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図解でわかる! 発達障害の理解と支援
#第2回「障害者手帳」

図解でわかる! 発達障害の理解と支援#第2回「障害者手帳」

放課後等デイサービスTEENSの『図表でわかる!発達障害』シリーズをもとに、「発達障害」にまつわる情報を、図表と一緒に紹介する本連載。
第2回は、発達障害の「障害者手帳」をテーマにお届けしたい。
※特別支援情報誌『月刊 実践 みんなの特別支援教育』(Gakken)のバックナンバーより抜粋して掲載しています

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障害者手帳とは?

障害者手帳は、「障害があることを証明するための手帳」である。日本には現在「身体障害者手帳」「療育手帳(知的障害者用手帳)」「精神障害者保健福祉手帳」の3種類の障害者手帳がある。

手帳は、必要書類を準備して居住地の自治体の福祉事務所に申請をする必要がある。症状や生活上の困難さなどから、取得の可否が判定される。

発達障害の人が取得できる障害者手帳

現在、発達障害専用の手帳は存在せず、知的障害のある場合は、「療育手帳」(『愛の手帳』『みどりの手帳』など、名称は自治体によって異なる)を、知的障害のない場合は、「精神障害者保健福祉手帳」を取得することができる(両方を取得する場合もある)。より手厚いサポートを受けられる療育手帳は、自治体によって異なるが、おおむねIQ70以下の人が取得できる。

大人になって発達障害がわかった人の多くは「障害者枠」での就職を目的に「精神障害者保健福祉手帳」を申請するケースが一般的である。

誤解されることが多いが、発達障害の人も「社会的な制約」があれば障害者手帳を申請・取得できる。また、「うつ」などの二次障害がないと受け入れられないことが過去にはあったものの、国の方針が明確になった2010年ごろから、二次障害がなくても障害者手帳を取得する発達障害の方が急激に増えている。最近では、申請して却下されることはほとんどない。

発達障害の判定と障害者手帳の申請

発達障害を正確に判定するためには「一定期間(半年以上)」続けて通院し、症状が続けて表れることを医師が確認する必要がある。そのため、障害者手帳は、初診から6か月以上経過後に申請可能となる。申請書は居住地の自治体に提出し、各都道府県の精神保健福祉センターに送られ判定が行われる。判定の要素は次の3点である。

・どんな症状があるか
・日常生活や社会生活を送るうえでどんな難しさがあるか
・総合的に考えてどのくらいの障害の重さか

なお、精神障害は症状がよくなったり悪くなったりと変化することが少なくないため、精神障害者保健福祉手帳は2年ごとに再認定を受ける必要がある。

障害者手帳を取得するメリットは?

障害者手帳を使用する場面は、下図のような例がある。進路選択の際、必要なサポートを求める際の証として活用できる。

一方、障害者枠で就職する以外の場面では、障害があることとサポートの必要性が認められれば、必ずしも障害者手帳を取得している必要はない。逆にいうと、障害者手帳があれば、絶対に特別支援学校に進学できる・障害者枠で就職できる・障害年金を請求できる、というわけではないので注意が必要だ。

そのほか、税金の減免や各種交通機関の運賃割引など、手帳の種類や等級に応じてサービスを受けることができる。その内容は居住地域の自治体によって異なる場合がある。

障害者手帳を取得するデメリットは?

障害者手帳を「もっている」こと自体のデメリットはほぼない。取得をしたからといって、学校や勤務先に申告する義務はなく、更新時の手続き以外は特にやるべきことが生じることもない。また、必要がなくなった際には返還することもできる。例えば、障害者枠で働いていたが一般枠の求人に応募して転職したときなどが考えられる。唯一デメリットがあるとすれば、障害受容ができていない段階では、取得や使用に抵抗感や不安感が生じるリスクがある。

自分にとって必要なサービスがあるのか考え、納得感をもったうえで取得を検討できるとよい。

監修:宮尾 益知(どんぐり発達クリニック)
作成:TEENS
イラスト:BONNOUM
掲載雑誌:『月刊 実践 みんなの特別支援教育』

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