すし店や料理店ですしを作る専門家。海外の店で働くすし職人もいる。
こんな人にピッタリ!
物事に熱中しやすく、自分のこだわりを持っている人。協調性がある人。立ち仕事なので、体力のある人。
どんな仕事?
和食の「すし」を専門に調理する料理人
日本を代表する料理である「すし」を作るのが仕事。すしは、酢で味をつけたご飯(シャリ)に魚や貝の刺身などの具材(ネタ)を組み合わせた食べ物。すし職人がシャリとネタを手でにぎって作る「にぎりずし」は、江戸時代の東京で生まれ、その後に全国へ広まった。そのため「江戸前ずし」とも呼ばれる。すしの種類は多く、にぎりずしのほかにも、巻きずし、軍艦巻き、ちらしずし、おしずし、いなりずしなどがある。すし職人は、そうした様々なすしをつくる専門家だ。
毎日の開店前の仕事は、仕入れた魚や貝をさばいてネタの下ごしらえをしたり、ご飯をたいて酢と合わせたシャリを用意したりすること。開店後は、お客さんが注文するすしを提供する。すし職人が働く店には、個人経営の高級店や地元の店、回転ずしチェーン店、持ち帰り専門店、宅配専門店など、様々な業態がある。ちなみに、回転ずしチェーン店の場合は、ネタの仕入れや下ごしらえを行う専門の部署があるので、従業員のすし職人がそれらを行うことはない。どんな店であっても、心をこめて作ったすしをお客さんがおいしそうに食べる姿を見ることは、料理人としての大きなよろこびだ。
これがポイント!
すし職人に弟子入りして技術を学ぶ
すし職人になるには特別な資格や学歴は必要ない。必要なのは、すし職人としての技術だ。それを身につける方法は、大きく分けて2つある。1つは、すし職人に弟子入りすること。すし店に職人見習いとして就職して、師匠や先輩の仕事を見たり、教えられたりして技術や知識を覚えていく。すしの世界には「シャリ炊き3年、合わせ5年」という言葉がある。それは「ご飯をおいしく炊けるようになるまでに3年、ご飯と酢をうまく合わせられるまでに5年かかる」という意味だ。そこから、一人前のすし職人になるには10年近くかかると言われている。だが、市場で仕入れる季節の魚や貝を選ぶ目を養ったり、師匠や先輩がお客さんとやりとりする姿を間近に見て接客術を学べたりするのは、実際に店で働く弟子入りならではの貴重な経験だろう。また、様々なことを学びながら給料をもらえるのもうれしい。
専門学校に通って、すし職人に必要な技術を教わる
すし職人としての技術を身につける2つ目の方法は、調理学校などの専門学校で学ぶこと。すしに特化した専門学校の授業には、数ヶ月で一通りのすしをつくれるようになるコースもあるようだ。学校が経営するすし店で実習を行うことで、接客技術を学べる学校もある。すし職人に必要な技術や知識を、年齢や性別を問わず、しかも短期間で教わることができるのは、学校で学ぶ大きな利点。少しでも早くすし職人として働きたい人にとっては、効率的な進路かもしれない。ただし、100万円を超える学費がかかることもある。
将来はこうなる
すし職人として世界を目指す機会が増える
個人で経営するすし店は減少しつつあるが、回転ずしのようなチェーン店は増えている。大手回転すしチェーン5社の店の数は、2022年2月時点で約2200店。10年間で800店増加している。今後も増えていくだろう。しかし、回転ずしチェーン店の多くは、価格を安くおさえる工夫として「にぎりずしのシャリをにぎるロボット」を導入するなど、機械化によって人間の労力を減らす方向に向かっている。そうした店では、職人がすしをにぎることは少なくなっているようだ。だからといって、すし職人が自分のうでをふるうために独立して店を構えても、経営は厳しいと思われる。回転ずしチェーン店では味わえないメニューなど、独自の工夫が必要だろう。一方、海外では、すしはヘルシーな料理として人気が高い。「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録された2013年の海外における日本食レストランは約5.5万店だったが、2021年は約15.9万店に増加している。本格的な日本食レストランでは、カウンターで食べる「回らない」すしの人気も高いようだ。すし職人として世界を目指す機会は増えていくだろう。
データボックス
収入は?
平均年収は309~327万円。有名店になるともっと高給が期待できる。
休暇は?
店によって異なるが、月に6日ほど。ほとんどの店が土日祝日も営業するので、休暇は平日になる。
職場は?
個人経営のすし店、回転ずしチェーン店、持ち帰り専門店、宅配専門店など。
なるためチャート
すし職人の仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!