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親子で科学館を120%楽しむ方法とは/シリーズ 専門家にきく! 体験が科学する心をはぐくむ 板橋区立教育科学館にきく科学館の楽しみかた【最終回】(全4回)

親子で科学館を120%楽しむ方法とは/シリーズ 専門家にきく! 体験が科学する心をはぐくむ 板橋区立教育科学館にきく科学館の楽しみかた【最終回】(全4回)

動物、植物、星空などの自然、エネルギー、通信などのテクノロジー。子どもは目のまえのことに「どうして?」と疑問をもちます。ネット動画やテレビ番組で得られる情報だけではものたりない……そんな子どもたちの気持ちにこたえてくれるのが科学館です。

実際に見てさわって、体で感じながら科学を体験できる科学館の魅力、そして親子で楽しむためのコツなどを、東京都にある板橋区立教育科学館の持永雅之館長にお聞きした「シリーズ 専門家にきく!体験が科学する心をはぐくむ 板橋区立教育科学館にきく科学館の楽しみかた」の最終回です。(全4回)

第4回 親子で科学館を120%楽しむ方法とは

渡邉:科学館での体験をより豊かに、子どもの未来にいつか芽吹くようにするために、保護者ができることはありますか?

持永館長:お子さんを連れてきたときに、保護者の方もいっしょに体験してほしいと思います。子どもだけに「やってごらん」とやらせるのではなく、保護者もいっしょにやってみる。そのときに「おもしろいね」と声をかけるだけでなく「なんでだろう」と子どもに伝えてほしいと思います。

渡邉:なるほど!

持永館長:そのときに保護者がしくみをわからなくてもいいんです。保護者が子どもといっしょに体験して、なんでこうなんだろうねと言えば、子どももただ楽しいだけではなく、なんでだろうと思ってくれるんです。その疑問は、その場で解決しなくてもいいんです。
ただ、子どもには「なんでなんだろう」という気持ちをもって帰ってほしいんです。そうしたら、いつかどこかで発見があるかなと。「あのときの“なんで?”の答えはこれだ!」というように。

「なんでだろう」と子どもに伝えてほしいと話す持永館長

持永館長:だからわたしは、子どもたちが帰るとき、「科学館で体験したことは科学館で終わりにしないでね」と言っています。身近なところにいろいろな科学があるから、自分なりの科学を発見してほしいというメッセージを毎回伝えるようにしているんです。

渡邉:子どもが科学館から家に帰ってきて、体験したことや得た知識を家族に話しているようなとき、どんな態度をとるのがいいのでしょう。

持永館長子どもを先生にするのがいいと思います。

子どもが科学館でなにか学んできて、話したそうにしている状況のときは、保護者は「ちょっと教えて」という姿勢で聞くのがいいと思います。そうなると子どもは得意になって話しますので、自分はそのことにくわしいんだと自信をもつ。そうするとその分野がちょっとでも好きになる、という流れができますので。

渡邉:その後、その子がたとえばカブトムシをすごく好きになって、もっと知りたいと思ったけれど、イベントはもう終わってしまっている。そういうときに、保護者は次のイベントを探したりするほかに、どんなことをしたらいいでしょう。

持永館長:イベントをやっていなくても、まずは科学館に聞いてみるといいと思います。

渡邉:それはおどろきです。「カブトムシのこういうことについてくわしく教えてください」なんて、科学館に聞いていいものなんですか?

持永館長:たとえば、プラネタリウムでは、実際に星空を見たいのだけれどどこに行けばいいの? とよく聞かれますし、昨日の夕方、空にすごく明るい星があったけれど、あれはなんですか? なんて電話もあります。

そんなふうに、なにか疑問があったら、科学館に聞いてみる。そこでは解決しないかもしれませんが、こういう施設があるから聞いてみたらどうかとか、こちらの施設に行くとこんな体験ができるかも、といった答えが得られるかもしれません。

渡邉:科学知識の普及が目的の科学館だからこそ、そういう疑問にこたえてくれるんですね。施設によって対応が違うかもしれませんが、まずは足を運んだ科学館にもっと聞いてみたら、なにか新しい情報が得られそうです。

科学館には近隣の科学展示などのチラシが置いてあることも

さて、長い休みなどを利用して、1日科学館ですごすとしたら、どんなプランがオススメですか?

持永館長:大きい科学館だと回っているだけで1日すごせるところもありますが、わたしたちのような小さい科学館では、来るまえに情報を調べておくといいと思います。どういう順番で行けばなにが体験できるのか調べたり、イベントやワークショップの受付時間や、お目当てのプラネタリウムの投影時刻といったことを、ぜひホームページで調べてみてください。

渡邉:先着順とか、開催時間が決まっているものを事前に調べておけば、足を運んだけれど体験できなくて残念ということがなくなりますものね。

最後に、理想として、小学生にはどんなふうに科学館とつきあってほしいと考えているか、お聞かせください。

持永館長:理想としては、科学館を、ただ遊びにくる場所ではないと意識してほしいと思います。ただ楽しいだけの場所ではなく、なにかがある場所ということに気付いてほしいなと思います。

渡邉:そのなにかというのは、科学的な気付きだったり、知的好奇心をくすぐるものだったりするわけですね。

持永館長:そうです。そこに気付いてほしい。そして、気付いた子には別の場所に行って、さらにステップアップしてほしいです。

わたしはプラネタリウムで解説していたとき、プラネタリウム好きの子どもになってほしくないと思っていました。もう1回プラネタリウムに行きたい、それはそれでうれしいことですが、次は空を見に行ってほしいと思っていました。

これちょっと不思議だな、なんでなんだろう、と気付いて、ほかにどんなことがあるのかなと興味が出たら、ほかのところに行ってみてほしいですね。

渡邉:保護者が自分だけでその気付きを広げるのが難しそうだったら、科学館の人に聞けばいいのですね。とても力強く背中を押してもらったように感じました。本日は本当にありがとうございました。

第1回 科学館ってどんなところ?
第2回 科学館展示の舞台裏
第3回 イベントや実験教室で、もっと科学にふれる

板橋区立教育科学館

科学に関する知識の普及・啓発を推進し青少年の健やかな成長をはかること、科学情報・教育情報を集めて学校教育・社会教育の充実に貢献することを目的に設立された東京都板橋区立の科学館。株式会社学研プラスが指定管理者となり運営している。2018年9月に開館30周年を迎えました。

「板橋区立教育科学館」Webサイトへ

渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)

渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)

渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)

株式会社コドモット代表取締役社長。
NTT在籍時代の2001年、子ども向けポータルサイト「キッズgoo」を立ち上げ、同サイトでデジタルコンテンツグランプリ・エデュテイメント賞受賞。独立後は小学生向けのコンテンツを中心に、企業の子ども向けWebサイトや公共団体の子ども向けツールなどの企画制作を数多く手がける。一男一女の母。

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