こたえ:1時間に約1700kmの速さで回っています。
地球上の場所が自転によって1日に動く距離から、その速さを求めましょう。地球は1日に1回、自転しています。地球の赤道の長さは約4万kmですから、赤道上のある地点は、24時間で約4万km動くことになります(関連記事「地球1周の長さは?」)。これを時速で表すと、約4万÷24=約1700。つまり、赤道上の自転の速さ(自転速度)は時速約1700kmです。
これがどのくらいの速さなのか、身近なものと比べてみます。東北新幹線を走る「E5系」(はやぶさ) と「E6系」(こまち)の最高速度は時速320km1)、ボーイング社のジェット機「787型機」の巡航速度(もっとも効率のよい速度)は時速916km2)です。地球の自転速度は、新幹線の5倍以上、ジェット機の約2倍ということになります。
自転速度を分速や秒速に直すと、さらにイメージしやすいかもしれません。1時間は60分なので、4万÷24÷60=約28で分速約28km。1分間は60秒なので、4万÷24÷60÷60=約0.46で秒速約460mとなります。音が空気中を進む速度は秒速約340mですから、地球の自転速度は音よりも速いのです。
こんなに速く回っているのに、わたしたちがその速さをまったく感じないのは、ふしぎですね。これは、地球上にいるわたしたちや、まわりの空気も地球と同じスピードで動いているからです。
ここまでは赤道上での自転速度を見てきましたが、日本での自転速度も確認しておきましょう。日本の緯度を北緯35°とすると、自転速度は時速約1374kmです。赤道上の地点に比べて1日に動く距離が短い分、少しだけ自転速度もおそくなります。
地球の自転速度は、長い間に変化しているといわれています3)。1日は24時間ですが、この長さは19世紀の約100年間の1日の長さの平均をもとに決められました。けれども1990年ごろには、地球が1回転するのにかかる時間が24時間より約2ミリ秒(1ミリ秒は1000分の1秒)長くなりました。
では、地球の自転速度はおそくなっているのでしょうか。研究によると、必ずしもそうとは言えないようです。2003年の自転を観測すると、1回転にかかる時間は24時間より約1ミリ秒長くかかっていました。つまり、2003年には1990年ごろより自転が速くなったわけです。
このように、自転速度は長い期間をかけて変化しています。そこで科学者たちは、「うるう秒」とよばれる1秒を12月31日か6月30日の最後に加えて時刻のずれを調整しています。
記事公開:2021年12月
参考資料
監修者:大山光晴
1957年東京都生まれ。東京工業大学大学院修士課程修了。高等学校の物理教諭、千葉県教育委員会指導主事、千葉県立長生高等学校校長等を経て、現在、秀明大学学校教師学部教授として「理数探究」や「総合的な学習の時間」の指導方法について講義・演習を担当している。科学実験教室やテレビの実験番組等への出演も多数。千葉市科学館プロジェクト・アドバイザー、日本物理教育学会常務理事、日本科学教育学会及び日本理科教育学会会員、月刊『理科の教育』編集委員等も務める。