コンビニエンスストアの責任者。店の所有者が店長をしていたり、所有者にやとわれている店長もいたりする。
こんな人にピッタリ!
明るくて人当たりがよい人。人と話をすることや、人の役に立つことが好きな人。人を指導したり、集団をまとめたりするのが得意な人。体力のある人。我慢強い人。
どんな仕事?
コンビニエンスストアを取りしきる責任者
コンビニは、「コンビニエンス(便利な)ストア(商店)」を略した言葉。店の規模は小さめだが、飲食料品をはじめ多くの種類の商品が売られ、書類のコピー、公共料金の収納代行、宅配便の受付、チケットの発券、ATMなど、数々のサービスを提供する。しかも、ほとんどの店が年中無休、24時間営業で、名前の通り便利な店だ。個人や会社が独自に経営する店もあるが、多くの店は「フランチャイズ」と呼ばれる方式で経営されている。どの経営方式でも、店長の仕事は同じ。店の経営や運営がうまくいくように取りしきる「管理」だ。なかでもいちばん大切なのは、店で売る品物を仕入れる「商品管理」。お客さんが求める品物を十分にそろえておくのもサービスの1つ。そのためには、売り場の品物が不足しないように、補充分を倉庫に取っておかなくてはならない。しかし、おにぎりや弁当などの賞味期限がある品は、期限が切れると売れなくなり、売れ残りは店の損となってしまう。そこで店長は、売れ行きを予測して仕入れる量を決め、損を出さずに利益が上がるようにする。それが店長の実力の見せどころだ。また、店の運営スタッフである従業員やアルバイトの採用を決めたり、仕事を指導したり、勤務シフト(交替する順番)を考えたりする「従業員管理」も店長の役目。従業員やアルバイトが働けない場合は、店長が長時間、接客をすることもある。ときにはお客さんの苦情を聞くなど、店の責任者である店長の仕事は想像以上に重労働。どんなことにも対応できる気力と体力が必要な仕事だ。
これがポイント!
大手コンビニエンスストアには2種類の店がある
大手コンビニエンスストアを運営する会社は「本部」と呼ばれ、本部が直接経営する店は「直営店」と呼ばれている。一方、同じ名前のコンビニエンスストアでも、本部ではなく、個人や別の会社が経営する店もある。じつは、大手コンビニエンスストアには「フランチャイズ」という仕組みがある。それは、「チェーン」と呼ばれるグループに加盟して「ロイヤリティー」と呼ばれる使用料を本部に払うことで、大手コンビニエンスストアと同じ店名、看板、店内デザインを使うことが許され、経営の指導もしてもらえるというもの。加盟店は、毎月の売り上げに応じて、決まった割合の金額を本部に支払わなくてはならないが、大手コンビニエンスストアの知名度をいかして人気の商品を売ることができる利点があるのだ。それを利用する店を「フランチャイズ店」と呼ぶ。このように、コンビニ店長を目指す場合、直営店の店長とフランチャイズ店の店長の2つの道がある。
直営店、フランチャイズ店、それぞれの店長になる方法
直営店もフランチャイズ店も、店長になるための特別な資格はなく、学歴も問われない。
まず、直営店の店長になるには、本部に正社員として入社する必要がある。正社員は直営店で実際に勤務して店を運営する技術や知識を身に付けるので、その流れで店長として働くことになる。しかし、正社員は直営店の店長が最終目標ではない。将来的に、フランチャイズ店の指導役になったり、マーケティングや商品の企画開発をしたりすることが多い。直営店の店長は、正社員が次の段階の仕事へ進むための通過点と考えたほうがよさそうだ。
一方、フランチャイズ店の店長になるには、2つの方法がある、1つは、自分が店のオーナーとしてフランチャイズに加盟する契約を本部と結び、「オーナー店長」になる方法。店を所有していなくても、本部が店を提供する仕組みもある。もう1つは、フランチャイズ店を運営する会社に入社したり、オーナーに気に入られるなどして、店長を任される「やとわれ店長」として働く方法。アルバイトの仕事ぶりを買われて店長になる人もいる。
どの方法も、やる気があれば、独立開業も夢ではないだろう。
将来はこうなる
お客さんの要望に応じる努力が常に必要
便利なコンビニエンスストアは、今後もなくなることはないだろう。ただし、これまで店の数が増え続けていたコンビニエンスストアも、コロナ禍の2020年に成長がストップ。人口の減少などもあり、新たな店をどんどん増やす経営方法は限界という見方もある。これからは、現在ある店の売り上げを増やすことが重要になりそうだ。店長は、これまで以上に接客を通じてお客さんの要望を受け止め、それに応じた商品をそろえたり、より満足してもらえるサービスを展開したりする必要がある。都市部の店では、店員が店内に姿を見せず、お客さん自身が会計をすませる「セルフレジ」がサービスの主流になるかもしれない。地方の店では、来店するのが大変なお客さんのためにインターネットを利用したビデオチャットなどで注文を受け、品物をドローンで配達するサービスも考えられる。お客さんに「便利」と思ってもらえる努力を続けることは、これからも変わらないだろう。
データボックス
収入は?
本部とフランチャイズ店との契約などによって異なるが、やとわれ店長や直営店の店長の平均年収は420~545万円。オーナー店長の平均年収は657~970万円。
休暇は?
店は年中無休だが、店長もふくめた運営スタッフは基本的に週休二日。ただし、従業員やアルバイトの予定にない欠勤で運営スタッフが足りない場合、店長は休日でも働くことがある。
職場は?
コンビニエンスストアの店。店の売り場やレジで接客をするだけでなく、「バックヤード」と呼ばれる店の裏側(事務室や倉庫など)で作業をすることも多い。
なるためチャート
コンビニ店長の仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!