Case 42 それってクソリプ/わが家のSNSトラブル ~ユカの事件簿~
「クソリプ」という言葉をよく見かけます。便利な言葉ですが、使いすぎにはご注意!
クソリプという言葉の流行
最近よく目にする単語に「クソリプ」があります。何年もまえからある言葉ですが、目立つようになったのは去年くらいからでしょうか。
クソリプはある人のツイートに対して、他の人がくだらないリプライを送ることを意味します。例えば、「寒くなるとシチューがおいしい」というツイートに、「カレーもおいしいですよ」などと無関係だったり的外れなリプライをすることです。ときに「つまらん食事」などと攻撃的なものもあります。
なかには「クソリプとは、FF外から送りつけられるつまらないリプライ」と限定して定義しているサイトもあります。ネットから自然発生した言葉のクソリプには、まだ明確な定義は決まっていませんが、FF外(フォローしたり、されたりしていない相手)からのリプライに限定するというのはなかなか興味ぶかい考えです。
「クソリプ」と「FF外」の共通の根っこ
「ユカの事件簿」でくりかえし書いていますが、公開アカウントのSNSは、目の前の人とのおしゃべりではなく、ものすごい人数の前で演説するようなものです。みんな聞いているとはかぎりませんが、聞く気になればどんな遠くでも聞こえる演説です。
クソリプを受けるというのは、その演説にヤジが飛んでくるようなものでしょう。現実なら賛成の声でも反対の声でも、遠くて聞きとれなかったり意味不明だったりと聞き流すのはかんたんです。
ところがTwitterのリプライは、ヤジる人がひとりずつ目の前にやってきて、しゃべっていくようなものです。うっとうしさはヤジの比ではなく、「その話、関係ないよね」と言いたくなるのも無理ありません。同じように、見えないほど遠くにいると思っていた人にいきなり目の前でしゃべりだされて、「知らない人はだまってて」と言いたくなるのが、FF外の人のリプライなのでしょう。
だから「クソリプ」や「FF外」という言葉にたくさんの人が共鳴して、使いはじめたようにわたしには思われます。
ネットといっしょに育っておしゃべり感覚でSNSを使う世代が、自分が思う相手以外から反応がくることへの違和感を「クソリプ」「FF外」という新しい言葉にして、Twitterでの新しいお作法を模索しているようにも感じられます。
「クソリプ」は思考停止ワードになりかねない
さて、そんな「クソリプ」は、問答無用で相手を切り捨てることができるナイフのような言葉です。ただ単純にムカついたときや自分の不都合をかくしたいときも「それクソリプ」の一言で終わらせられるので、使いすぎは思考停止や、これさえ言えば自分の勝ちだという幼稚な万能感につながりかねません。
実際、クソリプを集めたサイトを見てみると、まっとうな指摘からなにがクソリプなのか首をひねるものまで、なんでもクソリプで片付けられているのです。
その万能感に酔って調子にのり、炎上してしまったときに、よせられるコメントにクソリプだと叫んでも炎上は止まりません。そうそう自分に都合よく世界はふるまってくれません。
子どもがSNSでクソリプという言葉を多用しているようなら、一時的に使用禁止にして、自分はそのリプのなにがイヤなのか考えさせるようにするのも一つの手です。無視するという方法だってあります。言葉にひきずられて思考停止にならないよう、子どもが自分で考える習慣を忘れないように声がけをしたいものです。
とはいうものの、子どもたちはそのうち現実の世界でも「クソリプ」という言葉を使いだすでしょう。とても便利な言葉ですから。
子 「焼き肉最高~」
母 「野菜もちゃんと食べてね」
子 「それクソリプ」
なんともやりにくくなりそうです。反撃する言葉もはやくネットではやってほしいものです。
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