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あなたは、子どもたちにどんな人生を生きて欲しいですか?/子どもが伸びる親力【第3回】

あなたは、子どもたちにどんな人生を生きて欲しいですか?/子どもが伸びる親力【第3回】

親の価値観を優先することなく、子ども本人のやる気を大切にする。そういうことの積み重ねが、子どもの自己実現力を育ててくれるのです。

自己実現の人生を歩めるように

あなたは、子どもたちにどんな人生を生きて欲しいですか?
日々の子育てや仕事で忙しいとは思いますが、一度立ち止まって考えてみて欲しいと思います。

なぜなら、それがはっきりしていないと、子育て・教育の方向性が定まらないからです。

いろいろな考え方があると思いますが、私が本当に大事だと思うのは「自分がやりたいことを自分で見つけて自分でがんばる」人生を歩めるようにしてあげることです。

言い換えると、自分の夢を自分で見つけて自分でがんばる自己実現の人生です。

「親に言われたこと、上司に言われたこと、奥さんあるいは旦那さんに言われたことは何でもやります。みんながやっていること、やるべきことは何でもできます。何でも言ってください。何でもやります。でも、特に自分がやりたいことはありません」という生き方では、一体誰のための人生なのかわかりません。

でも、最近は大人でも子どもでも「自分は何をやればいいのか?自分は一体何をやりたいのか?それがわからない」と悩んでいる人が多いと、多くの心理学者たちが言っています。

インカ文明展に行けなかった子

私はやはり子どものときの育て方が大事だと思います。

子どものときからずっと、「そんなことはやめて、○○をしなさい」といった感じで親のやらせたいことばかりやらせておいて、大人になったら急に自分のやりたいことを自分で見つけて自己実現できる人になって欲しいと思ってもそれは不可能です。

実際にこういう話がありました。
ある男の子が、古代文明を紹介するテレビ番組を見てインカ文明に興味を持ちました。
それから、自分で図鑑やネットで調べてさらにその面白さに引かれていきました。

ちょうどその頃、上野の博物館でインカ文明展が開催されていたので連れて行って欲しいと親に懇願しました。

ところが、親はダメと言いました。
なぜなら、中学受験の勉強に集中させたかったからです。

インカ文明など中学受験には出ないから時間のムダだ、というわけです。
そんな暇があったら過去問を1問でも多く解きなさい、ということです。

こういう育て方で子どもに自己実現力をつけることは不可能です。

成長期にこういう経験が多いと、「自分がやりたいことがあっても、どうせ実現できない。夢を持ってもムダ」という自己無力感を持つようになります。

サッカー少年団に入れた子

これと反対の話もあります。

ある女の子はサッカーが大好きで、自分でよくボールを蹴って遊んでいました。
お母さんも彼女の気持ちを応援してくれて、時間を見つけてはサッカー遊びに付き合ったり、サッカーの本を買ったりして応援してくれていました。

やがて、女の子は「サッカー少年団に入りたい」と強く思うようになりました。

その気持ちをお母さんに伝えたら、お母さんは一緒に監督に頼みに行ってくれました。
でも、「サッカー少年団は男子だけだから。一人だけ女子を入れるのは無理」と断られてしまいました。

それでも女の子はあきらめませんでした。
彼女は「サッカーをやりたい女の子はほかにもいるはずだ」と考えて、自分のクラスはもとより他のクラスも回って同志を募りました。

そして、2人の同志を見つけたのです。

そして、女の子3人とその両親の合計9名で、もう一度監督のところに頼みに行きました。
すると、監督はその意欲と実行力に感動して入団を認めてくれました。

達成感のある経験は人間形成に非常によい影響を与える

本当にいい話じゃないですか。
これぞ「自分がやりたいことを自分で見つけて自分でがんばる」生き方です。

この一連の過程で、女の子は「自分がやりたいことを見つけて、頭を使って作戦を考え、果敢に挑戦・努力すれば実現できる。自分にはできる」ということを身をもって学んだはずです。

成長期におけるこういう達成感のある経験は、人間形成に非常によい影響を与えます。

お母さんが「女の子はサッカーなんてやらなくていいの。そんなことより○○をやりなさい」などと言う人だったらこうはいかなかったでしょう。

このお母さんは自分の価値観を優先することなく、子ども本人のやる気を大切にしてくれました。
そういうことの積み重ねが、子どもの自己実現力を育ててくれるのです。

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親野智可等(おやのちから)

親野智可等(おやのちから)

親野智可等(おやのちから)

教育評論家。1958年生まれ。本名 杉山 桂一。
公立小学校で23年間教師を務めた。教師としての経験と知識を少しでも子育てに役立ててもらいたいと、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発行。具体的ですぐできるアイデアが多いとたちまち評判を呼び、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど各メディアで絶賛される。また、子育て中の親たちの圧倒的な支持を得てメルマガ大賞の教育・研究部門で5年連続第1位に輝いた。読者数も4万5千人を越え、教育系メルマガとして最大規模を誇る。『「親力」で決まる!』(宝島社)、『「叱らない」しつけ』(PHP研究所)などベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても知られる。長年の教師経験に基づく話が、全国の小学校や幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会で大人気となっている。
著書多数。
Webサイト http://www.oyaryoku.jp/

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