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いま注目の”創造的”プログラミングアプリ「スプリンギン」、授業でどう使う?

いま注目の”創造的”プログラミングアプリ「スプリンギン」、授業でどう使う?

「Springin’(以下、スプリンギン)」は、自分で描いたキャラクターを動かしたり、身近な音を取り込んだりして、直感的な操作でゲームや動く絵本がつくれる”創造的”プログラミングアプリ。クラスルーム版が登場し、学校教育におけるプログラミング教材としても導入が広がっています。その特徴や学校の授業での活用方法について、アプリを開発した株式会社しくみデザイン代表の中村俊介さんにお話をうかがいました。

最短距離で作品ができるプログラミングアプリ

小学校でプログラミング教育が必修となり、さまざまな教材が導入されています。その中でも、独自のプログラミング方法を採用しているのが、スプリンギンです。特徴は、構文や言語を学ばなくてもすぐにプログラミングできること。お絵かきツールでキャラクターを描いて、動かし方を表すアイコンを選ぶだけで、プログラムを作成できます。そのため、小学生はもちろん、未就学児でも作品作りに挑戦できます。

<スプリンギンのイメージ動画>

 

「最短距離で作品をつくるのが目的のアプリです。つくることは楽しいのに、みんながやらなくなる理由は、プログラミングが難しくて面倒だから。スプリンギンはつくるために勉強することを極力ゼロにできることが特徴で、プログラミングアプリだけど、プログラミングを学習するアプリではないんです」と中村さんは言います。

文字も構文も使わないので、エラーもありません。動かし方や機能の属性を表すアイコンを覚える必要はありますが、物理現象・自然現象をイメージさせるイラストが表示されているので、直感的に、短時間で理解することができます

スプリンギンのアイコン

例えば、リンゴの絵を描いて、重力をかける方向を決めたら、そちらに向かってリンゴが落ちていきます。床の絵を描けば、その上に落ちたリンゴがすべり、回転の属性を付加すれば、転がります。その作成方法について、中村さんは「描いたキャラクターの性格を決めていく」と表現します。

転がったリンゴが、最後に旗のイラストにぶつかったら、画面が切り替わり、「ゴール」のサウンドを響かせる設定もできます。

<スプリンギンの操作イメージ>

他のプログラミングツールと比べて、お絵かきツールが使いやすいことも特徴です。子どもたちは自由に絵を描いて、色を塗り、キャラクターをつくっていきます。絵が得意な子どもなら、漫画を描いて、物理演算の属性を使って、動く漫画をつくることもできます。

使いやすいお絵かきツール

「大人は説明書が欲しいと言いますが、子どもたちは使いながら覚えていきますね。実際に使ってみてひっぱったらもどるバネのような動きを発見したりします」(中村さん)

また、つくった作品はユーザー同士(クラスルーム版であればクラス内)で共有できるのも大きな特徴。その作品がどのようなプログラムでつくられているのかも見ることができ、「僕たちがまったく関与していないところで、子どもたちはお互いの作品を見ながら、レベルを上げていっています」と中村さんは言います。

「プログラミングができるパワーポイント」に近い表現ツール

「スプリンギンは、厳密にはプログラミングツールとは言っていないんです。“プログラミングができるパワーポイント”みたいな考え方が近いですね」と中村さん。プログラムをつくることが目的ではなく、何かを表現するためのツールという考え方です。プログラミングは「ペンと紙」と同じレベルになるべきとも語ってくれました。

スプリンギンを教育における表現ツールとして使える代表例が「自由研究」です。自分でまとめたり考えたり調べたりしたことを、紙やパワーポイントでまとめる代わりに、スプリンギンを使ってまとめることができます

例えば、「自由研究」をテーマにした学研×Springin’のプログラミングコンテストで最優秀賞をとったサルサルさんの「自由研究~おふろは何リットル?」では、実際に1リットルずつ水を計ってお風呂に入れながら、「お風呂には何リットル水が入るのか」を検証する様子が、写真などで表現されています。さらに、見る人が楽しめるようにアクションゲームの要素も取り入れられています。

スプリンギンをつかった自由研究作品「おふろは何リットル?」

スプリンギンをつかった自由研究作品「おふろは何リットル?」

スプリンギンをつかった自由研究作品「おふろは何リットル?」

スプリンギンをつかった自由研究作品「おふろは何リットル?」

スプリンギンをつかった自由研究作品「おふろは何リットル?」

スプリンギンをつかった自由研究作品「おふろは何リットル?」

スプリンギンをつかった自由研究作品「おふろは何リットル?」

また、自由研究では、さまざまなアクションゲームや動く漫画など、スプリンギンでデジタルの工作として作品をつくることもできます。1枚ずつ描いた絵をたくさん集めて、作品集を作り、サウンドのBGMをつける、といった使い方も考えられます。

スプリンギンの作品例

スプリンギンの作品例

スプリンギンの作品例

プログラミング教育を早期から推進している畿央大学教育学部の西端律子教授は、スプリンギンについて次のように語ります。

「スプリンギンは、子どもたちが表現する手段の1つとして、できることがたくさんあります。図画工作というアナログの世界ももちろん大切ですが、デジタルだからこそ新しくできることも増えます。新しいクレヨンみたいに表現することができますね。
夏休みの課題や自由研究で、子どもたちが制限なく自由に使える時間に使ってもらうのもいいですね。親子や家族三代で研究に挑戦することで、コミュニケーションのツールにもなると思います」(西端教授)

学校の授業ではどのように活用する?

スプリンギンには、個人向けのほかに、学校向けの「Springin’ Classroom(スプリンギンクラスルーム)」(以下、クラスルーム版)があります。

どちらもプログラミングの方法は同じですが、一般向けはつくった作品を誰でも見られるように共有できるのに対して、クラスルーム版は学校内やクラス内でしか共有できないように制限されています。それにより、十分なネット知識がないまま公開してしまったり、授業に関係ないゲームで遊んでしまったりすることを防ぐことができます

スクール向けは有料ですが、無料版も提供されています。現在、クラスルーム版のアカウント発行は約300校です。福岡市内の小学校全校で導入されたほか、横浜市では、興味をもった先生が申請してくれたとのことで、インストール可能アプリに指定されています。

学校での活用では、先に紹介した表現ツールとしての使い方のほかに、次のような事例があります。

学校での授業事例①

くるくる回る属性を利用して、画面の中で色がまざる様子を見せたり、形を変えて落としたときにどんな動きをするかを確認したりする実験。

学校での授業事例②

ミュージシャンを呼んで、学校中でいろんな音をサンプリングしてきてオリジナル楽器をつくってみんな合奏。

学校での授業事例③

タブレットのジャイロセンサーを活用して、画面の中のボールが壁にぶつかったら、音が出る仕組みを作成。運動会のおたまリレーのように、バトンタッチしながら遊ぶ。

そのほかの授業事例や導入校紹介はコチラ

スプリンギンで身につくスキルとは?

「よく、プログラミングの三大要素は入っていますか? と聞かれます。順次処理/分岐処理/繰り返し処理はもちろん入っているし、関数定義やクラス定義もできるし、現代プログラミングの思考は入っています。ただ、それを知ったところで役に立つわけではありません。これを使って何ができるかが重要なんです」と中村さんは言います。

スプリンギンを利用した保護者へのアンケートでは、次のような反応があったそうです。

 

本を読むようになった……スプリンギンでアウトプット(表現)するには、インプットが必要。

算数が好きになった、理科が好きになった……物理表現や数学的な表現に触れて興味を持った。

明るくなった……自分を表現する楽しさがわかった。つくった作品がほめらて、こんなのできたって言うようになった。

 

スプリンギンで身につくスキルには、創造力、論理的思考力、試行錯誤力、物語力、表現力、マーケティング力があるとのこと。つくった作品は売ることができ、表紙画像や説明も重要なので、マーケティングの能力も身につくそうです。

さまざまなテーマでコンテストを実施

今後はアウトプットの機会として、月に2つくらいはコンテストを開催していきたいという中村さん。企業とタイアップしながら、それぞれが伝えたいこと、問題を解決する方法なども、テーマにしていきたいそうです。

「大切なのは賞の大きさではなく、賞を取った事実ですね。たくさんのコンテストを実施することで、入賞した、選ばれたという成功体験をより多くの子どもたちに味わってもらうことに価値があると考えています」(中村さん)

今回お話をうかがった、株式会社しくみデザインの代表取締役・中村俊介さん。芸術工学博士でもあります。

関連リンク

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