「地球防衛隊SDGs」第61~63話解説編「10代から取り組めるSDGs」
ちょっとむずかしそうだけど、
今回は、高校生が実際に行っているSDGsの取り組みについて解説するよ。
SDGsの内容 理解 度 が高 い10代 。社会 を変 える動 きも生 まれている
ねえ、スモール。大人たちを巻きこみながら、SDGsにつながる取り組みを行っている高校生がいると聞いてビックリしたよ! SDGsについて理解を深めて、10代から社会を変えていくこともできるのかな。
もちろんだよ! 実は、10代はほかの世代に比べてSDGsについての認知度や関心が高いといわれているよ。電通が2023年5月に発表した第6回「SDGsに関する生活者調査」によると、SDGsの「内容まで含めて知っている」と回答した人の性年代別内訳を見ると、女性10代(72.4%)、男性10代(58.5%)の順に割合が高かったんだ。
SDGsの内容を理解している人の割合が、ほかの世代よりも10代のほうが高かったということ? すごい!
理解し、さらに行動を起こしている人たちもいるのが頼もしいよね!
ここで、まんが第63話の中で取り上げた2つの事例について、改めて紹介するよ。
京都 ・立命館 宇治 高校 での取 り組 み例
選択授業「SDGs」の中で世界のファッション産業を調べていた高校生が、発展途上国に寄付された古着の中には捨てられているものもあることを知る。
自分たちに何ができるかを話し合い「要らなくなった服を回収し、リメイクして売ることで捨てられる服を減らそう」と考え、文化祭で実際に販売。
この活動で、校内のサステナブルファッションの認知度がUPした(※)。
※文化祭後に実施した生徒向けのアンケート調査より。
その「サステナブルファッション」ってどういうこと?
衣服の生産から着用、廃棄に至るプロセスにおいて、将来にわたり持続可能であることを目指して、地球環境や関わる人・社会に配慮した取り組みのことをサステナブルファッションと呼ぶよ。
ファッション・アパレル業界は、近年ファストファッション(流行を取り入れながら低価格におさえた衣料品)が台頭して「大量生産・大量消費・大量廃棄」の傾向が強まり、環境負荷が非常に大きいなどの問題を抱えているんだ。
流行が変わるたびに手軽に買えるからといって、すぐ捨ててしまうのはもったいない! だから「サステナブル」なファッションのあり方を考えていかなきゃいけないんだね。
そのとおり! もっと詳しく知りたい人は環境省の「サステナブルファッション」のページで調べてみよう!
https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/
愛媛 ・松山 工業 高校 の同好会 「チーム Save Our Future」の取 り組 み例
2018年の西日本豪雨が発生した年に生徒が災害ボランティアに参加したことがきっかけで結成されたチーム。防災士の資格を取得したメンバーがクイズやゲームを通じて、防災への心構えや、災害時の行動について発信している。
こうした活動が評価され、愛媛県松山市で民間企業が開いた「えひめSDGs甲子園2022~高校生SDGs実践プロジェクト~」ではグランプリを獲得。
このときの活動内容や振り返りは、えひめSDGs甲子園のアーカイブページから見ることができるよ。
https://edu-npo.com/event/category/matsukou/
「チーム Save Our Future」では、風水害などが発生する前に、いつ、どんな準備をすればよいかを時系列で考える「マイ・タイムライン」(※タイムライン:防災行動計画)に注目。これをカードゲーム形式にすることで、遊びながらも防災行動の考え方を知り、いざというときに慌てることがないよう、どんな行動を取ればいいのかと考えることができるようにしたんだよ。
カードゲームなどで防災を「楽しく学べる」というのがスゴイ! ゲームを開発するって難しそうだけど、楽しそう……。空たちもいつか挑戦してみたいな。
いいね! 最近は気候変動で台風の被害が大きくなったり、大雨の発生数が増えたりしているし、それ以外にも、日本は自然災害が多い国……。だからこそ、過去の教訓から得られた防災の知識を楽しく身につけ、意識を高めていくのはとても素晴らしい取り組みだよね。
イラスト/奈良裕己
塚田智恵美
ライター/編集者。1988年、神奈川県横須賀生まれ。早稲田大学社会科学部卒業後、ベネッセコーポレーションに入社。『進研ゼミ中学講座』の編集を経て、2016年に独立。教養・学問・ビジネス・教育コンテンツの分野で、雑誌・Web記事、書籍のライティングを行う。「ワクワクする」「素人でもわかる」「知らないことをまなびたくなる」言葉や図解、マンガ、物語、シナリオなどで表現するのが得意。文京区在住。お酒と料理が好き。