ロシアが2022年2月24日(現地時間)にウクライナへ攻め込んでから1年がたちました。ウクライナの人々と、ウクライナに思いを寄せる人々が、終わりの見えない悲しみに沈む中、みなさんは何を思ったでしょうか。ロシアのウクライナ侵攻について学研キッズネット上で小中学生からの質問に答えてもらうなど、この問題について発信を続けているウクライナ研究の専門家、岡部芳彦さんから、侵攻1年にあわせて、みんなに向けてメッセージをもらいました。
ロシアのウクライナ侵攻についての詳しい記事はこちら
ある日、突然、戦争が始まって
あと1か月ぐらいで3学期(後期)が終わります。みなさんにとってどんな1年だったでしょうか。ちょうど1年前の3学期が終わろうかという2月24日に、ロシアがウクライナへの侵略を始めました。この戦争は、核兵器を持つ大国に根深く残る偏った見方を、その指導者が信じ、またそれに基づいて始まりました。多くのウクライナ人がいわれのない理由で、無残にも殺されました。
そんなウクライナから2000人を超える人が日本に避難してきました。ウクライナの寒い冬を狙って、ロシア軍は暖房施設や発電施設を自爆ドローンによって攻撃しました。日本にいるウクライナの方の中には、現地が停電のためインターネットが繋がらず、家族と連絡が取れなくなり、心配のあまり眠れぬ日々が続いた方もいます。
日本で戦争が起こらないように
ロシアを真ん中にみれば西の隣はウクライナで、東の隣は日本です。実は、ウクライナでの戦争は遠い国の出来事のようですが、日本の「隣の隣」で起こっています。また侵略を続ける国は日本の隣の国です。そう考えれば、他人事ではありません。日本で再び戦争が起こらないためにはどうすればいいのか、小中学生のみなさんが日々考えて、それぞれの解決策を見つける必要があります。
怒り、悲しみ…それでも冷静に
戦争が始まって初めての夏休みに、小中学生のみなさんがこの戦争について疑問に思われることにお答えする学研キッズネットでの企画が始まりました。ウェブ記事「ロシアのウクライナ侵攻のなぜ?どうして?」は、僕がみなさんと一緒に見つめ続けてきたロシア・ウクライナ戦争の約1年間の記録です。「戦争の理由は何ですか?」「ウクライナの人はどうしていますか?」「いつ戦争が終わるの?」など、日ごろのみなさんのギモンがたくさん寄せられました。目を覆いたくなる時も、憤りを感じる時も、泣きたくなる時も、怒りに打ち震える時も、そのひとつひとつに冷静に、答え続けてきました。これからも立ち止まることなく、みなさんのギモンにできるだけお答えしたいと思っています。みなさんとこの戦争が早く終わってほしいと願い続けることによって、早くウクライナに平和な日が来ることを、そして以前の人々の笑顔溢れるウクライナに戻ることを信じて・・・。
岡部芳彦
1973年生まれ。
神戸学院大学経済学部教授、ウクライナ研究会(国際ウクライナ学会日本支部)会長。
日本人初のウクライナ国立農業科学アカデミー外国人会員。