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Case 2 試験前、メールの誘惑/わが家のSNSトラブル ~ユカの事件簿~

Case 2 試験前、メールの誘惑/わが家のSNSトラブル ~ユカの事件簿~

試験前なのにマンガに夢中なってしまい、あとで青ざめていたのが親であるわたしの世代。では、子どもの世代が試験前に目が離せなくなってしまうものは何でしょうか? そう、ケータイ・スマホです。今回は、試験勉強をケータイに邪魔されてしまうトラブルの紹介です。

ユカの高校時代には、LINEはまだ主流でなかったので、ケータイの楽しみといえば友だちとメールを送りあっての「おしゃべり」。目に余るほど熱中してはいないので、わたしもほほえましく見ていました。

しかし、学校が試験期間に入ると、急にユカがメールをしている時間が長くなってきたのです。試験前だというのに何がおこっているのでしょう。

 

ユカの勉強はたいていリビングルームなので、わたしの目の前にいます。ユカがノートを開いて勉強を始めて5分もすると、ユカのケータイにメールが着信しました。友だちからの「試験範囲を教えて」というメールで、わたしもまあそれは仕方がないかなと思ったのですが、ユカがメールで答えるとすぐに返事がきて、また返信のくりかえしになりました。試験前であまり会えないせいか、いつもより「おしゃべり」が盛り上がってしまったようです。

そうなると、もう試験勉強は「メールの合間に3分ずつノートを見ている」という状態です! いつ終わるのか静観していたわたしも30分後にはキレました。

「ユカ、ケータイの電源を切りなさい!」

 

ユカはわたしに怒られてあわててケータイの電源を切り、今度は邪魔されずに自分のやりたいところまで勉強を終えることができました。ずいぶん不機嫌なようすのユカでしたが、ここで負けてたまるかと、わたしも怒ったままにらみ合いです。

最初は「禁止」でも、めざすのは「自律」

高校生のときの試験前メール事件がきっかけで、「試験勉強のときはケータイの電源を切る。自室で勉強するときは、ケータイをリビングに置いていく」というルールが、ユカとわたしの間にできました。どうやらどこの家でも同じようなことがおこったようで、やがて試験前に友だちから来るメールはぐっと少なくなりました。

 

子どもが勉強するときはケータイやスマホの電源を切るか、少なくとも手元から離す習慣を早いうちにつけるのが肝心です。そうしないとケータイやスマホでのやりとりがどんどん侵入してきて、子どもの勉強時間をつぎはぎにしてしまいます。

 

仲よしの子に「なんですぐ返事くれないの?」と言われるのは中高校生にとって大ごとで、電源を切るのは勇気がいります。実際、ルールができたあとでも電源を切らずにユカがわたしに怒られることは何回もありましたが、学年が上がり受験が近づくと、すすんで切るように変わっていきました。

 

今回の話を書くために、当時どう思ったかをユカに聞いたら、「禁止されてムカッときたけど、自分ではうまくやめられなかったから、ほっとした」と答えました。友だちに対しても「親に禁止された」はキラーフレーズで、「じゃあ、しかたないね」とあきらめてくれたそうです。

 

「今はLINEがあるから、今の中高生のほうがわたしのころより誘惑が大きいよ」と、大学生になったユカはいいます。 LINEのグループのように複数の人でやりとりするメッセージアプリは、多人数がリアルタイムで交流するためメッセージの更新も多く、目が離せなくなってしまいます。

 

ここが親の出番です! きっぱりと試験勉強中のメールやSNSを禁止して、子どもの背中を押してあげましょう。それでも誘惑に負けてしまいがちなお子さんは、塾や図書館・自宅のリビングなど、常に他の人の目のある所で勉強するのも一つの方法です。

 

そしてなにより、お子さん自身が「なぜスマホを切らなければいけないのか」「今大切なことは何か」「だれのためなのか」という確認をしっかりすることが大切。「どうやって親の裏をかいてスマホを使いつづけるか」ということばかりにお利口さんになっては大変です。

「禁止」するだけで終わらずに、子どもの意志による「自律」へと変えていく……すぐにできるようにならなくても、日々親子で成長していってほしいと思います。

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マリ(まり)

マリ(まり)

マリ(まり)

サラリーマンの夫・大学生の娘(ユカ)との3人暮らし。
大学の恩師の「あなたは一生文章を書きつづけなさい」という言葉を真に受けて、今も日々ものを書いている。
現在はIT系の会社で、セミナー関連の仕事に携わっている。
趣味は映画鑑賞。年に100本みることがひそかな目標。

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