Case 17 ネットに流れるホントとウソ/わが家のSNSトラブル ~ユカの事件簿~
「面白いから」とうわさと事実の区別をあまり気にしないユカ。ネットのデマにだまされたりするのでしょうか。
ユカの真偽判別法
前回のエピソードで、Wikipediaにあるうわさレベルの記事を「面白いからいいじゃん」とむしろ歓迎してわたしとケンカになった娘のユカは、ネットのデマや間違いに対してはどう考えているのでしょう。
まずはユカにネットのデマにひっかかった経験があるか聞いてみると、ユカは自信たっぷりに答えました。
「ちっちゃいのにはひっかかったことがある。有名人の死亡説とか。深刻なのはないよ」
ユカに、真偽をどうやって見分けているのかと聞くと、
「うそだと、ちょっとすると『その情報はおかしい』ってつぶやきがあちこちで出てくるから、すぐ信じないでいれば、だいたいひっかからないよ」
「待つ」ことがデマかどうか判別する方法でした。
ユカの情報収集法
ふだんユカはなにか事件や事故があったら、ニュースサイトではなく、Twitterで検索します。そうすると、たとえば電車が止まっていると、その線を利用している人が「○○線止まってる」とリアルタイムでつぶやいているので、実態がいち早くわかるというのです。
わたしにはその発想がなく、ニュースサイト、鉄道会社の発表・交通情報などを見ていました。 たしかにユカのいうとおり、発表までタイムラグのあるニュースより、Twitterの生の声の方が早くて、「ニュース」にならないほど規模が小さかったり場所が限定されることも拾えます。
SNSの特性を利用することは、子ども世代の方が一枚上手ですね。
ただし、それを逆に利用して、うその実況を流す悪質ないたずらも出てきます。たとえば、「○○駅で血まみれの包丁を持った人が歩いている」というデマツイートを、ユカは経験しています。
Twitterのように不特定多数がかかわるSNSでは、デマに対して自浄作用が働き「わたしも○○駅にいるけど、騒ぎは起こっていない」という情報も発信されます。また、ほかの人からの情報がないのもデマを見分けるポイントですから、「待つ」ことに意味があるんですね。
「待つ=すぐに信じない」というのは単純ですが、効果のある、子どもでもできる判別法ですから、小中学生のお子さんにはぜひ教えてあげてください。
- SNSで流れてきた情報は、すぐに信じないでようすを見る
- 不安になる情報はほかの人と共有したくなるが、安易にリツイートなどして拡散しない
「シン・ゴジラ実況」で遊ぶ
さて先日、Twitterで面白い遊びがありました。
映画「シン・ゴジラ」でゴジラが日本に上陸した日に合わせて、ゴジラ出現の架空の実況をTwitterでつぶやいていくというものです。たくさんの人が参加し、ゴジラ目撃のつぶやきや画像加工で作ったテレビのニュース速報のツイートを流していました。真に迫ったツイートも多く、映画のことを知らずに見たらパニックを起こすかもしれないと思いました。
しかしものは考えようで、逆に、こういう遊びを通じて、「リアルなデマのニュース」への心構えが身につくようにも感じました。画像はデジタルデータとして加工できること、みんながつぶやいていると数の力で本当のように見えることなどがこの遊びを見ていてよくわかったからです。
考えてみると、子どもたちはネットと共に育ち、ネットで遊び、真偽のわからない情報といつも接して、ネット情報への態度を自然に身につけていくのかもしれません。
うっかりすればネットのデマに踊らされるのは、ユカではなく、成人してからネットとつきあうことになったわたしのほうかもしれないと気を引き締めています。
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