小1で勉強につまずいてしまった/教えて! 陰山先生【第6回】
先日、個人面談があり、担任の先生から「あまりにも勉強ができないので、塾に通ったほうがいい」といわれました。息子のような勉強ができない子を、なんとかそれなりの成績にする勉強法がありましたら、教えてください。
質問
小1の息子が勉強できなくて困っています。
先日、個人面談があり、担任の先生から
「あまりにも勉強ができないので、塾に通ったほうがいい」といわれました。
まだ、小1の1学期が終わったばかりなのに、そんなことを言われるとは思わず、ショックでした。
確かに息子は、作文を書かせれば文法はめちゃくちゃだし、字も汚いです。
算数の計算もよく間違えています。
物覚えも悪いほうです。
親として、もちろん心配です。
わたしは低学年のうちは、塾や習い事よりも、外で遊んでほしいと思っていました。
でも、担任の先生が言うように塾に通わせるべきなのでしょうか。
それから、息子のような勉強ができない子を、なんとかそれなりの成績にする勉強法がありましたら、教えてください。
回答
まず最初に、担任の先生からの助言としては、あまり適切ではないと感じました。
そして、勉強ができないとのことですが、いくつかのケースが考えられると思います。
1つは、学習のやり方がわからないとか、基本的な学習の知識がなく、みんなのように学習ができない場合。もう1つは、脳や家庭の状況などに深刻な問題点があり、通常の子どもたちのように学習ができない場合です。
たまにいく塾よりも毎日通っている学校での指導の方が、成果が上がりやすいはずで、塾へ行くことが学力向上の方法になるとは考えにくいです。
そして、脳や家庭の状況に深刻な問題があった場合は、医療機関や児童相談所など、専門の機関に相談するべきであり、塾へ行って対応できるものではありません。
こうした点を考えると、この先生の指導内容自体に疑問を感じてしまいます。
では、脳や家庭に深刻な問題があるわけではなく、ただ、学習のやり方や内容に課題があるとするのなら、一体、どうすればいいでしょうか。
まず、言葉の力を考えてみましょう。
作文を書かせれば文法がでたらめだとのことですが、日常会話の中で、文法的な間違いが頻繁に出てきているとすると、これは何らかの学習障害的なものが考えられます。
しかし、通常の会話が普通にできるのであれば、たとえば、『今日は学校に行って楽しかった』というような簡単な文章がまずは書けるかどうかをみてみましょう。それが自然に書けるのであれば、「なぜ楽しかったのか」、「友だちはいっしょだったのか」というような疑問を子どもに投げかけてください。それが自然に言えたなら、それをそのままその文章につけ加えていけばいいのです。このような、対話を通じて基本的な文章の作り方を教えていくことで、文章の書き方がわかるようになり、自然に書けるようになっていくはずです。
また、漢字についてもドリルなどを参考にしながら、毎日覚えられる量をしっかり覚え、集中的に学習しましょう。漢字が覚えられるのならば、これも問題はないといえるでしょう。
ひらがなやカタカナなど、基本的な文字習得が多少遅れがちであったとしても、小学校の1年生は個人差が大きいので、まずは様子を見てください。
小学校1年生の学習内容はすべて重要ですが、そのかわり量は多くはありません。焦ることなく、学習をくり返し定着させるようにすればいいのです。
算数は、まずは、『1+1』という、基本的な計算を理解させながら、『1+2』、『2+2』というように、1つ1つの計算ができるかを確かめながら、どの程度の数字になれば、それが困難になるかを確かめてください。その苦手なところをくり返し集中して学習し、それがサッとできるようになってから、次の課題をこなすという学習方法にすれば、きっと学力は伸びていくと思います。
また、1年生の学習能力の差はとても大きなものです。友だちとの差を気にすれば、とても深刻な事態のように思えてくることもあります。
しかし、わたし自身が多くの子どもたちを指導してきた経験から、子どもが伸びない大きな理由は、子どもにとってふさわしいレベルの課題があたえられていないとういことでした。
学校の先生もそうした状況がわからず、また、過密になった教科書をこなすのが精一杯という状況にあったとすれば、できない子どもたちの底上げをする余裕がないため、塾に頼ろうとしたのかもしれません。
ただ、そうした学習の遅れに対する原因をきちんと理解し、基礎的な学習能力をしっかり高めていくという塾はそう多くはありません。
いずれにせよ、学校でも塾でも家庭でも、その子にあった教材を分析の中から見つけ、子どもにさせることが最も大切です。
子どものつまずきを見つけ、それを高め、そしてそれがサッとできるようになるということをくり返していれば、多少の障害的な要素があっても、子どもが伸びていくというのはそう珍しいことではありません。
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