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受験直前なのに、SNSにハマり勉強に集中できない息子/教えて! 陰山先生【第23回】

受験直前なのに、SNSにハマり勉強に集中できない息子/教えて! 陰山先生【第23回】

SNSにハマりスマホを片時も手放さず受験を前に勉強に集中できなくて困っています。

質問

中3の息子が受験を前に勉強に集中できなくて困っています。

夏休み明けの三者面談までは、担任の先生には
「今の成績をキープできれば志望校に受かる」と言われていましたが、
先日の期末テストでは、点数がいつもより下がってしまい
このままでは、志望校に受からないのではないかと心配しています。

最近、息子に1年後輩の彼女ができ、
頻繁にSNSで連絡を取っているのが、勉強に集中できない一因のようです。
スマホを片時も手放さず、お風呂に入るときも
ジッパーのついたビニール袋にスマホを入れて持って行くほどです。

受験まで、あと2か月くらいしかありません。
どうすれば息子は、勉強に集中することができるでしょうか?

回答

受験を目前にして、学習に集中できなくなるというのは、大変困ったことですね。ご家庭の方でも、見ていて不安になられるのも当然でしょう。ここは、しっかりと時間を取って親子で話し合い、今後どのように進路を切り開いていくのか、たしかな方向性を打ち出すことが必要でしょう。
では、具体的に、どのような手順でこれを進めていけばいいのでしょうか。

成績としっかり向き合い、本人が自覚するように促しましょう

まず大切なのは、重要な2学期の期末テストでいつもより点数が下がってしまったということに、きちんと向き合うことです。
中学校3年生の期末テスト結果は、内申書に大きく反映されることが多く、この時期の成績低下は大きな問題です。都道府県や学校により、内申書の位置づけはかなり違いますが、そのことを家庭でも理解し、本人が自覚することが学習の再構築の第一歩になります。これまでせっかく合格する実力をつけていたわけですから、ここで挽回しなければ後で後悔することにもなりかねません。
ひとつ気がかりなのは、この段階で彼女ができたということです。ひょっとすると、受験に対する圧力から逃れたいという弱さがそこに出ているのかもしれませんね。
けれども、希望どおりの高校に合格できなかった場合、それは彼女との付き合いにとってもいいはずはありません。今ここで勉強しないということが、自分も含めた誰にとっても不幸な事であるということに気づいてほしいものです。そして強い気持ちでこのハードルを越えてほしいと思います。そのことが彼女にとってもいいことなのですから。
では、どうするべきでしょうか。

① まずは、携帯電話などSNSへの接触をやめること。

もしそれが無理なのであれば、時間を区切り、夜8時以降は携帯の電源を切るなど、勉強時間を確保することです。そして、それを着実に実行させることです。
今なにをやるべきか、受験生はみんなそこで悩み、自分の進路を切り開いていきます。まずは未来のためにがまんもする。それは誰もがやっていることであり、合格すればまた無理のない範囲で再開できるのですから。
受験は人生に大きな影響を与える重要なものですが、それに要する期間は一生からみればほんのわずかな期間です。そこを理解する必要があるでしょう。

②残り2か月間をどのように学習していくかという計画をしっかり立てること。

テストの傾向や配点の仕方などを、再度確認してみましょう。そのことによって、合格に至る最も効果的な道筋が決まってくるからです。大きな方向性が決まれば、勉強に使う参考書などの教材を確かめます。そして、それらをきちんとこなしていけるよう、無理のない計画を立てます。

③睡眠時間や食事などの生活習慣はくずさないこと。

注意しなければいけないのは、勉強のために過度に睡眠時間を削るなど、生活習慣をくずすようなことになってはいけないということです。もっとも効果的な学習ができるように、食事の時間や内容についても配慮してあげてください。
学習時間については、集中しやすい時間帯も考えてみましょう。東大生や京大生は、夜11時以降に勉強していた人はほとんどいません。睡眠を大切にし、短時間の学習でも成果が出るよう、教材を選び学習方法を考え、もっとも効果的な学習時間に学習するようにしているのです。
その点をふまえて、夜11時までには寝てしまい、朝6時ぐらいには起きて、英単語や方程式の確認など、短時間でも効果の上がるものを集中的に学習することは、学校での学習にもいい影響を与えます。このような朝学習を組み合わせるというのは、極めて効果の高い学習方法です。また当然ではありますが、朝食は栄養のバランスを考え、しっかり摂るようにしてください。

こうして、入試を迎えるまでの学習や生活のことを具体的に考えていけば、彼女のことを考えるということが、いかにリスクを伴うものかということもわかってきます。「今何をなすべきか」ということが、息子さんも自覚できてくるのではないでしょうか。

しかし、本人の自覚を促すというようなことだけでは、受験までの残り時間を考えれば難しいかもしれません。話し合いの場所と時間を決め、落ち着いて話せるような環境を整えて、1時間から2時間程度、納得のいくまで話し合ってみてください。

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陰山英男(かげやまひでお)

陰山英男(かげやまひでお)

陰山英男(かげやまひでお)

1958年兵庫県生まれ。岡山大学法学部卒。
兵庫県朝来町立(現朝来市立)山口小学校教師時代から、反復学習や規則正しい生活習慣の定着で基礎学力の向上を目指す「隂山メソッド」を確立し、脚光を浴びる。
2003年4月尾道市立土堂小学校校長に全国公募により就任。百ます計算や漢字練習の反復学習を続け基礎学力の向上に取り組む一方、そろばん指導やICT機器の活用など新旧を問わず積極的に導入する教育法によって子どもたちの学力向上を実現している。近年は、ネットなどを使った個別の小学生英語など、グローバル人材の育成に向けて提案や実践などに取り組んでいる。
2006年4月から立命館大学 教授(立命館小学校副校長 兼任)に就任。現在は、立命館大学 教育開発推進機構 教授(立命館小学校校長顧問 兼任) 。全国各地で学力向上アドバイザーなどにも就任し、学力向上で成果をあげている。また、北は北海道,南は沖縄まで、全国各地で講演会を実施している。
過去には、文部科学省 中央教育審議会教育課程部会委員,内閣官房 教育再生会議委員,大阪府教育委員会委員長などを歴任。
著書多数。
Webサイト http://kageyamahideo.com/

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