「地球防衛隊SDGs」第37・38話解説編「災害に強いまちをつくるために」
ちょっとむずかしそうだけど、
大 きな地震 の約 2割 が日本 で起 きている!? 地震 大国 の日本 だからできることを
ねえ、スモール。
日本は「災害に強いまちづくり」を進めるための技術や考え方が発達しているんだよね。世界で日本の防災に関する考え方が採用されたり、災害支援を行ったりしているって聞いて、なんだか誇らしい気持ちになったよ!
そうだね。それだけ日本は自然災害が多く、これまで何度も大きな災害に直面してきたんだ。
世界で発生するマグニチュード6以上の地震の約2割が日本の周辺で発生しているというデータもあるよ。日本の国土面積は世界の約0.25%しかないんだけど、日本には世界の活火山の約1割があるからね。
地震が多いとはよく聞くけど、数字で見るとちょっとビックリ…。
ところで、災害に備えるには「まちづくり」が大事なんだよね。そもそも、なんでそれぞれの家庭で対策するだけじゃなくて、「まち」という単位で考えることが必要なんだろう。
いい疑問だね! それじゃあ実際に大きな地震や、水害などが起きたときの状況を想像してみよう。どんな生活を送ることになるかな。
うーん…避難所で暮らす必要があるよね…。それに、もし住宅が壊れるなどして怪我をした人がいたら、みんなでサポートすることもあるかも。あと大きな災害が起きたときは、デマや間違った情報が飛び交うこともあるって聞いたから、みんなで正しい情報を教え合って、混乱を防がなきゃいけないし……。あっ、そうか。被災したときは同じまちの人たちと助け合い、支え合っていかなきゃいけないんだ!
そのとおり! 個人個人だけじゃなくて、「まち」という単位で助け合う場面が多くなるよね。だから「災害に強いまちづくり」とは住宅の耐震化や防災設備の設置のことだけではないんだ。まちの人たちが助け合えるような関係(ネットワーク)を築いておくことも、大事な「まちづくり」なんだよ。
自治会や学校のPTA組織、そのまちに拠点を置く企業などが一丸となって、災害に強いまちづくりを構想したり、ボランティアなど市民が参加できる機会をつくったり…。たとえば岐阜県恵那市では、平成16年に「家具転倒防止実行委員会」を立ち上げたんだ。高齢者の家に約900名のボランティアを動員して、高齢者の寝室の家具を固定する取り組みを行ったそうだよ。
すごい! まちの人たちみんなで助け合っているんだね!
「災害に強いまちづくり」は事前の防災だけじゃないよ。災害のあとの復旧・復興の取り組みもそのひとつ。日本では、東日本大震災や西日本豪雨などで被災した農地を再生させる取り組みが、各地で行われているんだ。
事前準備や予防をするだけじゃなく、自然災害が発生したあと速やかに復興できるのも、そのまちに住み続けていくためには必要だってことだね…!
そのとおり!
SDGsでも、誰もが「住み続けられるまちづくりを」という目標が定められているよ。
SDGsの目標の中には「レジリエント」という言葉がよく出てくるんだけど、日本語に訳すと「強靭さ」――強くしなやかであるという意味の言葉。これは「壊れない」強さではなく、たとえ壊れてしまっても「回復する」強さのことを表しているんだ。
空たちが大人になっても…、いやもっと先、おばあちゃんになっても、みんなが笑顔で住み続けられるまちにしたい! そのために空ができることを見つけていこう。
構成・文/塚田智恵美
イラスト/奈良裕己