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挑戦するということ/「賢い子ども」の育て方【第3回】

挑戦するということ/「賢い子ども」の育て方【第3回】

自分の人生をかける価値のあるものにだけ挑戦して下さい。また、挑戦するわが子をはらはらしながら、黙って見守って下さい。大事なのは成功ではなく、成長です。成長し続ければそのうち成功します。この順番を間違えないで下さい。

高齢者の70%は自分の人生を振り返り、同じ理由で後悔するという記事を読みました。
「もっと挑戦すればよかった。」

「挑戦」という言葉は「戦いを挑む」と書きます。
私の感覚では挑戦して成功する確率は5%以下です。
「うまくいきそうだから、やってみる。」というのは挑戦とは言いません。
「うまくいきそうにないからやめておこう。」という人は一生、挑戦しないでしょう。
「うまくいきそうにないけど、今、やらないと後悔することになるから絶対にやる!」というのが挑戦です。
成功する確率が5%以下と書きましたが、それは第1回目の挑戦で成功する確率です。
何度でも挑戦すればいいんです。
極論を言ってしまうと、成功するまで挑戦し続ければいいんです。

たとえば、1年後にやり直しの利かない1回限りの大勝負が控えているとします。
何の準備もせずに本番に臨むと成功する確率は5%以下です。
1年後の大勝負に向けて途中の目標を細かく設定するのです。
これは入試と模試の関係に似ています。
入試を意識して、自分で模試を作り、それに全力で挑戦する。
失敗すれば調整し、次の模試に挑戦する。
「何度でも挑戦できる。」というのはそういう意味です。
これを繰り返せば1年後の大勝負に勝てるかもしれません。
もちろん、大勝負に100%勝つ方法などありません。
最後の最後まで気を抜かず、慎重かつ全力で取り組むことが必要です。

私の人生最初の挑戦は14歳のとき、全力でまわりの大人全員を振り切り、自分の時間を確保するために意識的に人間嫌いになることでした。
今までの人生でこれが一番大変でした。
「もう後悔したくない!」と強く決意し、それを貫きました。
私は高校を1年で中退し、3年間、自宅で独学しました。
19歳で家を出て、中野の新聞販売店に住み込んで、大学に通いました。
私はこの記事を書いている2016年4月現在、56歳です。
今まで人生を賭けた大勝負に何度も挑んできました。
負けることもありましたが、後悔したことはありません。

人生で2番目に大変な挑戦は2015年2月10日のアメリカ移住です。
今でも悪戦苦闘の連続ですが、
「仕事はうまくいくまでが面白い。」
と思っていますので、すべて楽しんでいます。

親という人種は極めて保守的で挑戦を好みません。
子どもの挑戦も好みません。
「明日も今日と同じく平穏な一日でありますように。」
この考えを日々、成長する子どもにあてはめてはいけません。
成長期の子どもに今日と同じ明日を迎えさせてはいけないのです。
失敗を悪いもの、嫌なものと思わないで下さい。
失敗を10個集めると小さな成功1個と交換してもらえます。
失敗を100個集めると中ぐらいの成功1個と交換してもらえます。
失敗を1000個集めると大きな成功1個と交換してもらえます。
失敗を10000個集めると人生最大の成功1個と交換してもらえます。

でも、一日は24時間しかありません。
これは万人に平等です。
何にでも挑戦すればいいわけではありません。
自分の人生をかける価値のあるものにだけ挑戦して下さい。
また、挑戦するわが子をはらはらしながら、黙って見守って下さい。
大事なのは成功ではなく、成長です。
成長し続ければそのうち成功します。
この順番を間違えないで下さい。

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宮本哲也(みやもとてつや)

宮本哲也(みやもとてつや)

宮本哲也(みやもとてつや)

1959年生まれ。
学生時代に塾業界に足を踏み入れ、大手進学塾講師を経て1993年宮本算数教室を横浜に設立。
「指導なき指導」を授業の柱に「無手勝流算数家元」と自らを名乗る。
無試験先着順の教室ながら、近年卒業生の80%以上が首都圏最難関中学(開成・麻布・栄光・筑駒・フェリス・桜蔭など)に進学する実績をあげている。
2009年、教室を日本橋に移転。2015年、教室をマンハッタンに移転。2017年、教室を中野に移す。

Webサイト http://www.miyamoto-mathematics.com/

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