子どもが公共の場にふさわしくない行動をしてしまったら?/くやまない、悩まない、自分を責めない――心がラクになるアドラー流子育て【第11回】
あなたのお子さんが電車の中だけでなく、公共の場で騒いだり、ふざけてしまって大変だったという経験はありませんか? または、そんな光景を見かけたことはありませんか? そして、そんなとき、あなたならどのように対処しますか?
こんなとき、あなたならどうしますか?
長男が園児、下の双子が3歳くらいのころだったでしょうか。電車を乗り継ぎ40~50分ほどかかる実家に、子どもたちを連れて出かけたときのことを、わたしは今でも時折、思い出します。小さな男の子3人とのお出かけ。それは、子どもたちにとっては楽しみなイベントでしたが、わたしにとってはちょっと荷が重いものでした。
子どもたちを連れての電車移動は、ほんとうに大変です。ひとりが泣いたり騒いだりしただけでも、他のお客さんの迷惑になるのに、その3倍です。我が子たちは、幸いにも電車が好きだったので、それほど頻繁ではなかったのですが、それでも数回は手がつけられない騒がしさでまわりのお客さんに迷惑をかけたことがありました。
子どもではなく、母親であるわたしが怒られたこともありました。子どもたちの保護者ですから当然ですね。わたしは、申し訳なく思うのと同時に、子ども3人分もの重い荷物のせいもあって、とても悲しい気持ちになりました。また、自分が子どもをきちんとしつけられない母親であると思われたり、見られたりすることが、とても苦痛だったのです。
あなたのお子さんはいかがでしょうか? 電車の中だけでなく、公共の場で騒いだり、ふざけてしまって大変だったという経験はありませんか? または、そんな光景を見かけたことはありませんか? そして、そんなとき、あなたならどのように対処しますか?
怒られるから、してはいけないの?
わたしが騒いでいる我が子たちに、つい言ってしまった言葉があります。それは「そんなことしてたら、(誰かに)怒られるよ!」です。でも、このような言葉かけだと、「怒られるからやめる」「怒る人が悪い」といった、誤った認識を子どもにもたせてしまう可能性があるんですね。
騒いだりふざけていることがよくないことであると、本人が理解できなければならないのです。そう考えると、人に怒られる経験も決して悪くはありません。わたしのように、親が怒られる場合もあるので、覚悟しなければなりませんが・・・。
でも、もっと良い方法があります。まずは、公共の場に行くということは、どういうことなのか、そして、そこで騒いだりふざけたりしたら、どういうことが起こるのかを、出かける前に子どもとよく話し合っておくのです。そして、「もしそういうことが起こった時には、すぐ自宅に帰る」というように約束しておきます。
「怒られるから、してはいけない」のではないのです
「怒られるから騒いじゃダメ!」も、一時的には効果があるかもしれません。ですが、これでは子どもが自分で考えて行動していることにはなりません。何が良くないのかがまったくわかっていないのですから。「怒られるのが嫌だから、怖いからしない」では、怒る人がいないときに適切な行動ができない人になってしまいます。つまり、公共の場でふさわしい行動を取れるようになるためには、子ども自身で考える力が必要なのです。一方的に教え込むのではありません。
また、約束が一方的であっても良くありません。それでは押しつけになってしまうからです。約束は必ず双方合意の上で行ってください。そして、もしこの約束が破られそうになったら、きっぱりとこう言うのです。
身をもって、行動の結末を体験する
「それは約束したことかな?」と。叱るのでも怒るのでもなく、感情的にならずに淡々と伝え、子どもに考えてもらいます。それでも改善されなかったら、思い切ってその場から離れるのです。電車やバスであれば、降りてしまいましょう。ちょっと勇気がいるかもしれませんが、子どもの成長のために良い機会であると決断し、親が行動に移しましょう。
公共の場にふさわしくない行動を続けることが、どんな結末になるのかを身をもって、子どもに体験してもらうのです。これは自分で言ったことの責任を取ることにもつながります。アドラー流の子育てでは、このことを「論理的結末」といい、とても重視しています。
自分で判断・行動ができる人に
子どもたちは、このような機会があるごとに、自分で判断して行動できるようになっていきます。急いでいるときや、いっしょに行動している人に迷惑がかかる場合もあるので、毎回、このようなことができるとは限りませんが、ぜひ機会をみてチャレンジしてくださいね。子どもは必ず、そこから多くのことを学んでいきます。
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