社会科の力をICTで伸ばす! 地図活用プログラミング教材を使った授業事例を紹介<地域学習>
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子どもたちに1人1台の情報端末が配られているいま、それを活用したICT教育が各教科で模索されています。ICTといえば理数系教科を思い浮かべそうですが、実は社会科とも相性は抜群。ここではその具体例として、デジタル地図とプログラミングをかけあわせた教材を使った、地域学習の授業事例を紹介します。
調べて、まとめて、発表する――ICTで社会科を最適化
社会科の授業では「調べる」「まとめる」「発表する」という形式をとる場合が多くあります。ICTを使うと、その工程が効率よく、子ども1人1人に最適化して行うことができます。
●「調べる」×ICT・・・家から新聞を持ち込んだり、図書館へ移動して調べたりといったことの代わりに、ウェブサイトを使って検索することで、自分の席で完結することができる。
●「まとめる」×ICT・・・紙に複数の子どもでまとめる方法にくらべ、1人1人が思い思いの成果物をつくりやすい。また、文字やイラストが得意でない子どもにとって、表現がしやすくなる一面も。
●「発表する」×ICT・・・人前で話すことに苦手意識があり、これまであまり自分の意見を表に出せないでいた子どもたちも、プレゼン動画をつくったり、オンライン上のホワイトボードにふせんで意見を書き込んだりといった発表形式であれば、自分の意見を表明しやすくなる。
上記のメリットを踏まえ、社会科での地図学習・地域学習をさらにICTを活用して深められないかと考えていたのが、横浜市の森村学園初等部、川島大和先生です。
・日常生活で使う地図はデジタル地図が圧倒的に多い
・紙の地図学習では知識の詰め込みになりがち
このような課題を考えていたときに出会ったのが、地図で知られるゼンリンが2021年にサービスを開始した「まなっぷ School Edition(以下、まなっぷ)」だったそうです。
森村学園初等部
川島大和先生
(小学校3・4年生 社会科専科)
神奈川県横浜市にある森村学園初等部の社会科専科の先生で、今年で4年目。「授業が楽しいかどうか」を大切にしており、毎学期アンケートをとるなどして子どもたちの満足度を確認しながら授業を行われています。
地図活用プログラミング教材「まなっぷ」って?
「まなっぷ」は、ゼンリンが開発した、デジタル地図を使ったブラウザ型のプログラミング学習ツール。スクラッチのように、必要なプログラムのブロックをパズル感覚で組み上げるシンプルな操作で、デジタル地図上に取り込んだ写真やコメントを表示させたり、目的地間を移動手段に応じた経路で線を引いたりできます。また、その経路に沿ってかわいらしいオリジナルキャラクター「まにゃっぷ」を動かすことも可能。
プログラミングツールの常として、授業の本題に入る前に基本操作を習得する時間が必要になりますが、川島先生の授業では、独自に作成した「ミッション」に子どもたち自身が試行錯誤しながら取り組み、基本操作を習得したそうです。そのなかで、さまざまな力を養うことができたと川島先生は言います。
以下の動画では、まなっぷを使うことで身に付く力や使用イメージを紹介しているので、ぜひご覧ください。
【授業事例】地図活用プログラミング教材を使った地域学習
ここからは、小学3年生・社会科の授業でどのように「まなっぷ」を授業に取り入れ、課題を解決していったのか、川島先生に教えていただきました。
単元は「地域の安全について」。通学路の危険個所を調べてまとめる授業で、従来であれば調べたことを模造紙などに書いてまとめていたそうですが、「まなっぷ」を使うとどんな授業ができるのでしょうか?
<授業構成>
<操作習得と課題解決の訓練>
まずは「まなっぷ」でつくった作品を見せて興味を引き、「まなっぷ」の操作を学びます。チュートリアル機能にある「はじめてのまなっぷ」はブロックが少ないため、基本操作習得に集中でき、役立ちました。
基本操作だけなら、「まなっぷ」に用意されているチュートリアル動画を利用すれば、おそらく子どもたちでも授業1コマで習得できると思います。ただ、今回は時間を取って、操作だけではなく、課題解決的な思考方法も学んでもらおうと、練習プリントを手作りしました。思考方法を学ぶ時間として計3コマを取って、教員側は答えを教えることはせず、子どもたちが自分で試行錯誤しながらミッションをクリアしていきました。
<課題設定>
「まなっぷ」を使うだけでは、プログラミングの授業になります。そこで「なんのために」使うのかという目的を設定することで、社会科の授業になるよう工夫しました。
今回は「1年生が登下校中に危ないところを走っていて心配」というある教員の話をヒントにしました。
地図に親しむこと、学校の周辺を知ること、登下校中のマナーや安全について考えること、そして「1年生に通学路の危険な場所を教えてあげる」という「まなっぷ」を使う目的を設定しました。
<フィールドワーク>
社会科では「まちたんけん」という単元があります。これまでのまちたんけんのフィールドワークでは、まちの「何か」を自分で探して歩くので、もう一つ集中しきれていない様子もうかがえていました。今回は「1年生に通学路の危険な場所を教えてあげる」という目的意識を持っていたため、フィールドワークの質は上がったと感じました。
「まなっぷ」の地図に表示することを前提に、曲がり角や下り坂、交差点、目印となるものなどを意識して撮影できました。
<プログラミング>
フィールドワークの後は、子どもたちそれぞれが個人でオリジナルの地図を制作しました。まなっぷを使ってそれぞれの端末で取り組むことで、1枚の模造紙に複数の子どもが集まって作業をすることを避けられ、新型コロナウイルス感染症への対策にもなりました。
子どもたちにとって端末は、すでに文房具の1つとなっています。
端末の扱いや、プログラミングの覚えは、教員側より、子どもたちの方が得意になりつつあります。何かうまくいかなかった場合は、子どもたち同士で教え合うような姿が見られました。
<1年生に見せる>
最後に「発表」として、最初に設定した課題の通り、作成した作品を使って実際に1年生に通学路の危険な場所を教えてあげる取り組みも行いました。
3年生にとっては「教えてあげる」ということが新鮮だったようで、そこに責任感が生まれ、心の成長を感じました。終わった後には大きな満足感もあったようです。「1年生が喜んでくれた!」という感想が多くみられました。
また1年生も「3年生になったら自分も下の子に教えてあげたい」「安全に登校しよう」という意識が高まったほか、「まなっぷをやってみたい」という声もありました。
◆実際に子どもたちがつくった作品例は、以下の動画でご覧いただけます(1:32~)↓
<川島先生のコメント>
「まなっぷ」はプログラミングに詳しくない私でも、マニュアルなどを見なくても、直観的に操作がわかるほどの手軽なツールでした。
特に、写真やコメントを表示できること、目的地間で移動手段ごとに経路を調べたり、その経路に線を引けたりできることが、ほかのデジタル地図にはない機能で、魅力でした。
プログラミング的思考を養えたのと同時に、子どもたちが地図を見る回数が圧倒的に増えました。自分で撮影した写真を表示することで地図と現実世界をわかりやすくつなげることができ、地図に親しみを持ってくれたと思います。これが高学年になって地図帳を使った学習をするときに、良い影響を与えると期待しています。
一度、操作を覚えてしまえば、「まちあるき」や「防災」などほかの社会科の単元でも活用が可能です。理科などで、地域の植物マップをつくることもできるかもしれません。
また、修学旅行や遠足など校外学習を、行って終わりではなく、「まなっぷ」を使ってルートや写真を見せ、保護者に成果発表するというような総合的な使い方も考えています。
<子どもたちの声>
・思い通りに動かせてうれしかった
・設定ミスがないか心配だったけど「わかりやすい」と言ってもらえてうれしかった
・うまくいかないところを友だちに教えたり教えてもらったりして楽しかった
・伝えたいことがまだあった。次はもっとコメントを入れてつくりたい
・今度、旅行に行ったときに、日記みたいな作品をつくってみたい
<「まなっぷ」の作品を見た保護者の声>
・地図の読み方とプログラミングが同時に学べてよい
・写真やコメントが表示され、実際に歩いた時の様子が想像できた
・改善点をすぐに修正するなど小学3年生でもソフトを十分使いこなせていて驚いた
・(保護者に)まなっぷの使い方まで教えてくれるくらい、授業が楽しいよう
・失敗してもあきらめず、最後は「できた!」と達成感にあふれていた
もっと知りたい! 「まなっぷ School Edition」
「まなっぷ School Edition」は、学校教員が授業へ導入しやすいよう、充実したサポートツールが用意されています。
もともと基本の操作自体が難しくない上に、丁寧なチュートリアル動画が付いているので、児童もすぐに使いこなせるようになります。
また、教員経験のあるスタッフが開発した学習指導案が用意されており、教員の授業準備の手間を削減することができます。
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