乳牛を育て、乳をしぼって牛乳のもとになる生乳を生産する。生乳をチーズやバターなどの乳製品に加工して出荷する酪農家もいる。
こんな人にぴったり
動物が好きな人。体力があり、根気強い人。
どんな仕事？
乳牛の世話をして、乳製品の原料を生産する仕事
酪農家の主な仕事は、牛の乳しぼりと、エサやりや牛舎のそうじなどの牛の世話。乳しぼりは早朝と夕方の２回行う。人間が手でしぼることは少なく、「ミルカー」という機械を牛の乳に取り付けて行うことが多い。また、牛が寝起きする牛舎のそうじを行うのも大切な仕事だ。大便と小便を取り除き、牛のベッドとなるワラを取りかえる。牛を健康に育てるには牛舎を清潔に保たなくてはならないため、そうじは１日に数回行うこともある。牛は１日に大量の草を食べるので、エサやりも重労働。自分の土地で牧草を育てている場合は、牧草の種まきや刈り入れも行う。また牛は、赤ちゃんを産んだ年でないと乳を出さないので、毎年赤ちゃんが生まれるようにするのも大切な仕事だ。
これがポイント！
特別な免許や資格は必用ないが、専門知識は必用
酪農家になるための特別な免許や資格はないが、牛に関する専門知識や技術は不可欠だ。それを習得するには、酪農系の会社や牧場に就職して実際に仕事をしながら覚える方法と、農業系の高校や大学で学ぶという2つの道がある。高校卒業後や社会人になってからも、あらためて農業の専門学校である「農業大学校」に入学し、学ぶこともできる。さらに、酪農家を手助けする「酪農ヘルパー」という仕事もあり、酪農ヘルパー全国協会や各地の利用組合が開催する研修会で実技を習得すれば、牧場へ出向いて牛の世話を手伝うことができる。牛の世話は肉体労働なので大変な面もある。だが、ブラッシングで牛のストレスをへらすなど、牛とのきずなを深めれば牛もこたえてくれる。やりがいのある仕事だ。
将来はこうなる！
努力と工夫次第で牧場を発展できる
酪農は、人間の生活に欠かせない「食」を支える仕事。だが、従事者や経営者の高齢化が進んでおり、人手が不足し、あとをつぐ人もへっている。そのため、新しい責任者やあとをつぐ人を見つけるための人材育成に力を入れる牧場もある。酪農は広い土地や牛舎、乳をしぼる機械などの設備にお金がかかるので、一から始めるのは大変だ。それだけに、あとつぎを期待している牧場で働けるのは、酪農家として一人立ちしようとする人には大きなチャンスでもある。とくに「自分の牧場で生産した生乳をチーズやバター、お菓子などに加工し、インターネットを通じて全国へ販売したい」といった大きな目標があれば、努力と工夫次第で、いくらでも牧場を発展させることができるだろう。目指すものがある人には将来性がある仕事だ。
収入は？
令和元年のデータでは、酪農を経営する会社の所得は1,004.8万円。個人経営の所得は820万円。自分の牧場で採集した生乳を加工した乳製品の販売などで収入を増やすことも期待できる。
休暇は?
生き物を相手にする仕事なので、基本的に年中無休だが、会社の場合はシフト制で休みがとれる。個人経営の牧場ならば、酪農ヘルパーのサポートを受けて休むこともできる。
職場は？
牧場。酪農系の会社の場合は、加工乳製品の工場や観光牧場のスタッフとして働くこともある。
