株式会社の運営資金となる「株」などの価値を評価して投資の判断材料を提供する。
こんな人にピッタリ!
好奇心が強く、世の中の動きに興味がある人。各種の経済データから意味を読み取るための想像力や分析力、情報収集力も大切。統計学など数学にも強い方が良い。
どんな仕事?
幅広い情報をもとにして「株価」の変化を予測する
「証券」は、国や会社が運用資金を得るために発行する「株」などの証明書のこと。「アナリスト」は、様々な情報をもとにして物事の原因を考え、今後どのように変化していくのかなどを予測する「分析者」のこと。証券アナリストは、証券会社や銀行などの金融機関に勤めている人が多い。その仕事は、株を発行する会社の業績や株の値段である「株価」が上がって利益が出るか、下がって損失が出るかなどを調査・分析し、それぞれの会社や株の価値を評価すること。株を発行する会社の業績説明会に出席したり、経営者に話を聞いたりして情報を集めるのもアナリストの仕事だ。そして、分析した結果をレポート(報告書)にまとめる。証券アナリストのレポートの評価は、株を売買する「投資」のお客さんにとっては、購入する株を選ぶ判断材料になるのだ。だが、株価の変化を正確に予測するのは大変難しい。情報は同じでも、人によって判断が異なることもある。それだけに、自分の予測通りに株価が上がったり、自分の情報を信じて株を買ったお客さんに喜んでもらえたりしたときの達成感は大きいだろう。
これがポイント!
仕事をするのに資格は必要ないが、仕事の能力を示す資格はある
証券アナリストになるための特別な資格はない。証券会社や銀行などの金融機関に就職し、社内でさまざまな仕事で経験を積んだ後に、適正のある人が証券アナリストの仕事を任されることが多いようだ。なお、証券アナリストとしての能力を証明する民間資格がある。公益社団法人日本証券アナリスト協会が認定する「証券アナリスト(CMA)資格」だ。その試験には第1次レベルと第2次レベルがある。第1次レベル試験を受けるには、日本証券アナリスト協会の第1次レベル通信教育講座を受講する必要がある。また、第2次レベル試験を受けるには、第1次レベル試験合格者で、第2次レベル通信教育講座の受講と3年以上の実務経験が必要だ。証券アナリスト(CMA)資格は知名度が高い資格なので、会社やお客さんからの信用につながることが期待できる。
証券アナリストと似ている仕事とそれぞれのちがい
金融や経済の世界には、証券アナリストとは異なる専門家である「ストラテジスト」や「エコノミスト」と呼ばれる仕事もある。ストラテジストは「戦略」を意味する「ストラテジー」から派生した仕事名。証券アナリストは株価の評価や予測をするが、ストラテジストは証券アナリストの評価や予測データ、エコノミストの調査・分析データをさらに分析して「どのような投資の仕方をすれば大きな利益を出すことができるか」という投資戦略を立てる専門家だ。一方、エコノミストは、経済(エコノミー)学者や研究者のこと。経済や金融全体を対象に調査・分析する仕事なので、個別の会社を調査・分析する証券アナリストや投資戦略を立てるストラテジストとは区別されている。
将来はこうなる
個人投資家が増えて証券アナリストの必要性が高まる
現在の日本は、賃金がなかなか上がらず、銀行に預金しても利息がほとんど付かないのでお金が増えない。そこで政府は、預金を投資に向かわせて経済を活性化させるために「NISA(ニーサ)」を推進している。個人が専用のNISA口座を使って一定の金額内で金融商品(株など)を買った場合に、そこから得た利益(配当金など)に税金をかけない制度だ。これまで投資には消極的だった人が投資を始めており、そのために株価を予測する専門家である証券アナリストへの期待や必要性は高まっている。近い将来には、アメリカのようにフリーランスの証券アナリストが増えるかもしれない。
データボックス
収入は?
金融機関に勤める場合は、その会社の規定によるが、高収入が期待できる。平均年収は722~1047万円。
休暇は?
週休二日制で祝日、年末年始が休みという職場がほとんど。勤務時間も午前8時30分~午後5時であることが多い。しかし、多くの会社が業務報告をする時期は、その情報の収集・分析のためにいそがしくなり、残業も増える。
職場は?
証券会社や銀行などの金融機関が多いが、お金を運用する年金基金のような団体、一般の会社の財務部門など活躍の場は広がってきている。
なるためチャート
証券アナリストの仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!