『鬼滅の刃』などアニメやマンガの世界で、よく登場する日本古来の武器、日本刀。日本刀は武器として使われることはなくなりましたが、日本刀や刀鍛冶から生まれた言葉は現在まで残り、使われ続けているものもたくさんあります。日本刀にまつわる言葉を解説している『図解 日本刀事典―刀・拵から刀工・名刀まで刀剣用語徹底網羅!!』(ワン・パブリッシング)の内容を基にしながら、みんなもよく耳にしていそうな10個をピックアップしてみました。(五十音順)
相槌を打つ(あいづちをうつ)
右にいる中心的な刀鍛冶の合図で、左にいる二人がリズミカルに金づちで鉄をたたく。例えば師匠と弟子のように、刀づくりの中心的な作業をする刀鍛冶と、鍛練を手伝う刀鍛冶が向かい合って、熱した鉄を金づちでたたいて鍛えるとき、師匠の狙いや合図に合わせて、弟子たちがたたくこと。
→ひとと話をしているとき、相手の言葉に合わせて「うんうん」とうなずくなどして同調すること。
折紙付き(おりがみつき)
ここでいう折紙は、刀の価値を鑑定していた本阿弥家が発行した鑑定書のことで、「これは有名な刀鍛冶が作ったよい刀である」という証明書が付いていること。
→人物や物について、自信をもって「間違いなく優秀である」と紹介したりオススメしたりできることのたとえ。
急刃凌ぎ(きゅうばしのぎ)
戦場で刀の刃が欠けたときに、とりあえず戦えるように、たまたまそこにある研石で磨いて、間に合わせの刃を付けること。
→すぐできる間に合わせの対応で、なんとかその場を切り抜けること。「急場凌ぎ」と書かれることも。
切羽詰まる(せっぱつまる)

刀身と持ち手の間にあって相手の攻撃から自分の手を守るための「つば」という部品が動かないように、「切羽」という部品で両側からしっかりはさみ込まれていること。
→テストや仕事の締め切りの期日などが間近に迫っていて、身動きがとれず、追い込まれていること。
反りが合わない(そりがあわない)
刀の反りは一本一本違うので、鞘も専用のものをつくる。刀は弓状に曲がった「反り」のある形をしている。この反り具合は、刀一本一本でちがう。刀の入れ物である「鞘」は、そこに収める1本の刀とぴったり合った反り具合でつくられる。刀の反り具合と鞘の反り具合がちがうと、刀は鞘に収まらない。そのことをいう。実際に、反りや寸法が同じように見える刀であっても、別の鞘に入れようとすると、反りのバランスが微妙にちがっていて、収まる例はすごく少ない。
→ほかの人と相性が合わず、しっくりいかないこと。
単刀直入(たんとうちょくにゅう)
刀1本を握りしめて、ただ一人で敵陣に切り込むこと。
→前置きや世間話などはしないで、すぐに本題に入ること。遠回しなことをせずに、直接ポイントを突くこと。
付焼刃(つけやきば)
日本刀は焼き入れという工程をおこなうことで、よく切れる刃ができる。刃とそれ以外の部分の境目が模様として浮かび上がる。刃がつぶれて切れなくなったり、もともと切れ味の悪かったりする刀に、刃の模様だけを付け足して、切れる刀のように見せたもの。
→その場をやりすごすために、間に合わせで、急いで物事を習ったり覚えたりすること。
伝家の宝刀(でんかのほうとう)
家宝として代々伝わってきた名刀のこと。
→すばらしい威力はあるが、ふだんは使わないで大事にしておいて、いざという場合に出すとっておきのもの、手段。切り札。
抜打(ぬきうち)
刀を抜くと同時に切りつけること。
→テストなどを、事前に伝えることなく、突然におこなうこと。
焼きを入れる(やきをいれる)
日本刀に刃をつける工程の焼き入れは、刀が十分に熱せられたかが色で分かるように、夜におこなったり鍛冶場を暗くしておこなったりする。赤く熱した刀を水に入れて冷まし、模様の入ったよく切れる刃をつくること。
→焼きの入っていない刀は切れないことから、たるんでいる者に気合を入れる意味に使われる。
『図解 日本刀事典』
日本刀に興味はあるけれど、日本刀の話はむずかしそうな言葉ばかりで何を言っているか分からない…。そんな人のために、日本刀にまつわる言葉をていねいに紹介しているのが、この本。刀や、刀の飾りの種類、刀のパーツの名前などを細かく取り上げています。刀のつくり方も、刀を手に入れたときに長くキレイなままで持っておくための方法も分かります。写真やイラストがたくさん使ってあるので、だれでも読むのが楽しみに。日本刀ファンなら、1冊持っていたくなりますね。
『図解 日本刀事典―刀・拵から刀工・名刀まで刀剣用語徹底網羅!!』購入はこちら
日本刀の詳しいつくり方を見てみよう
刀鍛冶の人のインタビューを読んでみよう
刀鍛冶のお仕事を動画で見てみよう