「地球防衛隊SDGs」第51話解説編「目の前の便利さと引き換えに、誰かが傷ついていないか考える」
ちょっとむずかしそうだけど、
まんが第51話はコチラ!
答えてくれるのは… 佐藤寛先生(さとかん先生)
1981年東京大学文学部卒業。1981年アジア経済研究所入所以来、イエメンの研究をはじめとした開発社会学者として40年間にわたり活躍中。
相手 を批判 したり、落 ち込 んだりする前 に、まず「話 を聞 こう」
さとかん先生、地球防衛隊SDGsの活動は無意味なんかじゃないですよね?
もちろんだよ! SDGsの目標達成のために活動することは「今、自分が得られている便利さと引き換えに、誰かが傷ついているんじゃないか?」ということを想像することにもつながる。これは、これまで見過ごしてきた大事なことに気づけるチャンスだと思うんだ。
あっ、それ「SDGsとは2つの約束」のお話にも関わっていますね!
1つ目は、いま遠くにいる誰かとの約束。2つ目は、将来を生きていく世代の人たちとの約束。「空は快適に暮らせているから、まあいっか」と思わず、ほかの誰かを傷つけたり犠牲にしたりしない行動をしていくことが大事なんですよね。
そのとおり。そうやって世界を眺めてみると、これまでとはちがう景色が見えてくるはずだよ。
自分からは見えない場所にいる、いろんな立場の人を想像してみることが大事なんですね。
でも、さとかん先生。ニュース番組を見ていると、世界には「SDGsの目標と逆行しているんじゃないか?」と思うことがいっぱいあるんですけど…。
空、たとえばどんなこと?
うーん。たとえば今、ウクライナで起きている戦争とか。他国に攻め込んだり、軍事力を使って無理やり言うことを聞かせようとしたりするのって、SDGsの目標16「平和と公正をすべての人に」に反していると思う。
※ウクライナ侵攻についてはこの記事を読んでね!
さとかん先生、SDGsでは争いのない平和な世界を掲げているのに、どうして大人たちは戦争をしているんですか?
いい問いだね。これは、まさに「自分とはちがう考えの人がいたら、その人の話をよく聞いてみる」ということが大事な理由にもつながってくる話だよ。
今戦っている人たちに「なぜ戦争をしているの?」と聞いてみたら、どう答えるだろう。本当は戦いたくない人、家族を守るために仕方なく戦うことを選んだ人など、いろんな考えの人がいるだろうね。もしかしたら「私は平和のために戦っている」と答える人もいるかもしれない。
え!? 平和のために?
そう。人それぞれ、考える平和の形はちがう。相手がどんなふうに考えているのか、自分の考えとはどこがちがうのかを知ろうとしなければ、永遠に溝は埋まらないよ。だって「平和のために戦っている」と思う人に向けて、一生懸命「平和のために争いをやめて!」と言っても…。
う~ん、ただ「争いをやめて!」って言うだけじゃ、分かり合えなそう。だってどちらも「平和のために」って思っているんだから。ふたりの考える平和がどんなものなのか、どういう考えを持っているのか、話し合ってみないとわからないんじゃないかな。
自分の意見とはちがう考えを持つ人や、自分から見てまちがったことをしているように思える人に対して「おかしい!」「ダメだ!」と言う前に、その人がどんなことを考えているのか、知ろうとする姿勢が大事なんだね。
そのとおりだよ! イイとかダメとか、判断する前に、まずは話を聞いてみる。すると、新しい発見をすることもあるんじゃないかな。
地球防衛隊SDGsの活動に反対する人が現れたり、壁にぶつかったりしても、あきらめずに、その人がなぜそう思うのか、よく話を聞いてみてね。応援しているよ。
わかりました! さとかん先生、ありがとうございます。まずは身近なところから…やってみよう!
構成・文/塚田智恵美
イラスト/奈良裕己