
インフルエンザ、今年の流行は早い 猛暑で免疫力下がった人が増える?

グラフィック・あきもとまさと
厚生労働省は10月3日、インフルエンザが全国的に流行期に入ったと発表しました。2024年と比べて5週早く、過去20年間で2番目の早さです。専門家は、基本的な感染対策をしっかりするよう呼びかけています。
猛暑で免疫力が下がった人増えた可能性
インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染して起こる病気です。感染すると、38度以上の高熱や頭痛、関節や筋肉の痛み、のどの痛み、鼻水、せきなどの症状が出ます。感染から発症まで、およそ1~3日かかります。
厚労省によると、9月22~28日の1週間に全国の定点医療機関から報告された患者数は4030人。1医療機関あたり1.04人で、流行入りのめやすとなる1.00人をこえました。135の学校などで、休校や学級・学年閉鎖になりました。
けいこ豊洲こどもクリニック(東京都江東区)の医師、塚田佳子さんは、流行が早まった理由に「今年の猛暑も関係しているのでは」と考えます。
窓をしめたままエアコンを長時間使うと、換気が悪い状況になります。さらに室内ばかりにいると抵抗力が落ちてしまうといいます。
体を守るしくみ「免疫」にかかわるビタミンDは、太陽にあたることで体内につくられます。この夏、暑さで外に出るのをひかえたことで太陽をあびる時間が短くなり、「免疫力が下がった人が増えた可能性がありそうです」。
また、大阪・関西万博の開催で外国人観光客が増え、すでにインフルエンザが流行している国からウイルスが持ちこまれたことも影響しているのではないかとみています。
受診は発症から12~48時間に
塚田さんのクリニックでは例年、インフルエンザの患者が増え出すのは11月ごろ。今年は9月2週目から増えているといいます。
インフルエンザウイルスは体の中にある程度、増えないと、検査してもわかりません。そのため、病院を受診するめやすは「症状が出て12時間たってから。ただ、治療薬は発症から48時間より前に飲む、または吸入するのが効果的とされるので、48時間たたないうちに受診してほしい」と呼びかけます。
予防のため、しっかり手洗いをしたり、十分な睡眠や栄養をとったりすることが大切です=上のイラストを見てね。
ワクチンを接種しておくと、感染しても症状が出なかったり、軽くおさえることができたりします。「2024年から2~18歳には、鼻にスプレーするタイプのワクチンも使えるようになりました。注射が苦手な人の選択肢の一つになりそうです」
(朝日小学生新聞2025年10月14日付)
取材・文/佐藤美咲(朝日小学生新聞)