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Case 43 ネット時代の新しい言葉、新しい意味/わが家のSNSトラブル ~ユカの事件簿~

Case 43 ネット時代の新しい言葉、新しい意味/わが家のSNSトラブル ~ユカの事件簿~

2017年の流行語大賞が決まりました。ネット関係の言葉の存在が大きくなっています

ネットから出た言葉が流行語大賞に

2017年の流行語が決まりました。
流行語の賞はいくつかあり、流行した言葉を選ぶ「新語・流行語大賞」 (「現代用語の基礎知識」選)(※1)、辞書に載ってもおかしくない新語を選ぶ「今年の新語」 (三省堂主催)(※2)がよく知られています。ほかにテレビ番組が独自に調べた女子高生の流行語などもあり、それぞれの視点から選定しています。

この三つすべてで取りあげられた言葉が、「インスタ映え」です。
「新語・流行語大賞」では大賞です。ネットやSNSの言葉が大賞を受賞するのは2000年の「IT革命」以来のことで、ネットがリアルの世界に与える影響が大きくなったことがわかります。「今年の新語」では、「インスタ映え」を投票が多くても選からもれる例としてあげていました。

また、上記のふたつの大賞をとっている「忖度(そんたく)」は、女子高生の投票する流行語ベスト10には入っていませんでした。ネット関係ではないからか、女子高生の使いたい言葉ではなかったようです。

流行語ではない新しい言葉

一方、新しい言葉といっても流行語や新語ではなく、新しい意味で使われるようになった言葉もあります。

たとえば先日ユカと話をしていたときのことです。あるアイドルのテレビ出演中止の情報をわたしが教えると、
「それ公式?」
とユカは聞き返してきました。「公式」のひと言で、公式の発表か、公式アカウントが情報源なのか、ともかく信頼できる情報ですかと聞いているのです。
ユカが「ほんと?」くらいの意味合いで「公式」という言葉を使ったのは、わたしには新鮮なおどろきでした。

いま、「○○(アーティスト名や商品名など)公式」あるいは「公式○○(アカウント、サイト)」という言葉はネット上でとてもよく使われていますが、子ども用の辞書ではどんな定義なのでしょう。

 

【公式】 おおやけに決められたやり方 (学研 新レインボー小学国語辞典 改訂第5版より)

 

いま子どもたちに「公式」の意味を聞いたら、ユカが使ったような「本人の」や「ちゃんとした」と説明をする子が出てくるでしょう。公式の意味が広がっているように思われます。

日本語の変化には文句をつけたくなることが多いわたしですが、この言葉には納得するところがあります。

ネット上の情報は、見た目で正しいものとそうでないものが判別しにくいのです。ウワサや古い情報、悪意のあるデマが、正しい情報とごっちゃになって流れていくネットの世界では、本人や公式サイトから発信された情報なら信頼できることをわたしたちは学びました。「公式」の定義に「確実な(情報)」という要素がかぶってきたのは、ネットで情報検索することがあたりまえになり、情報源を意識せざるをえないことの表れのようにとれます。

新しい言葉には、ときに感心、ときには注意。

これからますます存在感を増していくに違いないネット発の新語や言い回しですが、まだまだネットを使わない人、慣れない人には通じないことも多いのも現実です。

写真をとることが、カメラではなくケータイ主流になって「写メをとる」という言葉になり、さらにInstagramの流行で「インスタをとる」にとって変わっていますが、いったいどの言葉で定着するのか、まだわかりません。一時の流行はすぐすたれて、あっという間に通用しない言葉になる可能性もあります。

ふだんの会話に気を配れるのは家庭ならではなので、自分の使うネット用語がなんでも世間で通用すると子どもが思いこまないように、ときに子どもの言葉に感心し、ときに口うるさい大人になって注意してあげてもらいたいと思います。

※1
「ユーキャン 新語・流行語大賞」

 

※2
「三省堂 今年の新語 2017」

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マリ(まり)

マリ(まり)

マリ(まり)

サラリーマンの夫・大学生の娘(ユカ)との3人暮らし。
大学の恩師の「あなたは一生文章を書きつづけなさい」という言葉を真に受けて、今も日々ものを書いている。
現在はIT系の会社で、セミナー関連の仕事に携わっている。
趣味は映画鑑賞。年に100本みることがひそかな目標。

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