Case 3 一生消えない「若気の至り」/わが家のSNSトラブル ~ユカの事件簿~
娘のユカがまだ中学生のころ、同級生がSNSで全国にとどろく大騒ぎを起こし、学校に警察がやって来ることに……
同級生、ネットで大炎上
このコラムは、タイトルで「事件簿」なんて書いていますが、もちろん、たわいもないトラブルがほとんどです。でも今回は、警察が登場する正真正銘の「事件」です。
娘のユカがまだ中学生のころ、同級生がSNSで全国にとどろく大騒ぎを起こしました。
当時は「プロフ」と呼ばれる簡易ブログページに趣味や近況を書いたりするのがSNSの主流でした。そのプロフに、同級生は「万引き自慢」を書きこんでしまったのです。プロフで交流している仲間に、ちょっとしたワル自慢をしたつもりだったのでしょう。「友だちしか見ていない」という思い込みもあったでしょう。
でも、あっという間に情報が広がって、ネットで大炎上してしまいました。プロフで本人の名前も学校名も公開していたので、「××市××中学××くん 万引き!」と書きたてられ、自宅や顔写真、交友関係、親の職業などありとあらゆる個人情報がネット上にさらされました。数年前だから「ネットで全国区の有名人」で済みましたが、いまならまちがいなくテレビで報道されて、保護者や地域を巻き込んだ大騒動になっているでしょう。
警察が来ちゃった!
……そして学校に警察がやってきました。
とはいっても、そのときに学校で警察がおこなったのは、全校生徒向けのネットマナーの講習でした(もちろん万引きは犯罪ですから、本人は相応の処罰をうけています)。
ですが、「同級生がネットで炎上して、中学に警察がやって来た」という事実は、子どもたちの心や行動に大きな影響を残しました。
ユカは、ネットの個人情報もれの怖さを早い時期に体験して、慎重にネットに向き合うようになりました。
今でも同級生の名前を検索すると、事件のあらましや、中学校名、盗んだものなどの情報が出てきます。この先もネットからこの情報が消えることはないでしょう。今日知りあった人も、これから仕事でつきあう人も、すぐ知ることができるのです。
いまは成長し、普通の大人になっている同級生は、自分のちょっとした「若気の至り」を一生、いえ、子どもや孫の代までずっと背負っていくことになります。
いったんネットに出てしまった情報は消せない
ネットデビューをするお子さんに、次の2つのことは必ず教えてあげてください!
- ネットは全世界につながっているので、「仲間うちのつもり」は通用しないということ
- いったんネットに流れた情報(とくに画像)は、あとでいくらがんばっても完全に消すことはできず、永遠に残り続けるということ
この事件は、まだ「かぎアカ(公開範囲を限定する方法)」が一般的でない時代のことですが、たとえSNSでかぎアカにしていても同じことは起こります。情報を公開している友だちのだれかが、書いた内容や画像をその子のSNSに転載して紹介したら、その瞬間から全世界にダダモレです。
ネットは「友だちだけが見られる交換日記」ではなくて、「人通りの多い道に立ててある町内会の掲示板」みたいに、だれでも見られるもの。だからユカの同級生のような「法に触れること」だけが問題になるのではありません。
お子さんには、SNSに書きこむ前にこう考えてもらいましょう。 「今書こうとしていることは、町内会の掲示板にはりだして、永久保存されても大丈夫か?」 ネットの怖さをしっかりお子さんに伝えて、楽しいSNSライフを送らせてあげてください。
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