕事ができない決まりだ。また、都市部では、新聞配達の仕事をすることで新聞社の「奨学金」というお金の助けを受けて、働きながら予備校・大学・短大・専門学校に通う学生もいる。ちなみに、奨学金制度のなかには、奨学金として借りたお金を卒業後に働きながら返すものもある。だが、新聞の奨学金制度の場合、在学中の新聞配達で得た給与からお金を返していくので、卒業後にお金を返す必要がないというメリットがある。また、正社員・アルバイト・パートの区別なく、配達員にアパートやマンションの個室寮を用意している住みこみの新聞販売店もある。
将来独立して新聞販売店の店長になる道もある。
同じ新聞をあつかう仕事でも、新聞社と新聞販売店はまったく別の会社。新聞販売店は、新聞社の商品である新聞を仕入れてお客さんに売る商店だ。仕事の種類で言えば雑貨店やコンビニなどと同じなので、新聞の仕入れ値とそれをお客さんに売った時の販売価格の差額が利益になる。そんな新聞販売店を将来自分で経営したいと考えるならば、店長候補生として就職しよう。新聞販売店の経営や運営に必要なあらゆることを学びながら、人と人のつながりである人脈を作る。新聞販売店の開業は、現在ある新聞販売店の権利を買い取って営業を引き継ぐのが一般的。「権利を売りたい人がいる」といった情報を得たり、「権利を買い取るのにふさわしい人です」と推薦してもらうためにも、幅広い人脈が大切だ。もちろん開業資金も必要なので、店長候補生の研修中にしっかり貯めておこう。
将来はこうなる
地域の安全を担う役割も期待される新聞配達員
テレビやインターネットで最新ニュースを得られる現在、新聞の発行部数は以前よりも減っている。しかし、電源もスイッチもない新聞には、幅広いジャンルの情報をわかりやすく説明した多くの記事を手軽に読める利点がある。それを届ける新聞配達員を求める声はこれから先もなくならないだろう。また、新聞配達員には、地域の安全を担う役割も期待されている。それは、毎日決まった時間に配達することを活かした「一人暮らしの老人の見守りサービス」や、犯罪が起こりやすい深夜から早朝にかけてバイクや自転車で細かな路地を走り回ることを活かした「防犯効果」などだ。ドライブレコーダーを取り付けた新聞配達のバイクが「移動する防犯カメラ」として活躍するかもしれない。
データボックス
収入は?
平均年収は323~362万円。賃金は、毎月決まった額がもらえる月給制、仕事にかかった時間分もらえる時給制、配達した数だけもらえる歩合制などがある。
休暇は?
週休1日制。ただし、販売店によっては休みなしの場合もある。また、新聞休刊日が1年に12回あり、配達員は交代で休みを取る。
職場は?
新聞販売店と、配達を担当する地域。
なるためチャート
新聞配達員の仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!