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テレビとゲームを優先し、宿題を後まわしにする/教えて! 陰山先生【第2回】

テレビとゲームを優先し、宿題を後まわしにする/教えて! 陰山先生【第2回】

うちの子は、夜はテレビを見たりやゲームをやって、明朝起きてから宿題をしています。忘れるよりはいいと思うのですが、本来なら朝ではなく、夕食前には終わらせておいてほしいと思っています。テレビやゲームの時間を減らして、先に宿題をやらせるにはどうしたらいいでしょうか?

質問

小学5年生の娘を持つ母です。

わたしは日中働いていて、18時ごろに帰ります。わたしがいない間、娘は学校から帰ると、テレビを見たり、パソコンでゲームをしたりしながら、リビングでゴロゴロしているようです。わたしが「宿題は終わったの?」と聞くと、やっていないと答える日がほとんどです。そして夕食を食べてお風呂に入ると「眠い」と言って寝てしまい、翌朝、起きてから宿題をやっています。
忘れるよりはいいと思うのですが、本来なら朝ではなく、夕食前には終わらせておいてほしいと思っています。テレビやゲームの時間を減らして、先に宿題をやらせるにはどうしたらいいでしょうか?

回答

このような事例は、かなり一般的でよく聞く悩みです。

いちばんの理由は、宿題のやり方に問題があると考えていいでしょう。まずは、その宿題がその子にとって簡単なものなのか、難しいものなのか、ということにあります。また、その宿題をやることで、翌日の授業がわかりやすくなるなど、宿題をやることの意味を子どもたち自身が感じているかどうかにも、大きく関わってきます。

わたしは、子どもたちがその宿題をやれば翌日の授業がわかりやすくなる、あるいは学校で勉強したことが、よりはっきりわかってくるというような内容を厳選していました。子どもたちは、そうした意味のある宿題であれば自主的に取り組むようになってくるのです。

しかし残念ながら、多くの学校ではそうした宿題ばかりではなく、単純に漢字を何回書いたとか、与えられたドリルを解くとか、ありきたりなものに終わってしまうこともあるでしょう。

わたしがお奨めするのは、宿題を何分で終えるのかを時計で計り、より短時間でできるよう、ゲーム化してやってみる方法です。単純な漢字の書きとりや計算練習などは、それ自体をくり返しやれば終わるというものです。こうした、やれば短時間でできるような宿題を長くダラダラやっていては、かえって学習に悪影響を与えることもあります。ですから、宿題をやる時間を決め、その時間内にさっと宿題を終えるようにします。そうすることで、子どもたちは集中して宿題をやることができるでしょう。

わたしが監修した「セイコー スタディタイム」(販売:セイコークロック)という学習時計が販売されています。驚くのは、「ストップウォッチ」や「カウントダウンタイマー」機能がついたこの時計を使ううちに集中力が養われ、子ども自身で学習時間の目標を設定し、宿題を楽しく自主的に行うようになってくることです。子どもは、集中して学習することに慣れ、心地よいと感じるようになります。

そんなお子さんに対して、お母さんは仕事から帰ってきたら、宿題をやったかどうかではなく、今日は何分でできたのかを聞いてみましょう。それが、より短時間で宿題を終えるように仕向けていくよい方法です。そして、集中して短時間で終えていたら、そのことをきちんと評価してあげることが、次への集中へとつながっていきます。

そして朝に宿題することについてです。

かつてわたしは、たくさんの宿題を出していた時期があります。そうなると夕方だけの学習だけではなく、朝早く起きて学習する子が出てきました。すると、朝学習の習慣が身に付き、それから学力を伸ばした子も出てきました。

そういう点からも、朝に学習するのはいいことです。ただ、朝に宿題をすると、時間が足りなくなり、最後までやり切れないということも出てくるので、やはり学校から帰ってきたら済ませておくべきだと思います。朝学習の時間は、百ます計算や音読など、家庭独自の学習をさせることが有効になってくるでしょう。

テレビやゲームの時間も、1時間以内であれば大きな悪影響はありません。禁止するのではなく、休憩時間を活用したり、内容で選ぶなどし、学習に支障のない方法を考えるといいでしょう。とくにテレビは、好きな番組をリアルタイムで見ようとすると生活リズムを崩しがちになります。見たい番組は録画しておき、支障のない時間帯に見るのがいいでしょう。録画だとCMを飛ばすこともできるので、時間の活用法としてはよい方法だろうと思います。

このように、学習、テレビ、ゲームは、最終的には家庭での時間配分の問題です。子どもにとって望ましい時間の使い方を親子で話し合ってください。ただし、親の方から一方的に指示するのは避けるべきでしょう。時間活用は、生活を変えていくということであり、簡単に変えられるものではありません。親の立場から子どもの生活がよりよくなるようにバックアップするという観点から、じっくり取り組んでいかれることが大切だと思います。

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陰山英男(かげやまひでお)

陰山英男(かげやまひでお)

陰山英男(かげやまひでお)

1958年兵庫県生まれ。岡山大学法学部卒。
兵庫県朝来町立(現朝来市立)山口小学校教師時代から、反復学習や規則正しい生活習慣の定着で基礎学力の向上を目指す「隂山メソッド」を確立し、脚光を浴びる。
2003年4月尾道市立土堂小学校校長に全国公募により就任。百ます計算や漢字練習の反復学習を続け基礎学力の向上に取り組む一方、そろばん指導やICT機器の活用など新旧を問わず積極的に導入する教育法によって子どもたちの学力向上を実現している。近年は、ネットなどを使った個別の小学生英語など、グローバル人材の育成に向けて提案や実践などに取り組んでいる。
2006年4月から立命館大学 教授(立命館小学校副校長 兼任)に就任。現在は、立命館大学 教育開発推進機構 教授(立命館小学校校長顧問 兼任) 。全国各地で学力向上アドバイザーなどにも就任し、学力向上で成果をあげている。また、北は北海道,南は沖縄まで、全国各地で講演会を実施している。
過去には、文部科学省 中央教育審議会教育課程部会委員,内閣官房 教育再生会議委員,大阪府教育委員会委員長などを歴任。
著書多数。
Webサイト http://kageyamahideo.com/

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