メニュー閉じる

月食、日食ってなに、どうしておきる? 仕組みの違いを解説

月食、日食ってなに、どうしておきる? 仕組みの違いを解説

地球(ちきゅう)太陽(たいよう)(つき)という3つの(ほし)によってつくりだされる天体(てんたい)ショー「月食(げっしょく)」「日食(にっしょく)」。月食(げっしょく)では満月(まんげつ)が、日食(にっしょく)では太陽(たいよう)が、まん(まる)のはしっこから(すこ)しずつ(くろ)()けていって、ときには全体(ぜんたい)(おお)われます。広大(こうだい)宇宙(うちゅう)神秘(しんぴ)を、手軽(てがる)に、そしてはっきりと体感(たいかん)できるので、発生(はっせい)するたびに話題(わだい)になります。ここでは月食(げっしょく)日食(にっしょく)は、どんな仕組(しく)みでおきているのか、みていきましょう。

3つの(ほし)一直線(いっちょくせん)になったときにおこる

まず地球(ちきゅう)太陽(たいよう)(つき)はそれぞれどんな関係(かんけい)にあるかを整理(せいり)しましょう。
地球(ちきゅう)は1(にち)に1回転(かいてん)自転(じてん))しながら、太陽(たいよう)(まわ)りを1(ねん)かけて1(しゅう)公転(こうてん))しています。太陽(たいよう)直径(ちょっけい)がおよそ139(まん)2000kmで、地球(ちきゅう)直径(ちょっけい)およそ1(まん)2700km)のおよそ109(ばい)太陽(たいよう)地球(ちきゅう)はおよそ1(おく)5000(まん)kmはなれています。
(つき)はおよそ27(にち)かけて1回転(かいてん)自転(じてん))しながら、(おな)じ27(にち)かけて地球(ちきゅう)(まわ)りを1(しゅう)公転(こうてん))しています。(つき)直径(ちょっけい)がおよそ3500kmで、地球(ちきゅう)の4(ぶん)の1ほど。距離(きょり)は、(とお)いときと(ちか)いときがあり平均(へいきん)で38(まん)4400kmはなれています。

そして日々(ひび)(うご)(つづ)けているこの3つの位置(いち)が、たまたま一直線(いっちょくせん)(なら)んだときにおきる(めずら)しい現象(げんしょう)月食(げっしょく)日食(にっしょく)です。

月食(げっしょく)では、地球(ちきゅう)(かげ)(つき)にうつる

月食(げっしょく)は、3つの(ほし)が「太陽(たいよう)地球(ちきゅう)(つき)」の順番(じゅんばん)一直線(いっちょくせん)になったときにおきます。太陽(たいよう)(ひかり)()けた地球(ちきゅう)(かげ)(なか)を、(つき)通過(つうか)するときに観測(かんそく)できる現象(げんしょう)です。(ひか)(かがや)満月(まんげつ)(くろ)()けていくのは、地球(ちきゅう)(かげ)がうつっているのです。

このとき(つき)一部分(いちぶぶん)だけが、地球(ちきゅう)(かげ)(かく)れている状態(じょうたい)を「部分(ぶぶん)月食(げっしょく)」と()います。(つき)()()けよりも、(くろ)部分(ぶぶん)境目(さかいめ)がぼんやりとしています。

2007(ねん)8(がつ)28(にち)部分(ぶぶん)月食(げっしょく)提供(ていきょう)国立(こくりつ)天文台(てんもんだい)
(つき)()()けの(れい)提供(ていきょう)国立(こくりつ)天文台(てんもんだい)
2018(ねん)1(がつ)31(にち)皆既月食(かいきげっしょく)提供(ていきょう)国立(こくりつ)天文台(てんもんだい)

そして(つき)全体(ぜんたい)が、地球(ちきゅう)(かげ)(なか)(はい)ってしまった状態(じょうたい)を「皆既月食(かいきげっしょく)」といいます。ただし()(くろ)になって()えなくなるというわけではなく、(くら)赤色(あかいろ)(ひか)って()えます。これは夕日(ゆうひ)(あか)()えるのと(おな)理由(りゆう)です(関連(かんれん)記事(きじ)どうして夕焼(ゆうや)け(夕日(ゆうひ))は(あか)いの」)。太陽(たいよう)(ひかり)が、地球(ちきゅう)大気(たいき)(とお)るときに、最後(さいご)まで(のこ)った赤色(あかいろ)(ひか)りが(すこ)進路(しんろ)()げて反対(はんたい)(がわ)(かげ)(なか)にまで(とど)いています。

地球(ちきゅう)(じょう)での「(よる)」は、わたしたちが地球(ちきゅう)(かげ)(なか)にいるということですが、普段(ふだん)生活(せいかつ)でそれを意識(いしき)することはありません。月食(げっしょく)として、(つき)にうつるのを()ると、宇宙(うちゅう)空間(くうかん)(ひろ)がりや、(たし)かに地球(ちきゅう)(かげ)があることが()かります。月食(げっしょく)写真(しゃしん)(なら)べると地球(ちきゅう)(かげ)様子(ようす)()かび()がってきます。

月食(げっしょく)写真(しゃしん)(なら)べると地球(ちきゅう)(かげ)(あか)点線(てんせん))が()かび()がる

日食(にっしょく)では、(つき)(かげ)地球(ちきゅう)にうつる

(つづ)いて日食(にっしょく)は、どういう現象(げんしょう)でしょうか。
日食(にっしょく)は、「太陽(たいよう)(つき)地球(ちきゅう)」の順番(じゅんばん)一直線(いっちょくせん)(なら)んだときにおきます。太陽(たいよう)から地球(ちきゅう)にふり(そそ)(ひかり)を、(つき)そのものがさえぎることになるので、太陽(たいよう)()けたり、全体(ぜんたい)(おお)われたりしたように()えます。日食(にっしょく)は、このとき(つき)(かげ)がうつっている地域(ちいき)でしか観測(かんそく)できません。

日食(にっしょく)にも月食(げっしょく)(おな)じように「部分(ぶぶん)日食(にっしょく)」と「皆既日食(かいきにっしょく)」があります。太陽(たいよう)一部分(いちぶぶん)太陽(たいよう)(かく)されて()えるものが部分(ぶぶん)日食(にっしょく)で、太陽(たいよう)全体(ぜんたい)(つき)(おお)われてしまった状態(じょうたい)皆既日食(かいきにっしょく)()います。

2009(ねん)7(がつ)22(にち)皆既日食(かいきにっしょく)(まえ)部分(ぶぶん)日食(にっしょく)提供(ていきょう)国立(こくりつ)天文台(てんもんだい)
2009(ねん)7(がつ)22(にち)皆既日食(かいきにっしょく)提供(ていきょう)国立(こくりつ)天文台(てんもんだい)
2012(ねん)5(がつ)21(にち)金環(きんかん)日食(にっしょく)提供(ていきょう)国立(こくりつ)天文台(てんもんだい)

そして、もうひとつ「金環(きんかん)日食(にっしょく)」というものもあります。
太陽(たいよう)(つき)(くら)べると、太陽(たいよう)(つき)よりおよそ400(ばい)(おお)きいですが、地球(ちきゅう)からの距離(きょり)(つき)より400(ばい)(とお)いところにあるため、奇跡的(きせきてき)地球(ちきゅう)からほぼ(おな)(おお)きさに()えます。ただ、じつは(つき)地球(ちきゅう)(まわ)りをきれいな(えん)ではなくて、つぶれた(えん)楕円(だえん))の(かたち)をえがきながら(まわ)っているのです。その(ぶん)()()(すこ)(おお)きくなったり(ちい)さくなったりします。そのため(つき)太陽(たいよう)全体(ぜんたい)にぴったりと(かさ)なるように(おお)皆既日食(かいきにっしょく)のほかに、(つき)地球(ちきゅう)から(とお)いところにあるとき、つまり(つき)(ちい)さく()えるときは(つき)太陽(たいよう)(なか)におさまって(ひかり)()っか(じょう)()える金環(きんかん)日食(にっしょく)になります。

5()のズレで貴重(きちょう)現象(げんしょう)

月食(げっしょく)は、地球(ちきゅう)から()(つき)太陽(たいよう)反対(はんたい)(がわ)にあるとき、つまり満月(まんげつ)のときにおきます。日食(にっしょく)は、地球(ちきゅう)から()(つき)太陽(たいよう)(おな)方向(ほうこう)にあるとき、つまり新月(しんげつ)のときにおきます。ただし、満月(まんげつ)新月(しんげつ)のときに毎回(まいかい)おきるわけではありません。これは地球(ちきゅう)太陽(たいよう)(まわ)りを公転(こうてん)している(めん)(たい)して、(つき)地球(ちきゅう)(まわ)りをまわっている(めん)が5()ほど(かたむ)いていて、(かなら)一直線(いっちょくせん)になるわけではないためです。この(かたむ)きがなければ、満月(まんげつ)新月(しんげつ)のときには毎回(まいかい)月食(げっしょく)日食(にっしょく)がおきることになっていたはずです。実際(じっさい)月食(げっしょく)日食(にっしょく)がおこるための一直線(いっちょくせん)状態(じょうたい)になるチャンスはおよそ半年(はんとし)に1(かい)となっています。

月食(げっしょく)(よる)地域(ちいき)はどこでも観測(かんそく)日食(にっしょく)(ひる)(つき)(かげ)(なか)だけ

月食(げっしょく)は、発生(はっせい)しているときに「(よる)」で(つき)()える地域(ちいき)であれば、世界(せかい)(ちゅう)のどこからでも観測(かんそく)することができます。一方(いっぽう)で、日食(にっしょく)は、発生(はっせい)しているときに「(ひる)」で、さらに(つき)(かげ)(なか)(はい)っている(かぎ)られた地域(ちいき)でしか観測(かんそく)できません。ですので、実際(じっさい)体験(たいけん)するチャンスとしては、月食(げっしょく)(ほう)(おお)そうです。

月食(げっしょく)日食(にっしょく)も、観測(かんそく)するのに(おお)がかりな設備(せつび)高価(こうか)望遠鏡(ぼうえんきょう)などは不要(ふよう)で、(した)しみやすい天体(てんたい)ショーです。ですが、日食(にっしょく)観測(かんそく)するときは、太陽(たいよう)直接(ちょくせつ)()たら失明(しつめい)する(おそ)れもあり大変(たいへん)危険(きけん)ですので、(かなら)日食(にっしょく)グラスなどを使用(しよう)しましょう。国立(こくりつ)天文台(てんもんだい)のホームページには、月食(げっしょく)日食(にっしょく)がいつどこで()られるかを計算(けいさん)する「月食(げっしょく)各地(かくち)予報(よほう)」、「日食(にっしょく)各地(かくち)予報(よほう)」もあるので、ぜひ調(しら)べてみてください。

参考(さんこう)資料(しりょう)

国立(こくりつ)天文台(てんもんだい)月食(げっしょく)とは」:https://www.nao.ac.jp/astro/basic/lunar-eclipse.html
国立(こくりつ)天文台(てんもんだい)日食(にっしょく)とは」:https://www.nao.ac.jp/astro/basic/solar-eclipse.html
国立(こくりつ)天文台(てんもんだい) (こよみ)Wiki「月食(げっしょく)」:https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/wiki/B7EEBFA9.html
国立(こくりつ)天文台(てんもんだい) (こよみ)Wiki「日食(にっしょく)」:https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/wiki/C6FCBFA9.html
・『調(しら)べる学習(がくしゅう)百貨(ひゃっか) (つき)()る!』(吉川(よしかわ)(まこと)/監修(かんしゅう)三品(みしな)隆司(たかし)/構成(こうせい)(ぶん)、2017(ねん)岩波(いわなみ)書店(しょてん)

監修者(かんしゅうしゃ)大山(おおやま)光晴(みつはる)

1957(ねん)東京都(とうきょうと)()まれ。東京(とうきょう)工業(こうぎょう)大学(だいがく)大学院(だいがくいん)修士(しゅうし)課程(かてい)修了(しゅうりょう)高等(こうとう)学校(がっこう)物理(ぶつり)教諭(きょうゆ)千葉県(ちばけん)教育(きょういく)委員会(いいんかい)指導(しどう)主事(しゅじ)千葉(ちば)県立(けんりつ)長生(ちょうせい)高等(こうとう)学校(がっこう)校長(こうちょう)(など)()て、現在(げんざい)秀明大学(しゅうめいだいがく)学校(がっこう)教師(きょうし)学部(がくぶ)教授(きょうじゅ)として「理数(りすう)探究(たんきゅう)」や「総合的(そうごうてき)学習(がくしゅう)時間(じかん)」の指導(しどう)方法(ほうほう)について講義(こうぎ)演習(えんしゅう)担当(たんとう)している。科学(かがく)実験(じっけん)教室(きょうしつ)やテレビの実験(じっけん)番組等(ばんぐみなど)への出演(しゅつえん)多数(たすう)千葉市(ちばし)科学館(かがくかん)プロジェクト・アドバイザー、日本(にほん)物理(ぶつり)教育(きょういく)学会(がっかい)常務(じょうむ)理事(りじ)日本(にほん)科学(かがく)教育(きょういく)学会(がっかい)(およ)日本(にほん)理科(りか)教育(きょういく)学会(がっかい)会員(かいいん)月刊(げっかん)理科(りか)教育(きょういく)編集(へんしゅう)委員(いいん)(など)(つと)める。

PAGETOP