病院の患者や家族の心配ごとを聞き、問題を解決する方法を考えて手助けする相談役。
こんな人にピッタリ!
病気やけがなどで心や体に不調をかかえる人を相手にする仕事なので、相手の心や体の痛みを理解できる人。じっくり相手の話を聞くことができる誠実でねばり強い人。
どんな仕事?
患者や家族の相談に乗り、医療と福祉の橋渡しをする
ソーシャルワーカーは、社会生活に関わる問題で困っている人の相談に乗る「社会福祉の仕事をする人」のこと。その一つである医療ソーシャルワーカーは、病院などに勤務し、福祉の立場から患者やその家族の相談に乗り、安心して療養生活を送れる解決策を考える専門家。相談者にとって一番良いと思われる方法を提案・助言をして手助けするのが仕事だ。相談の内容は、医療費や生活費などの経済的な問題、退院後の社会復帰の方法、福祉施設への転院や入所方法など多方面にわたり、福祉と医療の橋渡し役のような仕事も行う。問題の解決策を考えるには、福祉と医療に関するさまざまな情報を集めたり、主治医や病院スタッフだけでなく役所など関係機関の相手と話し合ったりすることも必要になる。困っている人の役に立つことができる、やりがいのある仕事と言えるだろう。
これがポイント!
「社会福祉士」や「精神保健福祉士」の資格を取ろう
医療ソーシャルワーカーになるための特別な資格はない。だが、多くの医療機関は、福祉関係の国家資格である「社会福祉士」や「精神保健福祉士」の資格を持つ者を求めている。社会福祉士は、あらゆる人を対象に相談と手助けをする福祉の専門家。一方、精神保健福祉士は、精神的な障害や問題をかかえる人を対象に、その社会復帰や地域との共生を働きかけることが期待されている福祉の専門家だ。どちらの資格も、一般・福祉系の大学・短大を卒業したり、福祉の仕事の実務経験を積んだりすることで国家試験の受検資格を得ることができる。試験に合格したら、社会福祉士や精神保健福祉士として登録し、その後、病院や医療機関に採用されれば、医療ソーシャルワーカーとして働くことができる。
医療ソーシャルワーカーの能力を証明する認定制度
医療ソーシャルワーカーの大事な仕事の一つは、相談者の話を聞くこと。病気やケガ、心身に障害を持つ相手の話を聞くには、より細やかな心づかいが必要だ。言葉だけでなく、表情や仕草などから相手の気持ちを読み取る技術をみがく必要があるだろう。相談者が困っている問題の解決に利用できる行政サービスや社会保障制度などを調べることも不可欠。そこで公益社団法人日本医療ソーシャルワーカー協会では、医療ソーシャルワーカーの能力を証明する認定制度を実施している。国家資格の「社会福祉士」を取得・登録後、相談の実務経験が5年以上あり、研修会への参加や地域活動などを行うことで「認定医療ソーシャルワーカー」に認定されるのだ。実務能力のほか、困っている人の相談を受けて手助けする熱意と思いやりも大切だろう。
将来はこうなる
多くの医療・福祉施設で必要とされ、より専門的な知識が必要になる
医療ソーシャルワーカーは病院に限らず、福祉施設などでも必要とされている。高齢化社会を迎える日本では、多くの高齢者とその家族が福祉サービスを利用することになる。医療と福祉や行政をつなぐ医療ソーシャルワーカーの仕事が減ることはなさそうだ。さらに、患者や家族が相談する内容は多方面にわたるので、より専門的な知識と個別の事例に対応する能力が必要になる。現場で働くだけでなく、講習会や研修会などに積極的に参加して、新たな知識を吸収する姿勢も大事だろう。
データボックス
収入は?
所属する団体によって異なり、社会福祉士や精神保健福祉士の国家資格を持つ専門職としての手当が付くこともある。平均年収は382~407万円。
休暇は?
医療施設の多くは土日・祝日を休みにしているが、職員の休みが重ならないように交代で休むところもある。高齢者施設や障害者施設は、夜間勤務で平日に休む場合も。
職場は?
医療施設、高齢者施設、障害者施設など。
なるためチャート
医療ソーシャルワーカーの仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!