親の子育てスタイルが子どもの行動に与える影響/AI時代を生き抜くために「失敗力」を育てる6つの栄養素【第16回】
アメリカの発達心理学者ダイアナ・バウムリンドが分類した、4つの子育てスタイルと子どもの傾向とは? シリーズ『AI時代を生き抜くために 「失敗力」を育てる6つの栄養素』の第16回目です。
4つの子育てスタイルと子どもの傾向
たとえば、子どもが駄々をこねて言うことを聞かなかったとき、みなさんはどうしますか?
- 子どものしたいようにさせる。
- 怒りを爆発させて、どなる?
- 子どもが自分の気持ちを表現できるように励ます?
- ほうっておく?
世界中で長年行なわれてきた数々の研究の結果、親の子育てスタイルと子どもの社会行動には相関関係があることがわかっています。
そして、アメリカの発達心理学者ダイアナ・バウムリンドが中心となって、親の子育てスタイルを4つに分類し、それぞれの特徴と子どもの傾向を分析しました。
- 1 消極・受け身型
- 温かいが厳しくない。子ぼんのうで親子の会話が多いが、制限を与えず甘やかす。
子どもは、自己評価は高いが衝動的。学校でトラブルに巻き込まれやすい。 - 2 独裁・支配型
- 厳しくて、温かみがない。厳格なルールを持ち、説明なしに命令に従わせようとする。子どもは、行儀はよいが、自制心が育ちにくい。
- 3 民主型
- 厳しくて温かい。ルールを作るときは子どもと話し合い、罰するのではなく教えることでしつけをする。子どもは、自立心が強く、不安が少なく、落ち込みにくい。
- 4 無関心型
- 厳しくも温かくもない。子どもに最低限の物を与えるが、それ以外は無関心。
子どもは非行に走りやすい。
4つの子育てスタイルのなかで、「民主型」が、最も子どもが健やかに育つ子育てスタイルとされています。
あくまでも研究者の分類ですから、実際の子育てにそのままぴったりと当てはまらないと思いますが、自分はどんな子育てをするかを考えるうえで参考になると思います。
民主型子育てスタイルは、自己コントロール力を育てる
では、民主型の子育てをするには、具体的にどんな対応をすればいいのでしょうか。
たとえば公園で遊んでいて、そろそろ帰らないといけない時間なのに、子どもは「まだ遊びたい!」と言うことを聞かない。そんな状況のとき、あなたならどうしますか?
子どもの遊びたい気持ちを尊重して、帰宅時間が遅くなっても付き合いますか?
それとも、ここは生活のルールを優先して遊びを打ち切って、無理やりにでも家に帰りますか?
あるいは、子どもに状況を説明して妥協点を探る?
子どもの気質や年齢、状況によっても対応は変わるでしょうが、民主型子育てスタイルなら、
「まだ遊んでいたいのね。でも明日は学校だからそろそろ帰らないといけない」と子どもの気持ちに共感してから説明をする。
もし子どもが納得しなかったら、「あと5分で帰るよ」とか、「あと1回すべり台をすべったら、帰ろう」とルールを決める。こんな対応になるでしょうか。
それでも言うことを聞かずに遊んでいたら、子どもの年齢にもよりますが、抱っこしてその場を離れるかもしれません。
「子どもの気持ちに共感したうえで、子どもにルールを提案する。ルールを守れないときには、きぜんとした態度で接する」といった対応です。
罰を与えるのではなく、教えることでしつけをするのです。こういう働きかけをくり返されることで、子どもは安心し、自分をコントロールする力が育ちます。
子育てスタイルの目標にしよう
もちろん、子どもの気質と親の気質、そして相性によっても子育てスタイルは変わります。また、そのときの親自身の心理状態や環境の影響なども受けます。
だれだって、忙しくて余裕がないとか、疲れて体調が悪いときに、イライラして子どもにきつくあたってしまった……なんてことはありますよね。
ですから、常に民主型の対応をするというのは難しいかもしれません。
それでも、長年の研究で「民主的な親に育てられた子どもは、ストレスに強く、社会にも適応して、健全に育つ傾向が強い」ということがわかっているのですから、一つの目標として、民主型子育てスタイルをめざしてみてはどうでしょうか?
参考
ダイアナ・リムバウンドの研究 論文
http://arowe.pbworks.com/f/baumrind_1966_parenting.pdf(英文)
『最高の子育てベスト55』トレーシー・カチロー著 (ダイヤモンド社)
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