Case 5 学校で更衣室の盗撮未遂/わが家のSNSトラブル ~ユカの事件簿~
学校生活に入り込んできたケータイで盗撮(未遂)事件が起こったことも。でも子どもが被害者になるケースばかりではありません。
お手軽な盗撮時代のはじまり
この事件簿は、わたしの娘のユカ(大学生)の中学・高校時代のエピソードで、もう10年近く前になってしまった事件もあります。学校生活に入りこんできたケータイへの対応に、教師も保護者も試行錯誤していた時代でした。
ユカの中学時代、わたしはPTAの関係でたびたび学校に顔を出していました。あるとき担当の先生がこっそり、「最近、女子更衣室に録画状態のケータイが置かれている事件がありまして…」と教えてくれたのです。さいわい何かが録画されるまえに発見され、犯人(生徒)もすぐわかりました。
Case3の「万引き自慢で炎上事件」と同じように大騒動になりかねない事件でしたが、未遂で、生徒の犯行ということもあり、一般の保護者には知らされずに終わったのです。
時が流れて、あらためてこの事件の怖さに気づく
Case3を書くときにわたしはユカの中学時代の万引き事件を検索し、かんたんに犯人の名前や写真を見つけました。そして、この盗撮事件が未遂でよかったと心底ほっとしました。もしあのとき盗撮の画像がネットに流れていたら、万引き事件と同じように今でも残っているかもしれない、と考えたらあらためてゾッとしました。
女子更衣室にケータイをおいた生徒は「ちょっとのぞく」くらいの軽い思いつきだったとしても、ケータイに残る画像はだれとでも共有でき、ネットに出てしまったら最後、10年、20年たっても被害者を苦しめることになります。
いまはスマホの時代になりましたが、「盗撮防止」の画期的な機能やサービスが出たという話は聞きません。逆に「消音アプリ」※などで、スマホでの盗撮はますますお手軽になっています。
そしてそのお手軽さは、子どもが「悪意なく盗撮してしまう危険」も招いています。
※ケータイ・スマホのカメラ機能は、シャッターを切ると音が出て撮影したことを知らせ、この音は消すことができない仕組みです。しかしある種のアプリは、無音(またはごく小さな音)でシャッターが切れるようにします。
知らず知らずのうちに加害者にならないために
子どもが「電車にすごい寝顔の人がいた」とこっそり写真にとり、SNSでアップしてしまったらどうでしょうか。
とられた本人に許可を得ないまま、知っている人が見たらだれだかわかるような写真をとり、相手に嫌な思いをさせること。それはもう立派に「盗撮」行為です。さらにそれをSNSに公開したら、そこからどんどん拡散し、相手にとんでもない迷惑をかけることになるかもしれません。
気軽にとれる写真だからこそ、この大原則をきちんと守ることが必要です。
・SNSに公開もしない。景
・色の写真でも無関係の人の顔がはっきり写っていたら、画像加工アプリで消してからSNSにアップする。
残念ながら、「盗撮されること」には決定的な解決策はありません。しかし自分が事件を起こさないことはできます。
「相手は写真をとられたと気づかないし、自分が公開したものを見ることがないから、写真や動画をとっても大丈夫」と安易に考えてはいけないことを、子どもにしっかり伝えてください。
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