宿題や連絡帳チェックにお手伝い…子どもが進んで動く「叱らないシステム」
子どもへのお小言はできるだけ少なくしたいけれど、つい口うるさく注意してしまう……きっと親である誰もが葛藤していることではないでしょうか。そこで提案したいのが、親野智可等先生の「前向きな声かけ&方法の工夫」です。
今回は、忘れがちな身だしなみやお手伝いなどの生活習慣を子どもに無理なく定着させる方法についてご紹介します。
【お悩み】宿題や、毎日お願いしているお手伝いなど、こちらが言わないとやりたがりません。私のしつけが悪いのでしょうか……。
毎日子育てに奮闘するお母さんのお気持ち、とてもよくわかります。親として一生懸命に子どもと向き合っているからこそ、何度言っても子どもができるようにならないと、自分の教え方が悪いのではと不安になってしまうこともありますよね。
でも、決してそんなことはありません。子どもは一人ひとり、性格も成長のスピードも違います。なんでも一人でテキパキこなせる子もいれば、じっくりゆっくり進めるタイプの子もいます。
同じ親を持つきょうだいだってまったく違いますし、それぞれの個性がありますので、言ってできない子どもが悪いということでもありません。
それに、そのときの体調や気分だってありますよね。たとえば、やろうと思っていたのに、言われることによって急にやりたくなくなるということは、誰しも心が当たりがあるのではないでしょうか。
ですから子どもに対して“できない”というレッテルを貼るのではなく、目の前の子どもの現状を見て行動を変えてみましょう。
まずは「いつまでたっても〇〇ができない」「お兄ちゃんはできるのに……」などとマイナスに考えたり、比べたりすることを手放す。
そのうえで、前向きな声かけや方法の工夫をすると、子どもたちの意識や行動も自然と変わってくるものです。
「見える化」に「合理的な工夫」を加えると「親が叱らないシステム」が完成!
どんな生活習慣も、やらなくてはいけないことを「見える化」した上で、「合理的な工夫」をするとうまくいきます。
これは、いわば「親が𠮟らないシステム」。たとえば、歯磨きをなかなかやりたがらず、すぐに忘れてしまうという子どもの場合は、食事のときに、歯ブラシと歯磨き粉、コップを机に出して“見える化”しておく。
そうすれば、歯ブラシと歯磨き粉に気づいた子どもが「やらなきゃ」と自分から動いてくれる確率がぐっと上がります。
さらに、歯ブラシに歯磨き粉をつけておく″合理的な工夫”をしておけば、歯ブラシをくわえるだけ。さらに行動しやすいですよね。できたら、しっかり褒めてあげることも忘れずに。子どもの「次もがんばろう!」という意欲を育てることも大切です。
お手伝いも同様に、見える化と合理的な工夫をしてみましょう。
毎朝、お花の水やりをするお手伝いがなかなか続かない子どもの場合は、夜寝る前にペットボトルに水を入れて、枕元や寝室を出てすぐの場所に置いておく。
そうすれば、朝起きてすぐにペットボトルが目に入るので、「お花に水やりをしよう!」と自然に動くことができる。たったこれだけの工夫で、毎日のお手伝いへのハードルが下がります。
子どもを叱ってばかりの毎日は、叱られる子どもにとっても、叱る側の親にとってもストレス。子どもの自己肯定感が低くなるばかりか、親子関係も悪化してしまいます。
そんな悪循環から抜け出すために、「どうしてできないの!」ではなくて、「どうしたらやりやすいかな?」とマインドを変えてみましょう。
よいアイデアが浮かばなかったら、親子で相談するのも大切なコミュニケーション。その話し合いの時間こそが親子の絆を強めてくれるのです。
取材・文/水谷映美 編集/石橋沙織 イラスト/ぴよととなつき デザイン/曽矢裕子
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